2話目
門の中を進んでいくと,何匹もの極卒が囚人を連れて本殿と刑場を行き来している。
罪の判決を受けた囚人を刑場に連れていくためだ。
かなり強引に連れまわしている。
一見、囚人は雑に扱われているように見えるが極卒も何人もの囚人を引っ張らないといけないので
かなりの汗をかいている。
怖い顔をしているがただ疲れているだけである。
他にも私が今歩いている道には囚人の刑を判断する審問官や上級の鬼が
かご車に載って道の真ん中を通っていく。
私はそんなものたちを避けるように、道の端を淡々と歩いて行った。
しばらくすると十字路についた。
まっすぐ進めば判決が言い渡される場所にたどり着く囚人たちはどんどんと連れていかれる。
私は生まれたときに少しの間だけ住んでいたことがある。
左を向けば刑場につながっている。
次の仕事場は刑場を超えた先なので私の仕事場へ向かうために刑場に入ると、すぐに口から光る体液を漏れている囚人たちがいる。
その者たちの列をなしていた。漏れ出した体液は足元に落ちる前に蒸発し、拡散していく。ここは言葉に関する罪を負った者を罰する場所らしい。漏れ出している体液は生命エネルギーといったところか、罪を犯した体の一部には穴が開いているのだ。
刑を受ける囚人たちは一人ひとり極卒の目の前にきて舌を出す。するとこの舌に釘を打たれ苦痛を与えられる。これがここの刑らしい、この苦痛を受け続けることで自分の背負った罪を精算するのだ。
釘を打たれたものは痛みでのたうち回るが強制的に立たされ釘を抜かれる。すると舌にあった傷がふさがり完全にふさがるとまた釘を打たれる。
いつも思うが大変そうである。全く口は禍の元とはよく言ったものである。
ここ最近は刑を受ける人が多くなったな、しかも姿勢も悪い。
ちょっと刑場の奥を覗くと、罪の精算を終えた囚人がいた。
すべてが抜け落ちたようになっている。体液も漏れ出していない。
内部には門の前を流れていた川から、引いた水道や支流を張りめぐらせている。この刑場には少し大きめの支流が近くにあった。
刑を終えた囚人は次々と、この支流がある方向に歩き出した。
たどり着くとしだいに川へ入っていく、支流に入った囚人の体はだんだんと形が朧気となり川に混ざっていく。こうやって最終的には生命の源になって次の命と混ざり合うそうだ。私は詳しくはないので聞きかじった話だ。
この支流にはよく見るとキラキラと光る輝きが泳いでいくのが見える。
支流は大きな海にそそいでいる。