彼は私に初めて会ってから3回目に、“結婚しよう”と言ってきたの!
彼は私に初めて会って3回目に、“結婚しよう”と言われる!
正直、初めて会った時も彼は私にしつこく、やたら口説いてきた!
こういう男性は、きっと女性に毎回、そう言っているのだろう。
そして彼と2回目に会った時は、私と結婚を前提に付き合ってほしいと
言ってきた!
申し訳ないが、“完全にモテなさそうな中年のオジサン相手に結婚前提と
言われても、” そんな風には考えられない!
私はこの男性に気を遣って、遠回しに断ったのだが......。
・・・まさかの? 3回目にこの男性と会った時に、私と結婚してほしいと
しつこく何度も私が断っても、彼は引き下がらなかった。
たぶん、私が2回目に会った時に遠回しに断ったせいで、この男性は
私が彼に気を遣って、“断るつもりはなかったけど、俺が彼女にそうさせて
しまった”と思い込んだらしいのだ。
『“俺と結婚しよう!”』
『えぇ!?』
『前に会った時に、俺が君に気を遣わせてしまったんだと反省したんだ!』
『はぁ!?』
『俺なら大丈夫! 絶対に君を大切にするから!』
『・・・な、何を言ってるんですか?』
『俺は君を幸せに出来る男だよ!』
『“私達、会ったのは3回目ですよね。”』
『“会った回数じゃない! これは、運命なんだ!”』
『・・・も、もうこの話はやめませんか?』
『どうして、もっとふたりで愛の話をしよう。』
『わ、私は、貴方がタイプではありません!』
『何を今更そんな事を、』
『“オジサンはタイプじゃないんです!”』
『でも? 年上の男性がいいって、言ってたじゃないか!』
『3つぐらい上なら全然、許容範囲ですけど、20歳以上も離れた
男性は、“ただのオジサンでしょ!”』
『歳の差は直ぐに埋まるよ、先ずは俺と付き合ってから、』
『“ごめんなさい、私、無理です!”』
『俺は君を絶対に諦めないよ!』
『もういい加減にしてください!』
『これは、運命なんだよ!』
『“もう二度と貴方と会いたくありません! さようなら。』
『・・・また何処かで会えるよ、これは運命なんだ!』
『・・・・・・』
・・・あの中年のオジサンは、“自分にやたら自信があるのか?”
何度私が断っても、諦めてもらえなかった!
あれからも、このオジサンは私の携帯番号や会社までどこで調べたのか?
付き纏ってくるようになったの!
正直、“私にとって、この中年のオジサンは迷惑でしかない!”
たった3回目で、この男性は“私を運命の女性だと思い込む!”
私は何一つ、この男性に運命も感じないというのに。
そもそも、モテなさそうなこの中年のオジサンは女性なら誰にでも
運命を感じてそうな気がするわ。
*
・・・偶然! 私はあの中年の男性を居酒屋で見かける。
『“これは、運命だ! 俺と結婚しよう!”』
『えぇ!?』
『俺なら君を必ず幸せに出来る自信があるんだ!』
【やっぱり、そういう男だったんだ、】
・・・私は遠くから、携帯でこの男性の動画を撮り始める。
動画を撮り終えたら、この男性に見せるための証拠に撮ろうと
思ったからだ!
誰にでも、誰彼構わず女性ならこんな事を言う男の事なんか、
一切! 信用なんか出来る訳がない!
『何が、“運命よ! 私には既に運命の男性がいるのよ!”』
『いや? そいつじゃない! 俺が君の運命の男だよ!』
【トントン】
『はぁ!?』
『どうも、“私にも運命の女性とか言ってませんでした?”』
『・・・・・・』
『動画も撮ってますよ! この男性、私にも同じ事言ってましたよ。』
『ヤダ~誰にでも言ってるんじゃない!』
『そうそう! じゃあ、同じ境遇同士! 一緒に飲みませんか?』
『いいわよ! アンタは帰って! あぁ、お勘定済ませておいてね。』
『・・・そ、そんな、』
『気持ち悪いから、早く帰ってよ!』
『・・・わ、分かったよ、でも俺はまだ諦めてないからな!』
『はいはい、じゃあね!』
『すみません、ここのお勘定、先にお願いします。』
『あぁ、7565円です。』
『・・・じゃあ、カードで。』
『毎度、ありがとうございました!』
私とあの中年のオジサンに口説かれていた女性は意気投合して、
これを機に仲良くなった!
まあ、決してあのオジサンに結婚を迫られても、、、。
悪い事ばかりじゃないと言う事だけはよく分かったわ。
・・・あれからあの男性から、私も彼女も連絡もなく!
普通の生活が戻ってきたわ。
でも? きっと他の女性にまた同じ事を何処かで言ってるんでしょうね!




