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第1話 宣誓
「全員、聞け。俺の名はル・セト・アヴィル・ケテル──ケテル種ル氏族アヴィル家嫡男だ」
厳粛に執り行われていたその儀式をぶち壊すように祭壇の真上から飛び降りてきたその男は、着地するなりその場にいる皆に向けてこう言い放った。
「俺は此処にいるミラ・ユッタと契りを結び、生涯を捧げる剣であり盾となることを此処に宣言する。異論は認めん。納得できない奴は、己が剣を持って物申すがいい。全力を持って相手にしてやろう」
男の背後にいるのは、突然の出来事に腰を抜かしてその場に座り込んでいる黒髪の娘が一人。
彼が口にしたのが、たった今司祭から『素質なし』の烙印を押されたばかりのこの娘の名であることを理解した場の全員は、揃って驚愕の悲鳴を上げたのだった。
名指しされた娘本人までもが、例に漏れずに。