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第一話、トラック殺人事件

中古で買ったドラクエ7のボスが状態異常耐性を持っていてムカついたので、その怒りだけで書きました。たいした内容はありません。ドラクエとも一切全く関係ありません。

耐性とか言うクソ要素をぶっ壊す会改め、邪神使徒の会


1:トラック殺人事件


 目の前には巨乳の女。服装はグレーのスカートスーツで、細い縁の眼鏡を掛け、パイプ椅子に座っている。

「どうもどうも、毎度おなじみの女神ですわー」

 満面の笑み。初対面にも関わらず、毎度とは何の事だろう。解せない。

「すみません、どちら様ですか」

 疑問を口にすると、自称女神は手を口に当てて笑った。

「あら、いやですの。ラノベとかでよくあるアレですわ」

 何のことだか分からない、といった表情をくみ取ったのか、女神の顔色が変わった。

「あら、本当に知らないんですの?データにはオタクとあるのですが」

「オタクですが、ゲームオタクです。ラノベやアニメや漫画は門外漢です」

「え?嘘でしょ・・・オタクだから狙ったのに」

 ほんの数分前、俺は死んだ。死因はトラックとの接触事故。狙ったということは、まさか・・・。

「え?俺、女神さまに殺されたんですか?」

 絵に描いたような「しまった」という顔をする女神。

「そ、そんな事、あるわけが無いじゃないですの。たまたま召された魂の中から選んだだけですわ」

「何のために?」

 門外漢とはいえど、異世界転生ものの知識は多少なりともある。前世で頑張ったご褒美に異世界で面白おかしく暮らすと言ったパターンもあるが、大して頑張った記憶の無い俺には当てはまらない。つまり、もう一つのパターンである世界救済が使命なのだろう。

「それがですねぇ、本当に身に覚えが無いのですが、同僚が私の世界にちょっかいを出してきましたの」

 身に覚えが無いというのは本当だろうか。ここまでほんの短い会話しかしてはいないが、この自称女神がロクでもない事はすでに感づいている。まず間違いなく、この女神がやらかしたに違いない。

「そいつに謝ればいいんじゃないっすか」

「なっ!ちょっと、なんで私が悪い前提なのですか!」

「違うん?」

「ちーがーいーまーす。私は潔白ですわ。いいからチート能力あげますからそいつを私の世界から追い出してください」

 女神は立ち上がると、俺に向かって指をさしてそう凄んだ。

「とは言っても私、自慢じゃないですがそう言う事には詳しくないんですの。なのでどんなチート能力が欲しいか言ってくださいませ」

 ラノベではよくある展開なのだろうが、残念ながら同じく俺も詳しくない。

「断ったらどうなんの?」

「あら?なんだかいつの間にかタメ口になってません?私、これでも一応女神ですわよ」

「どうなんの?」

 女神はニコリと笑う

「適当な能力付けて私の世界に放り出しますわ」

「しゃーないな。受けたるよ。で、どんな世界なん?テスっぽいやつ?」

「て、テス?ですの?ちょっとお待ちになって」

 と、言うと、女神はスマホを取り出してどうやらテスを検索しているらしい。数分ほどポチポチとして、首をひねり出した。

「アルファベットで、ティー、イー、エスね」

「まあ、それを早く言ってくださいまし・・・えーっと、ティーイーエス・・・ゲームっと・・・うーん、もっと剣と魔法のファンタジーな感じですわ」

 そっちはそんなに好きじゃないのだが、どうせ選り好みはしていられないんだろう。某クエやFが二つのやつで、最も嫌いなところは、ボスが状態異常耐性を持っている事だ。

「状態異常系の魔法ってあんの?」

 と、尋ねると女神はコクンと頷いて口を開いた。

「あるにはありますが、強くなると耐性を持ちますので、役にはたちませんわよ」

「じゃあその耐性無効のスキル頂戴」

「え?何ですの、その弱そうな能力。もっと強そうな物にした方がいいんじゃございませんこと?」

「いいから全ての耐性を無効にするスキルくれ」

 女神はふくれっ面になったが、あきらめたようにため息を吐いた。

「・・・はあぁ、じゃあ聞いてみますわ」

 そう言うとまたスマホを取り出し、今度は何処かへ電話をしているようだ。

「あ、私ですわ。今回の勇者様は全ての属性を無効にするスキルが欲しいそうですわ。・・・ええ、ええ、複雑だからバグが出るかも?うーん、まあ多少は良くてよ。・・・ええ、じゃあお願いしますわ」

 女神は電話を切ると、また「ふう・・・」とため息を吐いた。

「誰?今の」

「管理チームのチーフですわ。私の下について世界を管理しているのです。・・・とにかく、次ですわ。私の世界で暮らすための素体を用意しましたの。戦士タイプ、魔道士タイプ、盗賊タイプを用意しましたが、魔法タイプでよろしいですね」

 魔道士タイプ、というのは知力や魔力が高く、体は弱いのだろうか。だとすると、これから一人で見知らぬ世界に放り出されるのなら、あまりいい選択肢では無い気がする。

「状態異常の魔法って、魔道士タイプじゃ無いと使えないんか?」

 貰えるチートスキルとの兼ね合い上、どうしても状態異常の魔法は覚えたかった。むしろこれが覚えられなければ詰んでしまう。

「いいえ、状態異常系は大して魔力を消費しないので、戦士や盗賊タイプでも使えますわよ」

 それなら選択肢は一つだ。

「じゃあ盗賊系で」と、いうと、また女神は怪訝な表情でこちらを見た。もう何度目だろうか。

「はいはい、じゃあそれでどうぞですわ」

 諦めた様にそう言うが、ラノベ好きとゲーム好きを間違えたのはそっちのの落ち度だろう。そう言ってやりたいが、面倒そうなのでやめた。

「次は種族ですわよ」

「人間以外にも種族がいんの?」

 と尋ねると、女神は得意そうにニコリとし、上に向かって手を差し出した。すると、女神の回りに光の紙の様なものが何枚も広がり、底に何やら映像が映っている。よく見るとそこには、人間に角が生えたような種族や、二足歩行する動物の様な種族が映っている。

「御覧なさいですわ。私の世界には多種多様な種族がございますのよ。あなたの様な特化した能力は無くても弱点も無いホーネス、力は弱くとも魔法に特化したエルフ、力の強いオーガやドワーフ、素早く可愛いホビットに動物の能力を持つ獣人などなど」

「ほーん」

 知りたいのはそこではない。言ってしまえば、この際、能力なんかはどうでもいい。

「エルフって長生き?」

「え?まあ、不老の種族なので死ななければ死にませんわ」

「じゃあエルフで」

「・・・」

 女神のその顔ももう見飽きた。

「あとイケメンにして」と、言おうとしたら、被せ気味に「はいはいはい分かりましたからもう転生してください。はーいっ」

 と、言って女神が天に手を掲げる。体の回りに光が舞い始める。段々と体の輪郭がぼやけて、やがて視界すべてが光に包まり。そのまぶしさに耐えきれず、目を閉じた。


 目を開くと・・・まだまぶしい。もう少し閉じていた方が良いみたいだ。


 ・・・

 

 ・・・

 

 ・・・


「ちょっと、もう目を開けてもいいですわよ」

 女神の声だ。恐る恐る目を開くと、そこは森の中だった。木々が開け、古びた小さい小屋が立っている。

「どうですの。最初の拠点には丁度良くありませんこと」

と、言う女神の声のする方を見ると、小さな妖精がいる。女神を童顔にしたような顔と、体にしてはデカい胸。そして、妖精らしい葉っぱをモチーフにしたような服を纏っている。背中には、虫の様な羽。

「お前、女神か?」

「そう、私は女神ですのよ?もうちょっと敬ってもらえませんこと?この世界の事を色々と教えて差し上げないといけないので、この姿でサポートして差し上げますわ」

「そっか。で、なんで俺は全裸なん?」

 そう、超イケメンの金髪エルフになった俺は、何故か、一糸まとわぬフルチンで森の中に立ち尽くしている。

「なんででしょう。そこそこいい装備を着せたつもりでしたのに」

 とりあえず家の中を物色すれば、着るものくらいはあるだろう。無くてもとりあえず布を羽織りたい。しかし、家のドアのノブに手を掛けた瞬間、ガラガラ、と、音を立ててドアが崩れた。

「おい女神。この家ボロいぞ」

 と、言って女神の方を見ると、驚いた顔をしている。

「なぜですの?今しがた作ったばかりでしてよ。古く見えるのは演出ですわ」

 このポンコツ女神の言う事など当てにならない。とりあえず家の中に入ると、ベッドにシーツが掛けられている。とりあえずそれを羽織ろうと手にした瞬間、ベッドごと崩れ落ちた。

「おい女神ぃ!」

 と、言って振り返ると、女神はスマホを手に何処かに連絡しているようだ。

「ええ、私です。勇者様が手にしたものが粉々に・・・バグですの?・・・え?仕様?物理耐性が無効になった結果・・・。はあ・・・じゃあ・・・あ、やっぱり?・・・わかりましたわ。ではまた」

 電話を切り、こちらを神妙な顔で振り返る女神。

「あなた、一生フルチンですわ」

「ば、ばかぁ・・・」

 大声で怒鳴りつけてやろうと思ったが、声が出ない。あまりのショックで、体の力が抜けてしまった。

「ど、どど、どうすんのこれ・・・なあ、女神さん・・・どうすんの・・・」

 よろよろと近寄り、女神に手を伸ばすと「キャッ!ちょっと触れないでください!粉々になりますわ!」などと宣い、上空へと逃げた。

「とにかく、私は対策の為にいったん戻ります。勇者様はここでお待ちください」

 脂汗をかき、目を泳がせながらそんなことを言っている。

「嘘だ!俺を置いて逃げる気だろ!ふざけるなこの悪魔!こんな呪い掛けやがって!お前、邪神の類じゃねーか!」

 と、空に向かって手を伸ばし飛び跳ねるが、もちろん女神には手は届かない。

「オホホホホ。すぐ戻りますわ、ごきげん・・・あら?」

 女神の様子がおかしい。スマホを取り出すと、またどこかへ連絡しようとしている。

「もしもし、私ですが、なぜかそちらへ戻れないのですが・・・え?無理な仕様変更によるバグ?え?当分、戻れない?ちょっと!どういうことですの!まちなさい!・・・もしもし?もしもーし?」

 耳からスマホを放し、こちらを見る女神。

「通話、切られましたわ・・・」


 そして百年後。

「ついに・・・ついに完成した・・・」

 百年も掛かってしまった。盗賊系のステータスの素体を選んだことが運の尽きだ。もし魔道士系の素体であれば、これほど時間はかからなかっただろう。

「やっとですのね・・・やっと、私たちの冒険が始まるのですね」

 女神も涙を流している。

 100年間、ずっとフルチンだった俺は、今、遂に服を着ている。いや、正確には、今もフルチンだ。女神に魔法の手ほどきを受けながら百年、服を着ている様に見える幻覚魔法を、遂に開発したのだ。とはいっても、複雑な服装の再現は難しく魔力の消費も激しくなるのでエルフの種族特性である魔力回復量アップでギリギリ消費魔力を相殺し、一日中幻覚状態を維持するために、上は白T、下は良く履いていたストレッチジーンズというクソダサコーデになった。とてもじゃ無いがファンタジーには似つかわしくない。唯一の救いは、イケメンに転生したことだ。そのお陰で、このクソダサコーデもどことなくオサレに見える。

 冒険をする上で、もう一つの問題点。それは触れたものを粉砕してしまうこの呪い。これは、比較的早い段階で対処出来た。触れた部分に魔力の膜を作り、物理的に防ぐと言った手法だ。これで全身を覆えば服も着れただろうと思うかもしれないが、そううまくはいかない。言ってしまえばこれは物理防御魔法なのだ。そんなものを常時発動していては、魔力が持たない。それを解決するために、物に触れた部分のみを自動的に魔力で覆うという魔法を開発した。これは元からある魔法を弱体化し、更に元から存在する自動化を組み込むだけなので比較的簡単に開発することが出来た。百年間の間で改良も進み、触れたものの感触も伝わるようにしてある。

 これで、腐蝕の呪いとフルチン、両方を克服したのだ。

「それで、女神。俺ってどれくらい強いの?」

 百年間でしていたことと言えば、魔法の研究と森での狩り程度だ。

「そうですわね、魔法は全て習得。魔法関連のスキルも全て手に入れてますわ。ただ、盗賊系の素体の上限がありますから、魔道士としての実力は中の上から上の下と言ったところですわ。でも、魔法創造という超絶レアスキルを自力で開眼してますから、それとエルフの種族特性の魔力回復速度アップを加味すれば上の中かしら」

 ショックだ。死に物狂いで重ねた百年の研鑽でも、才能が無い為に頂には到達できないらしい。

「くそぅ・・・あの時、なぜ魔道士系の素体を選ばなかったんだ、俺」

「そうですわね、森での狩りも罠系の状態異常魔法を使っていたから盗賊系のスキルなんて何一つ覚えてませんものね。物理攻撃が弱点の魔道士を極めれば、物理無効の完全無欠の魔道士の誕生でしたわね。オホホホホ」

 バカにしたような視線を送り、高笑いをかます女神。昔の俺ならブチギレていただろうが、百年も経てば俺だって大人になる。

「テトラ・フォ・シグ(重力の鎖)」

「ぎゃっ!」

 と、女神が悲鳴を上げて地面にたたきつけられる。一定範囲内の重力を強める俺のオリジナルの魔法だ。ちなみに魔法は魔力を使って魔法陣を形成することで発動するため、詠唱や魔法名を呼ぶ必要は無い。

「ちょっと!止めなさい!もー!・・・ふがっ」

 女神の頬っぺたを思いっきり引っ張った。女神が無事ということは、ちゃんと魔力膜による保護が効いているということだ。

「ひゃめふぇー(やめてぇ)」と、叫ぶ女神。この程度で済ませる俺、大人。

「ほんと、大人げないわね、あなた!」

 開放された女神がプリプリと怒っているが、気にしない。大人だから。

 魔道士として頂に到達できない事はショックが、それでもどれだけ格上の魔道士にも、負ける気はしない。この世界には相手の魔法をキャンセルするユーノ・フォ・シェラ(無音の声)という魔法がある。もちろん相手が格上であれば効かないが、俺にはチートスキル、耐性無効がある。どれだけ強い魔道士相手であっても、その魔法は全てキャンセルすることが出来る。

「がはは、ほんまチートやでこのスキル!」

 そう、やっと、チートスキルによる俺の無双活劇が始まるのだ。

一応途中までプロットは出来上がっていますが、文を描くのが苦手だから続かないかも

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