そして冒頭+α
誤字脱字報告ありがとうございます!
「なぜエドアルド王太子殿下がいらっしゃるのだ?!」
目の前には輝くばかりの金髪に澄んだ紫の瞳、そして整った容姿のこの国の第1王子にして王太子がいた。
控えていた者たちの濃紺の制服は王国軍部とは別の王族のみの近衛騎士のものだったことを思い出す。
――確か私は婚約の申し込みがあったとかその方がいらっしゃるとかで、急遽実家に帰って来る羽目になったはず
なぜだ?
「軍部以外ではお久しぶりです、シャルティア様。大変長い間お待たせしてしまい申し訳ありません。約束通り私と婚約し、結婚していただけますよね?」
この国では王族の男子は必ず士官学校へ入り、一定期間軍部に所属することになっており、この王太子も現在形で軍部にいるため訓練などで顔を合わせる機会があった。
しかし約束?なんだ約束って??覚えがない―――
それに家の者たちのこの生温かい目つきはなんなのだ?うっすら目じりに光るものも見え隠れする者もいるのだが
「・・・殿下がなぜ私のような『傷物』の行き遅れに婚約の申し込みをされるのが理解できないのですが。というか婚約者候補とかいましたよね?!」
「昔のように『エド』と呼んでください」
「話を聞け!!――そもそも殿下とは17も歳が離れているのですよ?もっと相応しい年の近いご令嬢がいらっしゃるでしょう?!」
「貴族間での歳の差なんて関係ないではありませんか。私は昔から貴女しか見えてません!シャルティエ様しか考えられません!」
「離れすぎだ!!というかそもそも殿下は王太子であろう?ご自分の身分を考えているのですか?!」
「お待たせしてしまった分、幸せにしますからね!」
「だから私の話を聞けぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
私は猛烈に困惑していた。
「まぁまぁシャルちゃん落ち着いて~」
のんびりしたいつもの口調で姉上が止めに入った。
「確かにエド殿下にはきちんと責任をとってもらわないと~」
「もちろんです。義姉上。きちんとした責任を取るため、こうして婚約の伺いに参りました次第です。」
「あらあら~義姉上なんて気が早いですのね~」
意味深な発言に疑問を覚えつつ、一見穏かに見える2人の目が笑っていないことに首を捻る。
すると今まで黙っていた父がゴホンと軽く咳ばらいをし
「シャルティア、とりあえず席に座りなさい」と促してきた。
その言葉に今だ立ったままだったことを思い出し「失礼いたしました。」とエド殿下の向かい側のソファーに腰を掛けた。