前編
「セシル様、私と婚約破棄してください。」
私に瑕疵がついてもいいので早急にお願いしますと頭を下げた。その時のセシル様がどんな表情をしていたかはわからない。私はただ彼のために早くこの婚約が無くなれば良いなと思っていた。
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あれは10年前に両家の思惑がちょうど重なりお互い引き合わされた。うちは伯爵家だが事業が上手くいっており共同事業を立ち上げるのにさらに縁強くなろうとなったらしい。
「ステラ今日はいつも以上に可愛いよ。」
「お父様ありがとうございます。」
「もうすぐセシル君と初めて会うが仲良くするんだよ。」
わかりました。と微笑み返事をする。その後連れて行かれたハワード侯爵家で初めて対面した。金髪碧眼でサラリと流れる前髪、色白で優しく微笑むセシル様は完全に王子様だった。2つ上の10才と聞いていたがとても落ち着いており、セシル様と同い年のうちのお兄様とは違い凄く素敵だった。
「セシル·ハワードと申します。ステラ嬢今日はお越しいただきありがとうございます。あちらで一緒にお茶とお菓子をいただきましょう。」
幼い私をレディ扱いしてくれ席までエスコートしてくれセシル様は向かいに座った。
「本日はお招きいただきありがとうございます。このように素敵なお茶会を用意していただき感謝いたします。」
「気を使わなくていいよ。一緒に食べよう。今日は仲良くなれる様色々お話出来たらいいね。」
「はい!このケーキとても美味しいです。」
セシル様は微笑み様々な話を聞いてくれた。時にセシル様からも質問を受けたり打ち解けられたと思う。初回にしてはなかなか上手くいったのではないかと自画自賛した。終わった後お父様から褒めてもらい嬉しく思いながらお家に帰った。
その後も月に何回か交流をしながら仲を深めていき、半年後婚約が成立した。私が9才になりセシル様は11才だった。王立学院を卒業したら婚姻すると決まっておりその時を楽しみに待っていた。
しかし私が17才になり学院もあと1年という頃にはセシル様はあまり会ってくれなくなっていた。同じ学院にいた1年はまだ仲良くしていたと思う。今年先に卒業した彼は王太子の側近となりかなり忙しくしていて、お茶会がドタキャンされる日が増えてきていた。侯爵家の皆様も申し訳無いと言ってくださるが、あと1年で婚姻だと思うと寂しさを我慢できたので彼の仕事を応援していた。ある噂を聞くまでは。
「ステラ大丈夫?!元気出してね。」
ある日学院に行くと友達のリエンダに言われた。落ち込んでないが?突然なんだろう。
「リエンダ落ち着いて。何があったの?」
「セシル様が王女殿下と恋仲でステラと婚約破棄して婚約するって聞いて…」
は?私婚約破棄されるの?呆然としてしまたう。
「誰からも聞いてない…リエンダ私婚約破棄されるの??」
「…ステラ。ご両親に聞くべきだわ!」
帰った時に聞いてみると話をし、授業をうける。全然集中出来ない。早く帰りたい。恋仲になってたから私に会ってくれなくなったの?私は涙が止まらなくなり早退をした。セシル様は授業をサボるなど言語両断という考えの持ち主なので、嫌われたくなくてサボった事など無かった。初めてだなと馬車に揺られながら家へと帰った。
早退してきた私を皆心配してくれたが、1人にして欲しいと部屋に向かう。お父様が帰ってきたら呼んで欲しいとだけ告げ閉じこもった。ずっと涙が止まらなくてとても辛かった。
「ステラお嬢様少しいいですか?」
コンコンと扉をノックし尋ねられるが、まだお父様が帰ってくる時間では無い。
「何?お父様まだよね。あとで聞くからそっとしといてちょうだい。」
「それが…セシル様が来られていて。お嬢様は体調不良だと伝えたのですが、待つと帰られなくて。」
は?セシル様が来てる?今まで急にくる事など無かった。いきなり何だろう。
「急いで支度するから少し待ってもらって。」
急いで着替え用意をする。目が真っ赤だがどうしようもなく応接室へと向かう。
「ステラ!急に来てすまない。目が真っ赤じゃないか!大丈夫?早退したと聞いて慌てて会いに来たんだ。」
セシル様は私を気遣ってくれるだろう。久しぶりに会う気がする。いつぶりだろう。3回続けて交流会をキャンセルされしばらく会っていなかった。
「セシル様おかけになってください。話があります。」
「いや、体調不良なら失礼するよ。一目だけでも会いたかったんだ。話ならまた後日に会いに来るよ。」
いつもと違う私に彼は戸惑っている。いえ、大丈夫ですのでどうぞと着席を促す。
「セシル様、私と婚約破棄してください。」
間髪置かず伝える。彼は呆然と私を見ている。何故婚約破棄狙ってたのがバレたのかと言う驚きなのかしら?
「…なぜ?」
「王女殿下と恋仲と聞きました。最近私との交流をキャンセルされる事が多かったのはそういう事だったんですね。私の瑕疵でかまわないので早急に手続きをお願いします。」
「違う。ステラ違うんだ。私は婚約破棄などしない。」
「それでは王女殿下とは新たに婚約できませんよ?」
「しない!私の婚約者はステラだけだ!信じて欲しい。王女殿下は少し理由があって今付き添わされていて…あと少しで落ち着くから待って欲しい。」
お願いだからと頭を下げられる。本当かしら?計り知れずジッと見つめているとセシル様が立ち上がり隣へと移動してきた。
「まさかステラへの私の愛が全く伝わって無かったとは…これからはわかるように伝えていくよ。ステラ私を見捨てないで。」
私の髪を一房取り口付けしながらセシル様が微笑みながら言う。近い!セシル様の顔が近すぎる!そして唇に口付けをされた。
「真っ赤なステラ可愛い。」
私の首元に頭を寄せ抱きしめられる。私は大変な事をしてしまった様だと震える。




