第6話「新『極ノ音』の初ライブ!」
『』は歌詞か、メッセージを送る時と過去の台詞の言葉です。
そして二週間後──
〜Squareの控え室〜
「よーし!皆ー!遂に音芽さんが加わっての初ライブだー!やったー!」
「和樹奈…うるさい…隣まで聞こえるでしょ…」
「まあまあ!確かに色々ありましたからね!」
そうそれはライブまでの道のり。
色々な意味で沢山の事があった。
〜13日前〜
〜Square 練習スタジオにて〜
「さて、和樹奈、譜久村さん。自分達、『極ノ音』は…」
「譜久村さんが入った記念にライブをしようと思っているわ。」
二人は喜んだ。
「おお!!来た!!アタシ嬉しい!」
「おとめも嬉しいです!おとめの為にライブを考えてくれてありがとうございます!」
「喜ぶのは良いけどこれからする事は沢山あるから覚えておいてね。」
「まず曲についてだけど…これは前の活動で言った通り、『Experience New SensationS』にするね。」
「この曲は難易度が高い訳では無いかもしれないけど…油断しないようにね。」
「分かってるって!大丈夫!アタシ歌、上手いから!」
「お、おとめも頑張ります!」
そうして練習が始まったのだが…
「和樹奈!またテンポがズレてる!もっと音を聞いて!」
「…はーい」
「そして譜久村さん!貴女は極ノ音に入ったばかりだから難しいかもしれないけど、周りの音を聞いて!」
「は、はい!おとめ、頑張ります!」
「(皆、まだ流石に未熟だな段階な気がする。まあ自分が言えた事じゃないけど。)」
「(とは言え、ずっと練習はダメだからここで一旦、休憩を入れようかな。)」
「皆。一旦、休憩しよう。」
練習では歌奏がスパルタすぎて和樹奈は完全に疲労していた。
音芽も厳しいと思い始めた。
そして休憩中。
「ね、ねえ。音芽さん。」
和樹奈は小声で話し始める。
「ど、どうしたんですか?和樹奈さん。」
「カナ、なんか厳しくない?大丈夫?」
「え?歌奏さんはいつもストイックだから厳しいのはいつもの事なんじゃないですか?」
「いや、違うよ!カナ、優しい所あるからさー。」
「それはあくまでそう言う所もあるだけでストイックなのには変わりないんじゃないですか?」
「うう…」
和樹奈弱い声を上げる。
「──二人とも。」
二人が話している途中に歌奏は入ってきた。
「ギクッ!」
「?和樹奈どうしたの?」
「あ、いや何でもないよ?ただ、音芽さんと〜あのーそのー…」
「練習頑張ろうって話してたんです!」
音芽がフォローを入れる。和樹奈は感謝した。
「音芽さん、ナイスぅ〜…助かったよ!」
和樹奈は小さな声で言った。
「そう?それは良い事ね。」
「それじゃあ二人のモチベーションが上がっている内に練習を再開しましょう。」
「はい!」
音芽は元気に返事したが、和樹奈は仕方が無く返事した。
「はーい。」
「ではまず休憩前にやった所で出来なかった所を…」
そしてそれをするだけで最初の練習は終わった。
〜現在〜
「あの日は本当におとめも下手でしたよねー。」
「それよりカナの厳しさおかしくなかった!?練習初日なのにさ!」
「このくらい厳しくしないとお客さんに良いライブは見せられないからね。」
歌奏は二人を見て言った。
「だとしてもさー…まあアタシ達凄いから?1週間くらい出来たけど?」
「ええ!おとめもそのくらいから急に上手くなった気がします!」
「それは…その時に練習の成果が出たのでしょう。練習はすぐに成果が出ない時もあるから。」
「やーそれでもアタシってすぐに出来てたでしょ!?」
歌奏は呆れながら言った。
「はいはい。そうだね。…最も譜久村さんと同じくらいの日数だけど。」
三人が話をしていると──
「『極ノ音』の皆さん!準備よろしくお願いします!」
スタッフが声をかけてきた。
「遂に、だね。それじゃあ皆、準備して。」
「はい!」「うん!」
そしてライブ会場──
「えー皆さんこんにちは。極ノ音です。」
「今回は新メンバーがいます。」
「え!?新メンバー!?誰だろ?」
「どんな子かな?気になるなー」
「(音芽ちゃん...楽しみにしてるよ。)」
観客席はうるさくなる。
そして其処には香音もいた。
「──皆さんこんにちは!新メンバーの譜久村音芽です!」
「そして相楽和樹奈でーす!!」
そしてその直後に音芽と和樹奈がステージにやって来た。
「おおー!元気そうだな!」
「うん。でもパフォーマンスはどうかな?音成さんが凄いから着いて行けるといいんだけど…」
「あの、極ノ音のメンバーだろ?大丈夫だって!楽しもうぜ!」
観客席は曲が始まっていないのに興奮していた。
「聞いてください──『Experience New SensationS』。」
曲が始まる。
まずは全員で歌うパートだ。
「うお!流石、極ノ音!曲凄いなー!」
『私達の景色はまだ』
『ほんの小さなもの』
『駆け出した先 いつも間違ってしまうんだ』
『皆に馴染めずに 一人で 暮らす 毎日』
そして歌奏と音芽のメインのパートに入った。
『そんな日常でも 楽しいことは あるの』
『聞いたり 弾いたり 音楽をすること!』
「なんか譜久村さんって人?上手いな。」
「新メンバーとは思えないくらいだよね。」
次は歌奏と和樹奈がメインのパートである。此処は難しいので和樹奈も少しは緊張している。
『それはいつか 辿り着く 「絶景」』
『誰かに否定されても心配なんてしなくていい』
『貴方のfeelingは 貴方が 決めるもの だから』
「(…カナは頑張ってくれている。…アタシも頑張らないと…!)」
『あたしの気持ちも あたしが決め──...』
しかし、和樹奈は歌に入るタイミングがズレてしまった。
「(和樹奈...歌のタイミングがズレてる...よし。此処は自分が。)」
歌奏はアドリブを「勝手」に入れた。
『僕達は ”僕達”だから』
「え!?音成さんアドリブ出来るんだ!凄いね。」
「...まあ相楽さん?はミスっていたけど。」
しかし観客はそのアドリブを凄いと感じた。
「(...あ、あれ!?この歌詞ってあったっけ!?おとめ、分からないよ!)」
「(今日、かのんちゃん来てくれるって言ってたのに!こんなかっこ悪い所を見せないといけないの!?)」
だが、音芽は困惑する。
何故、練習中に本番はアドリブがあるかもと全く言わなかったのか。
そして何故、いきなりなのか。
しかしそんな事を考えている暇は無い。
「(...もう覚えている範囲で歌うしかない!)」
音芽にはアドリブが自分には出来ない事を知っていた。
「(アドリブは出来ない!それでも...!)」
しかしだからこそがむしゃらに歌う。
『誰か一人に 否定される ことじゃない』
『だからこそ 私達の音楽を聴いて──!』
音芽はなんとかパートを歌いきった。そして次は──
和樹奈のパートである。
「(嘘でしょ!?次アタシ!?)」
「(...っ。なんでこんな時に...)」
和樹奈は突然──
『───.............』
過去を思い出してしまう。最悪のタイミングで。
それは数年前の中学校の音楽祭のソロパートで失敗してしまったこと。
皆は和樹奈に期待してくれていた。歌を上手く歌ってくれると期待していた。
しかし、そんな時に和樹奈は歌詞を歌いきる事が出来なかった。
そしてそれを聞いた人達は失望した。何故なら二割くらいしか歌えていなかったから、だ。
その後、和樹奈には酷い言葉を浴びせた。
『和樹奈さあ。なんでソロパート、二割くらいしか歌えてないの?練習不足でしょ?』
『先生が抜擢してくれたのにね。期待を裏切ったって言う実感無いの?和樹奈のせいで見てくれた人も悲しんだんだよ。』
『緊張とかいうレベルじゃないでしょ。良く「あはは少し体調悪くて...」ていう言い訳出来たね。』
『相楽、アイツやっぱり”変わってなかった”わ。悪い意味で、だけど。』
『もうアイツとは関わるの辞めようぜ。』
そして和樹奈は翌日、皆に謝罪をする為にその文句を言っていた人の所に来た。だが...
『帰れ!帰れ!帰れ!』
『なんでそんな顔して私達の所に来たの?信じられないんだけど。』
馬鹿にした事しか言わなかった。和樹奈は保健室の先生に言って、仕方が無く家に帰った。
和樹奈にとってこれは大きい出来事である。
~現在~
『..............────.....』
和樹奈は思い出してしまい、声が出ない。
それに気付いた観客はザワザワし始めた。
「あれ?声が聞こえない?」
「マイクの音量がバグったんじゃない?」
「(確かに相楽さんという人の声が聞こえないな...)」
しかし最初はマイクのバグと感じていた人は多かった。
「(........!声が出ない.......なんで.......せっかくのライブなのに.......)」
『─────...............っ』
やがてそれはマイクの問題では無い事に観客の殆どが気付いた。
「おいおい。まさか...」
「ああ。間奏だとしても長すぎるからな。」
「これは残念だが...彼女は歌詞を忘れてしまったのだろうな。」
「ねえ、香音ちゃん。私達、トイレ行っていい?」
「あ、木鈴さんごめん。私もトイレ行く。」
「私も。あ、斉藤さんと前田さん待って。」
香音の友達は全員トイレに行ってしまった。
「あ、うん。行ってらっしゃい。」
「(皆...本当は...演奏を聴きたくないのかな...)」
そしてステージ上では。
「(和樹奈さん....?緊張しているのかな....っ!?)」
「(和樹奈さんすごく苦しそう...歌うのが嫌そうな感じがする...)」
音芽は超小声で歌奏に伝えた。
「歌奏さん。もうこれはライブを続けるのが不可能だと思います。」
「...譜久村さん...それは...」
「恐らく、緊張などから来る症状だと思います。ですから、『メンバーの体調が悪くなったから今回のライブは中止にします。』って言った方が...」
歌奏は迷った。ライブを続けるべきか。それとも辞めるべきか。
続けたら和樹奈が歌えてなかったと批判される。辞めたら極ノ音全体が下がる。
歌奏が選んだ選択は──
「分かった。ライブを中止にしましょう。和樹奈だけが批判されるよりは全体が批判された方が...和樹奈への傷も少ないから。」
ライブを辞める事だった。
「──皆さん。」
歌奏がマイクを取る。
観客は彼女を一斉に見る。
「今回のライブはメンバーが体調不良により、中止とさせていただきます。」
──ザワッ!
「皆さんの期待に答える事が出来ずに申し訳ありません。」
歌奏はただ頭を下げた。
「おとめ達のライブを期待してくれた人達、本当にごめんなさい!!」
音芽も精一杯声を上げた。
新極ノ音の初ライブは失敗に終わった──。
〜控え室〜
「………和樹奈さん大丈夫かな…?」
「分からない。…自分達の失敗ね。和樹奈の事も考えずに…」
和樹奈は体調が悪くなったとスタッフに伝えた為、控え室に運ばれた。
「…はい…和樹奈さん元気に見えましたから…体調が悪くなると思ってなくて…」
「…………あれ?此処は……?」
二人が話していると和樹奈が目を覚ました。
「和樹奈!」「和樹奈さん!」
「大丈夫!?和樹奈!貴女はライブ中に貧血のような症状が起きて…」
「…………あーあ。アタシ最低だな。」
「…えっ?」
音芽は見た事のない和樹奈の様子に驚いた。
「アタシのせいでさ。ライブ失敗してさ…お客さんの期待も裏切ってさ。」
「アタシ何がしたかったんだろうな……」
「…ほら皆ライブ頑張ってたじゃん。それなのにアタシはそれを破壊して…っ」
和樹奈は自虐する。
「アタシ、カナの気持ちを裏切ったんだよ…!」
「それは…自分の責任で…っ!」
「違うよ!自己管理が出来なかったアタシが悪いよ!」
「…あ、あの歌奏さんと和樹奈さん!喧嘩は辞めましょう!外に聞こえますから!」
音芽が仲裁に入った。
「ごめんなさい。譜久村さん。確かに迷惑だったよね。」
すると、外から声が聞こえてきた。
「ねえ…極ノ音のメンバーの相楽かっこ悪すぎない?」
「いやほんとそれ。譜久村さんと音成さんは凄かったのにね。」
「いや、メンバーの体調を見ていなかった音成の問題でもあるでしょ。本当にあの人って冷たいよね。」
「…………あ…」
三人にはその声が聞こえてしまった──。
皆さんこんにちは。小山シホです。さて久しぶりの投稿です。
今回は初めての新極ノ音のライブですね。最初は良かったものの、最後は…?
そしてその後、果たして彼女達はどうなって行くのでしょうか。
次回予告
失敗したライブの後、名誉を取り返そうとする極ノ音。だがこの事は思った以上に有名になってしまい…?




