ご
「着いたぞ」
久しぶりの町。幼い頃から住んでいた町内。記憶にあるのは、ずーっとここだった。どこを観ても色々思い出す。
町内のお祭りで神輿を担いで家々を周ったり、亥子祭りをしたり、ハロウィンなんて一ヶ月分以上のお菓子貰ったのに、橘は一週間で無くなってたよーな覚えがある。
子供達も仲良くて、年齢男女関係なくよく遊んだな。
懐かしい……近所のおばちゃんやおじちゃんも優しくて、小学校の帰り道会うと畑で作った苺を貰ったりしたな。
「おーい、着いたぞ降りろ」
「あっ! ごめん! ありがとう」
「いーって。入るぞ」
橘は自転車を家の横に置いて、そのまま玄関へ。私を置いて行った。何こいつ! 置いて帰るの? お尻は少し痛いけど、急いで後を追って玄関まで行った。
「ただいま」
「えっ? だれ?」
奥からおばちゃんの声が聞こえた。
「俺」
「晶? あんた学校は!? 」
の叫び声の後、ドドドと走ってくる足音。
「晶ーーー! ってえ、だれ? 女の子?……華ちゃん? 華ちゃんじゃないのぉー! はなちゃーん! おばちゃん見なくなって心配したんだからね」
「ウッセーよ。お腹すいたから、先ずは何か飯ない」
「ちょっと待ってなさいよ! おばちゃん特製オムライス作るからね」
「お久しぶりですおばちゃん。オムライスも久しぶりだから楽しみ」
「じゃあ! 作ってくるわね。入って待っててね。晶よろしくね」
「了解」
おばちゃんはぴょんびん飛び跳ねながら台所へ、相変わらず明るい。
「うっせーよ、なに騒いでんだクソボーズが! おっ! どこの子かと思ったら華かよ! こっち来い、おいちゃんが久しぶりに髪切ってやんよ」
「切らない」
「切らなくても良いからこっちに座りな。華」
おじちゃんが、こっち来いって手をフリフリしてくれている。私は、美容室のある店舗の方へ向かった。
私の髪はずっとおじちゃんが短く切ってくれていた。
幼い頃は長くてもちゃんと髪留めつけて可愛く結んでくれていた人が、仕事に復帰してからは結んでくれなくなったから、不器用な私は上手く結べないので自然と何もしなくていいショートカットになった。
私に似合ってたから、すぐにそちらの方が定着したから、長い髪の印象は私には無いと思う。
おじちゃんが待ってる席に座った。すると、水をかけてくしで髪をとき出した。
「切らないよ」
「久しぶりだな華。まあまあ見てろよ」
おじちゃんは髪を色々クルクル回し出しゴムで留めていった。すると、前髪をあげたとてもすっきり可愛い髪型になった。
「やっぱり華は顔を出した方が可愛いよ。キリッとしてよお」
「あ、あのありがとう。おじちゃん」
「おうよ! うちのオムライスは絶品だからよ、山程食べろよ華」
「うん! ありがとう」
私は、おじちゃんに見送られ家の方に帰った。あれ? 居ない、台所かな?
台所に行くと、大きなオムライスが二つ小さなオムライスが二つ置いてあり、サラダと特製野菜スープも置いてあった。懐かしいメニュー、ホカホカ湯気がたってとても美味しそう。久々にお腹が空いた感じがする。
「できたよ華ちゃん。あらまあ! 可愛くなって華ちゃんは美人さんの顔だから隠しちゃったら勿体ないね。おばちゃん華ちゃんのキリッとした目が好きなんだよね」
「母さんできた?父さん呼んでくる」
「冷めちゃうから早くね」
「了解」
わたしは、こんな普通の生活が欲しかったの……