プロローグ
ジャンルに恋愛を選んでいますが、純粋な恋愛ものというよりはそれをネタにした心理戦、騙しあいを描いていくものですので、純粋なラブコメをご希望の方にはすみません。
これとは別に『おれとキミとのウォ-ゲーム』という小説を投稿しています。できれば、そちらも読んでいただければ嬉しいです。
そちらの小説は一章一章が長く更新頻度が少ないので、こちらの小説は早く、多く更新できればと思います。
僕、霧ヶ峰将太は高校一年生。
小学校時代も、中学校時代も、甘酸っぱい青春はおろか、思い出に残るようなことは一つもなかった。
きっと、僕の人生、これから高校卒業まで、あるいは高校卒業後の大学生活だか就職後だかでも、大した事は起こらないだろう。
そう、思っていたのだが。
「ずっと、あなたを見ていました。……好きです。付き合ってください」
入学して二か月程が経過した今日、突然、女の子に告白された。
僕に告白した女の子の名前は或世暦。
ずっと気になっていた……片思いしていた女の子。
猛烈に心臓が鼓動し、顔が熱くなる。
あまりに都合の良すぎる展開にこれは現実ではなく、夢なのではないかとすら思う。
心臓が激しく脈打ち、いっそこの場から逃げ出したいが、そういうわけには行かない。
これはチャンス。
神様が僕に与えた、人生で数好かないチャンスなんだ。
「……僕でよければ」
なんとか上ずった声でそう答えた。
それからの事はあまり覚えていないが、その女の子……暦さんは昨日からずっと僕に告白する事に緊張を感じていて、夜も満足に眠れなかったらしく、そういう僕の方も一瞬の事とはいえ、気になっていた女の子に告白された事で気疲れしていたので、その場はメールアドレスと電話番号を交換して解散となった。
暦さんは図書委員の仕事が残っているらしく、慌ててその場からいなくなってしまった。
こういう時本当は、「仕事、待っていようか? 一緒に帰ろうよ」とか言うべきだったかも知れないが、いきなりで厚かましいかな、とも思ったのでやめた。
それに僕にも用事がある。やらなければいけない事が出来た。
いまは、委員会の仕事があるにも関わらず、時間を作って僕なんかに告白してくれた暦さんの気持ちを嬉しく思いながら家に帰ろう。
明日から楽しい日々が待っているはずだから。
…………こうして、無味乾燥な僕に、唐突に『彼女』が出来た。
内気で、大人しくて、良く本を読んでいる女の子……暦さん。
クラスじゃ目立たない女の子けど、ふとした仕草が可愛いのを僕は知っている。
真面目で授業中は真剣にノートを取っている、けれどついうたた寝してしまった時の照れ顔とか、一人で本を読んでいる時に面白いところがあるとついうっかり笑みを浮かべてしまうところとか、すごく可愛い。
ずっと、暦さんを見てきた。
ずっと、気になっていた。
そんな暦さんが僕に告白してくれた。
僕達の恋の物語は、ここから始ま………………らない。
以上です。今回は前振り、本編はこれからです。
本編の方も、数日中には更新予定ですので、よろしければお気に入りなどに登録していただければ、幸いです。