表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

よん

「お金は後でちゃんと返すから」


「いーって、俺のバイト代だから奢ってやるよ電車賃ぐらい」



私は、お金も何も持ってなくて橘から電車代を借りた。まあ、全て橘のせいだから奢ってもらっとこうと思う。



「じゃあ、ありがとう」


「おう」



駅を出で歩こうとしたら、橘に止められた。ここで待ってろって言われたから私は、駅横のベンチで座って辺りを観てた。


 懐かしい駅前の風景。友人達と映画に行ったり、遊びに行ったりしたっけ。橘とも花火の後、駅で一緒になって夜道を歩いて帰ったっけ。


 確かお互いの夢の話とかしたな……あの頃色々あったけど、楽しい事も沢山あったな……



「わりー待たせたな。喉乾いたろこれやるよ」


「ありがとう。久しぶりかもこれ飲むの」



橘は紅とシルバーのお洒落な自転車と一緒に現れた。籠から私の好きなジュースを取りだしくれた。


 久しぶりの炭酸飲料。そういえば中学以来飲んでないかもしれない……飲んでないわ。私は何を飲み食べていたのかな……


 ペットボトルの蓋を開けて口をつけると、甘い香料の香りがする。喉を通る炭酸の刺激……懐かしい味だわ。



「行こうぜ、腹減ったから帰ろう」



橘はジュースを飲み干して、籠に入れ自転車に乗った。そして、私を待ってる。待ってる? えっ? 視線で後ろに乗れと言ってる?



「無理だって……」


「歩くより速いから乗れ」


「重いし」


「家まで坂道ねーから平気だって、乗れよ」


「……」



このまま居るのも変だし、仕方なく後ろに乗った。結構安定感あるかもって思った途端、自転車は走り出した。



「うわー! 落ちそうだけど!」


「落ちないようにどこか掴んどけよ。俺も初めて人乗せるからちょっと余裕無い」


「大丈夫なの?」


「ぐらつくからどこか取り敢えずもて」



私は、目の前にある橘の制服を両手で掴んだ。今は春だから、冬服を着てるから生地を掴めば大丈夫かなと思ってたら。



「中途半端だろーしっかり掴めよ」



言われて、肉も掴むことにした。



「いってー!掴みすぎだ!!!!!」



昔みたいに普通に会話できる事に不思議な感覚と、楽しいという感情が沸いた自分が怖かった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ