メンフィス家の人々?
お読みいただきありがとうございます~
「疲れた。」
軍の訓練でもこんなに疲れることはないのだが机に突っ伏すのは大目に見てほしい。
昨日に引き続き、朝からもやれ香油の入った湯あみだマッサージだ髪の毛のメンテだ化粧だともみくちゃにされた挙句に早々にドレスへと着替えもさせられた。
薄めの紺色をベースに金の刺繍を上品にあしらったドレスは肌触りもよく着心地はいいのだが――動きにくい!
よくもまぁ世の淑女たちはこんな物を毎日着ていられるものだなぁとしみじみ思ってしまう。
侍女たちも引き続き自分たちの仕事に満足したのか
「シャルティア様素敵ですぅ」
「流石スタイルがよろしいのでコルセットが仕事をしませんでしたわ」
「これで落ちない男がいたら見てみたいわ!」
キャッキャッと褒めちぎった後に
「「「それではお客様がいらっしゃいましたらお呼びに参りますね!」」」
と部屋を後にしていた。
うん。君たちの方が本当に可愛らしい
あぁもうさっさと来てくれ婚約申込者とやら!!!
そして私を早く軍部に帰してくれ!!
*****
暫くすると来客の気配がした。
すぐにヘレンが部屋へ迎えに来たことで、今は応接室に移動している。
「いいですかお嬢様。公爵家に恥じぬよう淑女として振舞われてくださいね。お言葉使いもですよ!」
当たり前のごとく釘を刺された。
「もう私もよい歳です。そのくらいの猫かぶりは出来る・・ますわ」
本当に大丈夫か?という目で見られている気はするが、まぁなんとかなるだろう。
応接室に到着し、ヘレンが声をかけてから部屋に入るとそこには父、母、兄、姉、執事長と古参の侍女たち―それと濃紺の制服に身を包んだどこか見覚えのる者たちがいた。
嫌な予感がするの。
そして私は父と対面でソファーに座っている者の後姿を見た瞬間、思い当たる1人の人物が想像できた。
お嬢様ご挨拶!と隣でヘレンが小突いてきたため慌てて挨拶をする。
「お待たせいたしまして申し訳ございません。メンフィス前公爵次女のシャルティアでございます。」
すると後を向いていた者は立ち上がりこちらに振り返った―
あぁ・・・やはり予感的中だ
「なぜエドアルド王太子殿下がいらっしゃるのだ?!」
そして私の困惑が始まった。
短いですが、キリが良いところで!