第6話: 一筋の光明
皆さんおはこんばんにわ!!!
寒くなってきた今日この頃、気ままに執筆中です(^_^)
俺は無詠唱でフラムを自分の影に向かって放った。
それと同時に特技《慧眼》を発動する。
自分の知覚が引き延ばされる感覚に浸りながら、フラムの行く先に注視する。
「見えた! ジョー、敵の正体がわかったぞ!」
小炎球は空気をチリチリさせながら俺の影に向かって飛翔していった。地面にぶつかった瞬間フラムから放たれる閃光に照らし出される影の魔物を慧眼は捉えていた。
影の魔物とは人生ではじめての邂逅だったが、人間でいう右胸あたりに紅い光を確認した。やはり実体がないという点では父さんの言っていたガスの魔物と根底は同じようだ。
そして俺は対策を打ち立てるべく腕時計の標準を影に合わせ、ステータスを測った。
魔物: 魔障の影
レベル??????
HP:120/120
MP:569/617
力:63
守り:180
早さ:270
賢さ: 378
運:59
スキル: ????????
パッシブ:????????
レベルが見えない!
レベルが見えないということは単純に俺よりもレベルが上だということだ。普通の冒険者がつけているような時計だと、5レベル以上の差があるとレベルが測れなくなるが、俺のものは15レベル以上は離れていないとそんなことは起こらないはずだ。
影のやつのステータス配分はMPと賢さが高く、魔法使いよりだ。通常攻撃なら即死は間逃れそうだが魔法は必殺の威力を秘めているということだ。
「ジョー! 絶対にやつの魔法に当たるんじゃないぞ! 食らったら最悪即死、良くても瀕死だ!」
「おぉ。 了解。 だが、当たらなきゃいいんだろ?」
「ああ! そうゆうことだ! さっき慧眼で見た感じだと、フラムの放つ光に怯んでいるように見えた。きっと光属性が弱点だと思うが、お前の斧スキルに光属性の技はあるのか?」
「すまねぇ! 光属性の技はねぇ!!」
「そうか......」
――シュッ、パキーンッ――
打開策を探している間にもそこかしこから必殺の氷塊が飛んでくる。
――せめてフラムのもう一段階上の呪文が使えれば相殺できるのになぁ――
「デュークよ! オメェは光属性の呪文か剣技は使えないのか?」
「すまんっ。剣術は使えるが剣技はあまり使えないから属性持ちの特技がないんだ。呪文の方も光属性は俺の持つスキルの範囲外だ。唯一火の魔法が使えるが小さくて光源としては役に立たん」
「んじゃ、同時にたくさん火の呪文を使ったらどうだ?」
「そんな同時に2つの魔法を使えるのは相当熟練度の高い魔法使いぐらいだ! 遊び人の俺なんかが使えるわけ……」
ここまで言い出して俺は1つのアイデアを思いついた。
遊び人だからこそできることかもしれない。
「待て、ジョー。もしかしたらなんとかなるかもしれない。少し時間を稼いでくれ!」
「お、おう。 まかしとけぃ!」
俺はいつも以上に魔力を高める。高めた魔力に炎のイメージを付与していく。いつも以上に扱う魔力量が多く脳がチリチリに焼けそうだ。
「おりゃ!」
パキンッ
ジョーが俺に向かってくる全ての氷塊を叩き落としてくれている。
「デューク! まだか!!!! ちっとばかしきついぞ」
「もう少しだ!」
増幅していく魔力の奔流に身を焼かれながらも、フラムを放つ過程をこなす。
最後の魔力を炎のエネルギーに変換する最終工程に達した時、酷い倦怠感がのしかかってきた。何もかも投げ出してもう凍ってしまいたい。そんな諦めの境地が見えてくる。
だが、諦めれば殺される――
そして……
「ジョー! 準備ができた」
「おせぇーよ!!! ばかぁ!」
俺は3つのフラムを作り出し器用に回した。
そう
これこそ遊び人になって獲得した特技の応用編。
《小炎球ジャグリング》だ。
3つの小炎球は大きな光源となって洞窟内を明るく照らし出す。
影の魔物がうろたえ出し、ゆらゆら揺れている。
「ジョー! 俺がフラムを全て放った時、お前は影の魔物の胸の方にある紅い光めがけて攻撃してくれ!」
「ようしっ! 任せな! あいつの氷のように粉々に砕いてやるぜ」
「3カウントで行くぞ! 3、2、1、GO!」
俺は3つのフランを同時に放った。それを見るやジョーは斧を振り下ろす体制をとり、距離を詰める。解き放たれた3つのフラムは見事に影の中から紅い核を照らし出す。
ジョーが斧を振り下ろす瞬間、高エネルギーの塊と化したフラムが大きな爆発を起こし視界がホワイトアウトした――
「どう、なったんだ……」
真っ白な視界から世界が色を取り戻し、洞窟内が元の暗闇に包まれた。
松明の光の先にいたのは……
「ジョー!!!!!!!!! 」
松明の光は無慈悲にも横腹に氷の突き刺さったジョーの姿を映し出していた。
俺は急いで駆け寄った。
「ジョー! 大丈夫か? しっかりしろ!」
「ああ、なんとか意識はあるぞぉ。」
ジョーが目を開け、弱々しく答えた。
「ジョー!あの影はどうなったんだ? あの時白い閃光で何も見えなかったんだ。」
「あの時たしかに、斧はなんか石っぽいものに当たったんだか、破壊したっていう手応えはなかったなぁ。」
「そんな……」
俺の最悪の予想を裏付けるかのように背中から殺気を感じた。
振り返るとあの影の魔物と共に眼下に迫るステル・ヴリズンがあった。
俺は氷の刃を叩き落とすべく剣を構えるが、間に合いそうにない。遊び人の戦闘パラメーター低下がこんなところで響くとは思っていなかった。
――間に合え!――
キン――
わずかに剣先を当てることができたが弾いた氷が右足に刺さった。
ジョーは瀕死俺も重傷。俺の冒険者としての最後がこんなにも早いとは思っていなかった。
せめて最後まで抵抗してやろう。タイガ家に名に恥じぬように。
「クソが。食らいやがれフラ――」
「《光幕》」
なんだ? 何が起きた?
俺が最後に足掻こうと思ったら女の子の声がしたかと思えば眩しい光が見えた。あの光はフラムジャグリングに匹敵するかそれ以上の光量だったように感じた。
そして1番驚いているのが、影の魔物のコアを蹴り1つで破壊したこの男は……
「マツィダ!!! どうしてここに! それにあの女の子は??? パーティは組まないんじゃ???」
「デュークとか言ったか? 質問が多すぎるぞ。 シーア来てくれ。」
「はい! マツィダ様。今行きます!」
ローブに身を包み、神聖なオーラが漂う女の子がマツィダの横までかけてきた。
「この子はシーアという僧侶だ。おととい共に成人の儀を受けた者だ。この洞窟内に邪悪な気を感じて、来たところをばったりあって神聖魔法が使えるらしいから洞窟を踏破するまではパーティを組んでいただけだ。」
「なるほどな……って僧侶なのか! シーアさん、向こうに倒れている男の傷を癒してくれ! 重傷なんだ!!」
「わかりましたわ!」
すると僧侶の女はジョーの横まで行くと呪文を唱えた。
「《元気回復》」
暖かな光がジョーを包み込むとジョーの横腹にあった穴がみるみる塞がっていく。
ジョーの生存を確認した瞬間俺は意識が薄れていった――
いろんな職業の人が出てきて呪文も増えて書いてて楽しくなってきました!
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初登場の特技
《フラムジャグリング》:ジャグリングを応用し、無理矢理フラムを3つ同時に放つ技。
《リヒトゥ》:眩しい光で微量のダメージを与え、目を眩ませる。スキル〔神聖魔術〕で取得可能。
《ヴェルフリッシング》:聖なる力で傷を癒すと同時に体内の自己治癒力を高める。スキル〔神聖魔術〕で取得可能。