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次の日から、女の子達の視線が何か変化した様な気がした。
私は別に陰キャだけど、馬鹿なわけでも鈍いわけでも無い。雰囲気を察知する能力はどちらかと言うとあると思う。ただ知らないフリをしてるだけだから。
「ねえ~飯田さん。今からちょっと良いかな~ 」
私は一つ頷いた。着いていくと、近くの空き教室。
何この展開、まるで少女漫画みたい。こんな事って本当にあるんだ。凄い。
ガラッと扉をその子が開けると、中には数人の派手目な女の子達が、座って携帯見ながら騒いでた。
「連れてきたよー!」
「おっ! ちゃんと連れてきたんじゃん。あんだけ嫌がってたのにぃ~スッゲーじゃん」
「こんなのと一緒に歩くのだけでも嫌だって! デカイし、辛気臭いし鬱陶しいんだよ!」
私は背は高いけど……髪も伸ばしっぱなしだけど……当たってるね。デカイし、辛気臭い鬱陶しい……反論できないかも。そのままだからね、仕方ないか言われても。うんうん
「ちょっと~ あんたさぁ~ 橘君の何なの! 彼が自分から女の子に話しかけたのは、あんただけなのよ! 私はずっーと橘君好きだったんだからね。横取りしないでよね」
「大丈夫だって。愛、見てみなよこいつの姿こんなん橘君と釣り合わねーって!
愛はうちらの中でも一番の人気じゃん、橘君もそろそろ愛の誘いに乗ってくるって」
「そうよ!この私が一途に想ってるのに、断り続けるなんてあり得ないわよ!橘君って照れ屋だから、私の可愛さに照れてるだけよね。きゃっ! 可愛いわ!晶って」
「そうだって」
「うんうん」
「愛、アイドル並に可愛いじゃん」
「この前歩いてて、スカウト受けたんでしょ」
「本当?すっご~デビューするの?愛」
何だろうこの子達は、うちのクラスの陽キャの子達とは又、違った感じだね。世の中色んな人が居るな、あんまり関心無いけど。
クラスに帰って良いかな? 次の授業始まるし。私は別に要らないみたいだし、帰ろ。開けっ放しだった扉から出ようとしたら、背中に痛みが走った。
その後、ガシャンっと何かの割れる音がした。
「なにかえってんだよ!!!話はおわってねえーだろーがあ!」
振り返ると、さっきの愛って子が手を伸ばして何か投げた後のまま私を睨みつけてた。下を見ると、手鏡が粉々になってる、心の中で大きく溜息ついて。
「橘君とは小学校と中学校が一緒なだけです」
「ふぅーん。でも、親しそうに話してたじゃ無いの!」
えっ?そんなに親しそうにしてたっけな?私はあんまり喋って無い様な気がするけど。
「そうですか」
「そうなのよ! 橘君は晶はね。女の子に自分からは話しかけないのよ! そこら辺のチャラい男と一緒にしないでよ!」
うーん!? この子の言ってる事よく分からないけど、なんとなく穏便に終わらせた方が絶対に良い様な気がする。二人のイザコザに私を挟まないで欲しい……
「橘君とは本当にそれだけで、それ以上でも以下でも無いですから。授業が始まるので帰りますね」
「待ちなさいよ! まだ話は終わってないわよ!」
あの子が私の元へ走り寄ってくる前に、私は逃げた。
扉を出で教室迄走ろうとしたら、隣の部屋から手が出てきて私は中に引き摺り込まれた。喋ろうにも口を塞がれてるから何も喋れないし、身動きもできない。
その部屋の扉がスッーっと閉まると、その部屋は真っ暗になった。