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猫恋  作者: 鳴澤うた
5/16

5話


 ご主人様の名前はレオナルト・マルコなんとか・かんとかと言う長い名前で、わたしにはまだ覚えられません。


 ご主人様にユウリと言う名前を付けてもらいました。


 お友達のジャンさんが名前の由来を聞いたら

「雑誌から適当に」

と言っていました。


(雑誌って何でしょうか?)

 ユウリと名付けられた子猫は首を傾げながらも、それが美味しい食べ物だったら良いなあと思いました。





「もう良いかな? お腹一杯になった?」

 

 空っぽになった哺乳瓶をユウリの口から離します。

「出すもの出しちゃおうね」

 レオナルトはユウリを猫トイレの上に乗せました。


 只今、ユウリはトイレトレーニング中です。


 ちょこんとお手製トイレの砂利の上に乗せられたユウリは(市販の猫用トイレは大きくて子猫ちゃんには無理なんです)

 暫くご主人のレオナルトと見つめあっていましたが、飽きたのかトイレから出てしまいました。


「今回も駄目かあ……。お腹かお尻をマッサージして出すか……」

 そう考え直し、ティッシュに目をやるとその上にユウリが乗っています。


「あっ」


と慌てて抱き上げるものの、すでに手遅れ。

 

 ティッシュ箱の取り口にご不浄。

 ティッシュ一箱全滅です。

「やってくれた……」


 ミャー

となくユウリはご機嫌に見えました。





「猫用トイレにしないで、ティッシュ箱の上でしちゃうんですよ」

「間違えて覚えちゃったのか、ティッシュの肌触りが気に入ってるのか……」

 動物のお医者様は、子猫の身体を入念にチェックしながら言います。


「便も出ないし……」

「今の猫用ミルクは消化が良いんだよ。五日間くらいは出なくても大丈夫」

「きょうがその五日目です」

 お医者様はう~んと言いながら、お腹を擦ります。

「……あんまり溜まってないけど……肛門刺激してみようか?」

「お願いします」

 綿棒にオイルを浸し、お医者様は子猫ユウリの肛門を刺激します。


 ミャーミャー

(きゃー! 何でしか?こちょこちょしまし)


 ミャー

(……何だかお腹さんがムズムズしまし)

 

 ミャー

(う~)


 ユウリの身体が震えだしました。


「あっ、出た」


 ご主人のレオナルトに動物のお医者様は大喜びです。



 その様子を、机の上で見ていた動物病院の飼い猫のレオは

(あの人間は俺の見立て通りの男だったな)

 ニャー

と一声ないて再び瞳を閉じました。


 

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