6話
ユウリの主人であるレオナルトは、日本に来て仕事をしています。
石油や天然ガス等、自然エネルギー発掘の技術開発の為に、その大元から抜擢され何年間かの契約で来ています。
自宅で仕事をし、週に一・二度会社に出向いて技術開発の論議を話し合い、形にしようと努力しているのです。
子猫のユウリはまだまだ小さいですし、人間社会の仕組みなんて猫社会には関係ありません。
それでも決まった時間にずっと椅子に座り、黙々と光る四角い枠に向かっては紙に書いてブツブツ呟いているご主人を見て、ユウリは不思議に思いました。
ミャー
ユウリはレオナルトのズボンにしがみつき、よじ登ろうと必死です。
まだ小さな子猫なので、本来持ち合わせている跳躍をいかした軽やかなジャンプが出来ないのです。
「どうした?つまらない?」
ミャー
とズボンにしがみつきながら、真っ黒な瞳でこちらを見ながらなくユウリが可愛くてレオナルトは
「しょうがない子だね」
と頬を緩ませ膝の上に乗せました。
でも、小さい子猫なので机の上の光る物が何なのか、見えません。
(届きません。見えません)
ミャーミャー
(見せてくださいな)
ミャーミャー
(美味しいものでしか?)
ミャーミャー
ぽん
膝からレオナルトの服の上から彼のお腹にしがみつき、ミャーミャーと顔は机の上の物を見ようと必死のユウリの頭をレオナルトは撫でました。
そうして服から剥がし、再び膝の上に仰向けにさせると、お腹から首にかけて
ナデナデ
します。
「もう少ししたらお昼にするよ。そうしたら遊んであげるから良い子におし」
小さいお腹をナデナデするレオナルトの指が、あんまり気持ち良くて
子猫のユウリは初めの興味も忘れて、ご主人様の指にまとわりつくのでした。