表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫恋  作者: 鳴澤うた
10/16

10話


──夢だ。これは夢だ──


レオナルトは寝ている自分の胸の上に座っている、人間の赤ん坊を見てそう思いました。


 起きなきゃ──そう思うものの、身動きが取れません。

 これが金縛り

 レオナルトは初めての経験に少々焦りぎみです。


 ──どいてくれ──


 懸命に声を出します。

 胸の上にいる赤ん坊に声が届いたのでしょうか?


 ミャー


と返事をしました。




 ……ミャー?


「ユウリ……?」

 レオナルトはようやく覚醒して、胸の上にちょこんと乗っかり、こちらを覗き込んでいる黒子猫を見つめます。


 部屋は闇。

 真っ黒なユウリは、闇にまみれてまっくろけ。

 見えるのは、光る目二つ。

 それでも闇に慣れてきたレオナルトの瞳は、自分の胸の上でくつろいでいる、自分の飼い猫をはっきりと確認し


 はー


と、安堵の息を付きました。


 ひょいと持ち上げると無邪気に鳴く子猫に、自分の胸をポンポンと叩いて言います。

「ユウリ、ここは止めておくれよ。うなされるから」

 ミャー

「分かってんのかなあ……」

 レオナルトは苦笑しつつ、ユウリをいつもの寝床に連れていきます。

 浅い果物かごに、よく抜け毛が付いて良いとおすすめのフリースを敷き詰めたユウリ専用のベットです。

「じゃあね、お休み」

 ユウリの小さな頭をナデナデして、再び自分のベットに入りました。


 やれやれ

 小さく息を付き、瞳を閉じると


 ミャー


とまた、ベットの下から声がします。


 そしてベットに上がる気配。

「……ユウリ」

 ミャー

 枕元まで来て鳴くユウリ。

 そっと手を差し伸べると嬉しそうにスリスリして


 コロン


と横になりました。


 猫は気分屋です。

 しょっちゅうお気に入りの寝床が変わるものです。


 ユウリの場合、初めてのホテルでのお留守番が心境の変化を促したのでしょうか?


「……まあ、良いか」

 レオナルトは身体をベットの真ん中からずらし、子猫が誤って床に落ちないようスペースを作ってやると、ようやく眠りについたのでした。





ムーンで書いている方の執筆の為に、また暫く休載します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ