第2話「音楽をやりたいと言った少女」
~翌日~
~夕方~
~Squareにて~
「ねえねえカナ!アタシ、どの楽器使えば良い!?」
「...そんなのは自分で決めて。自分なんかに聞かれても...自分はボーカルしかやっていないから。」
軽くあしらう歌奏。それに対して和樹奈は笑いながら言った。
「え~?酷いな~まあ、別にアタシ、音楽に関しては才能あるから!ギターとかベースとかでも行けるっしょ!」
「...音楽はそんなに簡単なものでは無いけど。」
「まあ、カナが言うならそうかも?」
「というかさ、ホントにアタシだけでメンバー大丈夫なの?これ、他のメンバーをSquareで探して来た方が良くない?」
和樹奈の提案に歌奏も確かにと思い、頷いた。
「まあメンバーが多いのにはデメリットは無いからね。」
「じゃあ、自分がメンバーを探して来る。もし、和樹奈がいた方が良いってなった時は連絡するから。」
そう言って歌奏はメンバーを探しに行った。だが、和樹奈は何処か不満そうな顔をしていた。
「うーん...カナの言ってることは分かるけどさー」
「どうしてアタシはついて行ったら良く無いんだろう?」
「(別にさアタシが行っても何も変わらなくない?アタシなんかメンバーに入りたい子を大歓迎するのになー)」
「まあ、いっか!カナの事だからもしかしたら考えがあるのかもしれないし!」
しかし、その疑問は謎に自己解決した。
一方、歌奏視点では…
〜Square 休憩スペース〜
「こんにちは。自分達、『極ノ音』は音楽活動をしています。もし、自分達と音楽を本気で奏でたいのなら…」
「是非、メンバーになって下さい。」
歌奏一人でメンバーのスカウトをしていた。
「ねえねえ、めいちゃん!今日の音楽の人凄かったね!」
「ええ。あの音はまるでプロのよう。」
一方、休憩スペースの別の所では冥と音芽が今日見たライブについて話していた。
「あの人達は未熟だとか言ってますけどどう考えても謙遜でしょう。」
「凄かったよねー!『α'βs。』の人達!」
『α'βs』とは、もう既に下手なベテランユニットの人気を超えるレベルの新人ユニット。メンバーはリーダーで独特のペースの赤立安と安の部下的存在で少し臆病な馬場瞳澄の二人。因みに安は高三で瞳澄は高二。
「『α'βs』…わたくしはこの人を尊敬します。何故なら単純に音楽に対する想いが段違いなので。」
「ん?でも、『極ノ音』の歌奏さんって言う人がいるよね?その人も音楽に対する思いは凄い気がするけど…」
冥は首を横に振った。
「いいえ。音成歌奏は決して良い音楽への想いでは無い。」
「確かに音成歌奏も音楽への想いはあるでしょう。しかし…」
「少なくともわたくしにはそれが決して良いものには見えないのです。何処か歪んでいるとすら思える。」
その言葉に音芽は驚いて飛び跳ねた。
「え?歪んでる!?そんな事、歌奏さんは無いと思うけど…!?」
「どうしたの?めいちゃん!歌奏さんへの当たりキツくない!?」
しかし、音芽の焦って出た言葉は冥には聞こえなかった。
「……譜久村さんには分からないでしょうね。まあそれも仕方の無い事でしょう。」
「とにかく、今は此処を離れましょう。もしかしたら音成歌奏が来る可能性がありますから。」
その言葉に音芽は混乱するが冥に従うしか無かった。
「う、うん。分かった。おとめはちょっとドリンク買ってくるから!」
「……?めいちゃん、歌奏さんと何かあったのかな…」
疑問が頭に浮かんだが、冥の方に向かうと決めていたので結局、その疑問を考える事は出来なかった。
一方、その頃、歌奏は──。
「………まずいかもしれない。」
全くメンバーが見つからずにいた。
「(流石に和樹奈だけだと…ちょっと足りないし…誰かいてくれれば良いんだけど…)」
「──すみません!」
「ん?」
すると誰かが歌奏に声を掛けてきた。
「あ、あの!本物の歌奏さんですよね!?」
「え?まあ、そうだけど…自分に会いたくて来てくれたの?」
歌奏は混乱しながらも声を掛けてきた人の話をする。
「はい!…それでお願いがあるんですけど…」
「お願い?」
「──おとめ、『極ノ音』のメンバーになりたいです!」
「…!」
そう。話しかけて来たのは歌奏のファン、譜久村音芽だった。
「(まさか自分からメンバーになりたいなんて言ってくれるなんて。でも)」
「(この子の実力が分からない…あ、だったら)」
「…貴方、ちょっと練習スタジオに来て欲しい。貴方の実力を測りたいから。」
「…!歌奏さんがおとめの実力を測ってくれるんですか!?」
音芽は嬉しくて飛び跳ねる。
「ええ。ただし自分の及第点に達しなかったら貴方はメンバーには入れない。それで良い?」
「勿論です!『極ノ音』は凄いユニットですから!」
「分かった。それじゃあ、準備が出来次第、練習スタジオに向かって。」
そう言って歌奏は去って行った。
「いやー楽しみ!まさか『極ノ音』のメンバーになれるチャンスがあるなんて!」
「(...おとめが『極ノ音』に入って素晴らしい演奏を見せたらめいちゃんも印象変わるかな?)」
「っと!取り敢えず、自分の事を気にしないと!...準備はうん!出来た!」
音芽は練習スタジオに向かって行った。
~Square 練習スタジオ~
「...これから、『極ノ音』に入る為のオーディションを始めるよ。」
「え~?そんな大胆な名前付けなくて良くない?」
「ちょっとそれがあの子に聞こえたらどうするの!」
歌奏と和樹奈は小さい声で話す。それは運の良い事に音芽には聞かれていなかった。
「...コホン。それではオーディションを開始する。」
「貴方の名前を教えて。」
「はい!譜久村音芽です!宜しくお願いします!」
「譜久村さんね...ああ、因みに自分の隣にいるのは相楽和樹奈。一応、『極ノ音』のメンバーだけど...まあ、あまり頼りにならないかな。」
「ちょっと!カナ!酷いよ~!」
「...はあ。ごめんなさい。譜久村さん。あの人が邪魔して...」
「気を取り直して譜久村さん、オーディション開始。頑張って。」
「──はい!」
そう言った音芽は自分のマイクを設置して歌い始めた。歌う曲は『α'βs』の「Ξεκινάει, εμείς.」。読み方は「クセキナイ、エミス」。意味は「始まる、私達。」というもの。『α'βs』の安の独特なネーミングセンスが際立つタイトルである。
「(...この曲は今日、演奏していたユニットの過去の曲...)」
「(そのユニットの名前は確か『α'βs』だった筈。新人と言われているのに既にプロに近い実力を持っている凄いユニット。)」
「(おとめはまだ『α'βs』さんみたいに完璧に出来る訳じゃない。けど)」
「("わたし”は音楽が好き!正直、ゲームと並ぶぐらい!)」
「(だからおとめは本気でこの曲を歌いきる!)」
そうして音芽の本気の歌から数分後──。
「お疲れ様。本気でやりきったね。」
「...はい...!もうおとめ動けません...」
「貴方がオーディションに合格したかは何日か経った後に『Rain』で連絡する。...だから申し訳ないけど『Rain』の『仲間登録』したいからちょっとQRコードを見せて?」
『仲間登録』とはメッセージを送れるアカウントを登録すること。要は『友達登録』とほぼ同じ。
「分かりました。おとめのはこれです!」
「ありがとう。...改めてお疲れ様。」
「家に帰ったらゆっくりと家で体を休めて欲しい。...それじゃあ。」
そう言って歌奏とついでに和樹奈も去って行った。
「いやーおとめ、オーディション受かってたら良いな!」
音芽は明るい声で家に帰って行った──。
皆さんこんにちは。小山シホです。さて今回、遂にオーディションに受けたいという人が現れましたね。その名は譜久村音芽。果たして彼女はオーディションに受かったのでしょうか。それが分かる日をお楽しみに。余談ですが、途中のギリシャ語はGoogle翻訳を使っています(私はギリシャ語の使い方をしりません)。
次回予告
音芽がオーディションに受けた後、他の人達もオーディションに受けてくるようになった。その人達は技術が音芽と同じくらい良かった。その後、一旦、休憩している時に歌奏はスタジオの休憩スペースで「ある人物」と会う羽目になって──!?




