第3話「貴女のやってる事は」
~数日後~
~Squareにて~
「ねえねえ、カナ!またカナのメンバーになりたい人が来たよ!」
「なんか最近それ多い気がするよ...まあ悪い事では無いけど。」
音芽がオーディションを受けた後、いきなり歌奏のメンバーになりたいという人が増えた。どうやら、音芽が歌奏の良い所を言っていたのを皆聞いていたらしい。
「あ!その人、後少しで来るって!だからカナはオーディションの用意しないと!」
「はいはい。分かった分かった。早めに用意するよ。」
そして数分後──。
「──すみません!」
オーディションを受ける人が来た。その人の名前は木鈴香音。音芽の友達で学校も当然、渋谷川学園。学年も一緒。音芽に似たような性格で明るい。
「オーディション受けて良いでしょうか!?」
「...良いよ。貴方、名前は?」
「木鈴香音って言います!音芽ちゃんの友達なんです!」
「音芽さん...?ああ、譜久村さんの事?数日前くらいに自分の所に来ていた気がする。」
「ですよね!音芽ちゃん、『極ノ音』の事、好きですからね!」
音芽は渋谷川学園で有名なほど『極ノ音』のファン。香音も『極ノ音』自体は好きだが流石に音芽程、好きでは無い。だが音楽が好きなのは同じなので音芽がオーディションを受けた事を知り、自分も受ける事にした。
「(やっぱりあの子、『極ノ音』を気に入ってるんだ。)」
「それは良いとして。オーディションを始めるけど良い?」
「はい!勿論です!この時の為に準備してきましたから!」
「分かった。それじゃあ初めて。曲はなんでも良いよ。」
「分かりました。じゃあ、音芽ちゃんと同じ『Ξεκινάει, εμείς.』にします!」
そして香音のオーディションが始まった。
「──♪───!」
「(悪くない音。譜久村さんに近い実力。)」
「(...あれ?スマホに通知が来ている...?え...?『きすず かのん』が仲間になりました...?)」
「(教えてないのに...あ、もしかして譜久村さんが?)」
「(成程。おそらく、譜久村さんから仲間登録の方法を教えてもらったのかも。)」
「(っと。そんな事はどうでも良くて。木鈴さんの音を聞かないと。)」
「──♪─────♪!」
そして香音が曲を歌いきって──
~オーディション終了後~
「お疲れ様。オーディション終了だよ。」
「ありがとうございました!」
「合格はまた後日送るからその時に見るように。」
実は香音は音芽から歌奏の『Rain』アカウントを仲間登録を教えてもらい、歌奏を仲間登録した。その事を歌奏は知らなかった為、オーディションに『Rain』を見たら香音のアカウントが仲間登録されていて驚いた。
「分かりました!...よし!音芽ちゃんにオーディションを受けた事言おうかな!」
「それじゃあさよなら!ありがとうございました!」
そう言って香音は帰って行った。
「ねえねえカナ!さっきの木鈴さんって人結構、良かったくない!?」
「え...?和樹奈何処に隠れてたの...?」
「あーごめんごめん。ちょっとジュース買ってたんだー」
「カナも休憩にしたら?流石にオーディションに来ている人が多すぎて疲れたでしょ?」
歌奏は和樹奈の言っている事に頷いた。
「まあ、確かに。それじゃあ自分も休憩スペースに行ってこようかな。」
「うん。いってらっしゃい!」
~Square 休憩スペース~
「ふう...此処のリンゴジュースは美味しい。」
「──ちょっと!なんでそんな言い方するの!?」
歌奏がリンゴジュースを飲んでいると突然、喧嘩している声が聞こえた。
「ん?トラブル?」
「……わたくしは別に事実を言っただけですが。『極ノ音』のリーダーは音楽を大切なんか思ってなんかいないでしょう。」
「違うよ!そんなの!なんでめいちゃんそんな事言うの!?音成さんは凄い人だよ!技術も高いし、礼儀正しいし!」
喧嘩している声は『極ノ音』のオーディションを受けた音芽とその音芽の友達、冥だった。
「きっとめいちゃんの妹さんももし見たら尊敬する筈だよ!」
「…莉衣が見ても尊敬しないと思いますけど。」
莉衣は冥の妹だ。性格も冥とは違う上にやってる音楽の種類も違うが、姉妹仲は良い。因みに莉衣はアイドルをやっている。名前は『エデュケーション♡⃛ファンズ』。
「莉衣はなにより音楽、アイドルというものを大切にしてますから。なので大切にしていない音成歌奏を見たとしても尊敬しないと言うでしょう。」
「あの"自称ボーカル"、"自称音楽家"は。」
冥のキツい言葉に呆れて声を大きくした。
「…もう!そんな事言う冥ちゃん知らないっ!」
「もう良いよ!おとめはそんな言い方する人といたくないし!」
「おとめはライブ会場行ってくるから!おとめに着いて来ないで!」
音芽は走ってライブ会場に行ってしまった。
「…流石に言葉を選んだ方が良かったでしょうか。でも譜久村さんだって薄々気が付いている筈。」
「……っ!彼処にいるのは…音成歌奏!?どうしてそんな所に!?」
「早く離れなければ──!」
しかし、それは叶わなかった。
「──ねえ。貴方。」
「え?」
「貴方、自分のライブを見てくれていた人だよね。確か、譜久村さんと一緒にいた…」
冥は歌奏と会ってしまった事により、冷静さを失った。
「どうして貴女が。」
「…自分は此処に偶然来ただけだけど貴方の友達らしき人と貴方が喧嘩しているのを見て気になって。」
「……譜久村さんはまだ分かってないだけです。わたくしの意見は全く間違っておりません。」
冥は少し焦りながらも自分の意見を言う。しかし、歌奏からは怪訝そうな顔をされた。
「…譜久村さんは自分に憧れてくれてるんだよね?」
「自分を馬鹿にするのは全然良いけど、自分を大切にしてくれているファンの人を馬鹿にするのは辞めてくれない?」
「それはファンの人にも失礼だから。」
一見正しそうな意見を言う歌奏。しかし、冥は全くそれを理解する気は無かった。
「はぁ……貴女の性格に飽き飽きしますよ。──貴女は音楽というものを大切に思っていないのに。」
「…!」
それは歌奏にとって図星だった。歌奏はあくまで自分の母、涼の為に音楽をやっている。そこに音楽に対する深い愛情は見えない。
「貴女確か、有名である…いや今ではもう有名『だった』、『SuZuMi』さんの娘でしょう?」
「………それは知ってるんだね。」
「当然でしょう。『SuZuMi』さん、本名は『音成涼』。かつてSquareで活躍していたシンガーソングライター。」
「ファン曰く、『SuZuMi』さんは音楽を大切にしていて誰よりも音楽な好きな人って言われていたそうですね?」
「まあ、『SuZuMi』さんはある事がきっかけで音楽活動を引退したようですが。」
「………それに対して貴女はどうでしょう。…貴女は『極ノ音』で音楽活動をしている。」
「しかし、『SuZuMi』さんとは違って批判も多い。それはどうしてだと思いますか?」
長い話の中、冥が質問する。
歌奏はよくある答え方をした。
「それは…自分の実力が足りていないのにも関わらず、他の人に厳しい事を言っているから?」
「違います。貴女は──」
「──音楽を大切になんかしていない。しかもそれは『SuZuMi』さんが望んだ事でもない。」
「『SuZuMi』さんをもし尊敬しているなら、音楽を大切にして当たり前では?どうしてそんな事すら分からないのですか?」
「…『SuZuMi』さんを尊敬している人が。」
冥は自分の感じていた事を全てを言った。だがその厳しい言葉は歌奏は自分の考えを否定されたと考えてしまった。
「違う…!それは違う!!」
「自分の音楽のやり方は母がやれと言ったものだよ!自分の意志でそんなやり方をする筈が無い!」
「自分は母を尊敬している!だから母がやっても良いと言った方法をしているだけ!」
「それとも何!?母は自分のやっている事は誰も尊敬していないと言った事を何処かから聞いたの!?」
歌奏はついつい感情的になってしまう。だが、それは冥には全く相手にされなかった。
「…自己中心的ですね。やり方を否定されただけでこんな感情的になって…」
「まあとにかくわたくしは此処を去ります。本当に無駄な時間でした。」
「……音楽をやる意味くらいは考えた方が良いですよ。『音成歌奏』。」
そう言って冥は去って行った。
「…っ!何で自分は言い返しもせずに…!」
歌奏は自分の弱さを嘆いた──。
皆さんこんにちは。小山シホです。さて、今回遂に冥と歌奏が出会いましたね。「出会ってしまった」のでかなりギスギスしていますが...
さて、一方音芽は冥と意見が対立して何処かに去ってしまいますが、その後、どうなってしまうのか...
続編をお待ちください!
次回予告
数日後、オーディションの結果が届く。その頃、音芽と香音はSquareにいた。二人は同時に結果を見る。二人は合格したのか──!?一方、歌奏と冥は数日前の事が忘れられず...




