拝啓
ずっと、あなたに言いたかったことがあります。
小さなことだけど――いつでも言えたはずのこと。
けれど、もうそれを伝えることは叶いません。
いつも我儘を言って、ごめんなさい。
いつも迷惑をかけて、ごめんなさい。
こんなどうしようもない私で、ごめんなさい。
肩書きや能力は立派かもしれないけれど、
何もかもができない私を――救ってくれてありがとう。
あなたに出会えて、幸せでした。
あなたに会えて、大切なものを取り戻すことができました。
あなたが「生きていていい」と言ってくれたとき、
とても嬉しかった。
本当に、ありがとう。
ただ無気力に人生を終えるだけだった私を、あなたが連れ出してくれた。
初めて暗闇から抜け出し、明るい世界に触れられた。
あなたには、感謝してもしきれません。
だから――せめてものお返しです。
どうか、私の分も生きてください。
どうか、私が経験できなかったことを、あなたがしてきてください。
そしていつか。
何百年でも、何千年でも待っています。
私に、会いに来てください。
ずっと、ずっと待っています。
――いつか、あなたとまた会う日まで。