嵐は去りて
いつもありがとうございますー
「助かった・・」
「モテモテで大変ね。」
人気のないバルコニーまで来た瞬間にどっと疲れが出て、思わず呟いた言葉にクレアは笑いながら「お疲れ様。」と労ってくれた。
「しかし、メリッサ嬢様様だな。」
「ねぇ、グラーフ侯爵はいつもあんな様子なの?」
「気持ちの悪い男だろう?クレアもあいつにだけは気を付けるんだぞ!」
「分かったわ。でもシャルも十分に気を付けてね?」
「私はいざとなればどうとでも出来るから大丈夫だ。」
「本当・・・そういうところが心配なんだけどね・・・」
とクレアは呆れたような諦めたようなため息をついた。むぅ心配をかけてばかりだな。
私たちは目を合わせ笑いあった。
暫くの時間、学生の頃に戻ったように他愛もない話しをしていたが
「クレア、ここにいたのか。」
「あら、あなた?やだもうそんな時間?!シャルごめんなさいね。私たちもう帰る時間だわ。」
「そうだったのか。こっちこそ引き留めて悪かったな。」
「ふふ、久しぶりにたくさん話せて嬉しかったわ!またうちにも遊びにいらしてね。」
と言いこちらに向かった来ていたクレセント伯爵の隣へと移動した。
「シャルティア様、申し訳ありません。」
「こちらこそ愛しの奥様を独占してしまい申し訳ありません。」
「な、なに言ってるのシャルったら!」
照れた様子のクレアも可愛らしい。
「いえ。シャルティア様と話している時のクレアは本当に楽しそうで、少し妬いてしまいましたが」
「もう!あなたも何を言っているのよ!」
「はは・・すまない。それでは申し訳ありませんが」
「えぇ。お気をつけて。」
寄り添った二人の後姿を見送りながら、あぁ本当に幸せそうで良かったなと同時に愛し愛されるというのはどういう感覚なのだろうか?とも頭をよぎったが、らしくないことを考えてしまったと心で苦笑し去って行く二人を穏やかに見守った。
「さて、私はどうするか・・・」
そういえばあのむずむずとした感じは何だったのだろか?戻るのもめんどくさいななどと考えていると今度は
「シャルちゃん?ここにいたの?」
姉上がやってきた。
「ある程度社交も終わったから私たちもそろそろ帰ろうかと思っているのだけれど~。シャルちゃんはもう少し殿下といるかしら~?」
「姉上、私も帰りますよ。」
「あら、いいの~?まんざらでもないような感じもしたのだけれど・・・殿下は置いてきぼりね。お可哀そうに~」
まんざらでもないとはどういうことだろうか?
「はいはい。姉上帰りましょう!」
疑問に思ったが気にせず、今度は私が姉上を引きずり迎えの馬車が来ているだろう方へと向かうことにした。
*****
「エド殿下」
「なんだ?」
「見てばかりいないで話しに混ざりに行けばよかったのではないですか?」
近衛騎士の制服に身を包んだ幼馴染兼側近のフォルバンが呆れたように言ったが
「今日は大分強引に話しをしてしまったから・・・今日これ以上関わって万が一嫌われでもしたら困る。」
「そうですか。では王族席に戻りますよ。」
フォルバンはため息をつきながらそう言うと誘導しようとする―
「ま、待て!もう少し見ているだけでも・・」
「戻りますよ。」
勝手知ったる幼馴染としてエド殿下を引きずりその場を離れていく。
幼い頃からの友人ということで事あるごとに「シャルティア様がどれほど素晴らしいか!」を殿下に耳にタコができるほど熱く語られていたフォルバンは思う。
さっさとくっつくなり玉砕するなりしてくれ・・・と。




