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最弱職遊び人の奮闘記  作者: りゅーせい
王都編〜旅立ちと出会い〜
6/12

第4話:木漏れ日の下で

第5話です。

なんか最近アクセス数の低下や生活の中から生じるトラブルに振り回されて書く意欲低下中の今日この頃です。

「おりゃ。とう!」


「ピギィー!!!」


最後にとどめの一撃を加えると、大ネズミは生き絶えた。


俺は今クエスト達成のため試練の洞窟へと向かっている。

洞窟へは王都から歩いて半日ほどの場所に位置しているようで、駆け出しの冒険者である俺は馬車を買う金があるわけでもなく、仕方なく徒歩で向かっているわけだ。


――もし共に旅をする仲間がいたらトホホなんてシャレたギャグの1つでも言ってるんだろーなぁ――


そう。俺は今窮地に陥っている。。

というのも、本来なら4人一組でパーティを組んでクエストに挑むべきだが、見事にぼっちだから。


パーティを組むということはそれだけで生存率が格段に向上する。ソロだと毒や麻痺といった状態異常がそのまま死へと直結するし、上位のクエストともなると魔物の強さや数も増えていく。そんなクエストをソロでこなそうというのは相当な酔狂かレベル、職業を極めた者ぐらいだろう。


仲間がいれば単純に戦力アップだし、回復や攻撃と効率よく魔物と戦っていける。何より背中を任せられる仲間がいるというのは精神的な強みとなる。


では、もっともいいパーティとは何か?

それは、攻撃役、壁役、回復役、遠距離攻撃役の4人だろう。これなら大体の敵や様々な戦術に適応できる。


実際、遠い昔に魔王を倒した英雄たちは、勇者、戦士、僧侶、魔法使いの4人でパーティを組んでいたという言い伝えが残っている。この説話が元となってパーティは基本4人ということやパーティ編成のセオリーが根付いてきた。


――俺も早く仲間が欲しいな――


不意にそう思ってしまった。


おっと、勘違いしてほしくないが、別に俺はコミュ障でも、嫌われ者でもない。


こんなことになったのは昨日に原因がある。

遊び人ってことがバレたり、決闘なんかでバタバタしてパーティを募集したり、加入手続きができなかったからだ。


まぁ、募集をしたところで遊び人なんかのところには人が集まらないと思うが。


そんなことを考えながら歩いていると、茂みからガサガサと音がした。

すると、大きな斧を持った小太りのおっさんと、ナイフを持ったおっさんの下僕とおぼしき男たちが4人現れた。


「俺たちゃ〜見ての通り、山賊だ。命が惜しければお前の持つ金9割と金目ものを置いてってもらおうか!」


「ん? なんで9割なんだ?」


「あぁん? そりゃ、全部奪っちまったらオメェが今日の晩御飯を食えなくなっちまうだろ? だから全部は取らねぇ!」


「なるほど。ずいぶん優しい山賊じゃないか。」


「へへん! そうだろ? まぁそうゆうわけだから俺たちに金を寄越しな!」


「だがそれとこれとは別問題だ。俺は差し出すつもりはない。」


「なら力ずくで奪い取ってやルゥ〜!! 野郎ども! この男とは俺がサシでやる! 引っ込んでな!」


「「イエッサー!!!!」」


すると山賊のリーダーは俺に斧を向けて……


「っしゃぁぁ! 俺は山賊の中の山賊になる男、ジョー様だ! 」


そう言うなりジョーなる男は飛翔し、空で一回転し斧を振り下ろしてきた。斧が赤いオーラを纏い、必殺の威力が秘められていることは容易に見て取れる。


「俺の特技《脳天玉砕(のうてんかちわり)》。食らって田舎に帰りな!」


が、技の発動が遅すぎる。難なく躱し反撃に移った。

俺は《クイックストライド》を発動。体重移動により素早く接近して連続で斬りつける。


ジョーは鉄の斧を小さく構え、俺の攻撃を裁いた。

俺は攻撃の手を休めることなく斬り続けてるが全てをうまく躱したり裁いたりするだけで攻撃に転じないのだ。

するとやはり疑問に思ってしまう。


――ん?なんでこう、防戦一方なんだ?――


特技だって始めの一撃以外は繰り出さないし。それだって遊び人の俺でも避けられるような単純な……


なるほど、そうゆうことか。どうりでおかしいわけだ。


俺は剣を鞘に収めた。


「なぁ! 確かジョーって言ったっけ? 終わりだ。少し休もう。」


俺は大きな木を指さしながら言った。


「なんダァ? 降参か?」


「いや。そんなんじゃない。ただあんたと戦いたくなかっただけだ。あんたはきっと好きで山賊やってるんじゃないだろう? だからあんたと少し話がしたいと思ったんだ。」




「そんなわけであっしらは、お頭について行ってるんでやんす!」


「おいおい! そんなに俺を持ち上げねぇできくれよぉ〜! 照れるじゃんか!」


なるほど。それなら合点がいく。


「ところで冒険者のにいちゃんはよ、なんで俺たちとの戦いを止めたんだ?」


「そりゃ簡単だ。まず、ジョーの最初の一撃目はなんの特技かはわからないが高火力で発動時間が遅かった。そんなのを戦闘の最初に繰り出せば避けられに決まっている。そこから敢えて避けられるように配慮しているように感じた。それだけじゃないな。俺が反撃に移った時、ジョーは俺の攻撃を避けたり受け流しながら捌いていた。この時もジョーから戦う意思を感じなかったんだ。」


父さんと剣を通して心のやり取りをしてきた俺には初対面のやつでも、剣を通して感情を探ることができる。


「おぉ。 にいちゃんよくわかったな。まぁ大抵の場合俺の脳天玉砕でびっくりして金を差し出すが、反撃に出たのはあんただけだ。決して人を傷つけるつもりは無かったんだがなぁ〜。まぁ俺たちの金策のカラクリを見抜くようなにいちゃんじゃあ仕方ねぇな。」


ジョーの話やその取り巻き達の話だと、山賊になったのは、街にあるスラム街の孤児達の世話や弱い立場の人間達を助けるためだという。

今時おとぎ話に出てくるような正義の義賊がいるとは感心したが……


「なんで稼ぎがいい他の仕事じゃなく、人からものを奪う山賊になったんだ?」


俺は彼らの話を聞いた時からずっと不思議に思っていた。

こんなに他人思いならもっと効率のいい仕事があるはずだが――


「それなんだが、実は職業がないから仕事を探せないんだ。スラム街で育ってきたこいつらは成人の儀や転職の儀をこなしてないから職業を選ぶことができないまま大人になっちまったんだわ。まぁ俺は〔盗人〕の職業持ちなんだが、スラム街のやつとつるんでるとこをちょくちょく見られてな、根も葉もない噂なんかが出回って冒険者のクエストはもちろん仕事にも就けなかったんだ。」


「なるほど。そんな深い事情があったなんて。よし。わかった。しばらくの間、俺とともに旅をしないか?」


「おいおい! さっき俺達はは嫌われ者だって言ってなかったか? それじゃああんたまで嫌われちまうだろうが。」


「ハハっ! やはりそう言うと思ったよ。別にずっととは言わないさ。せめて俺が今挑んでいるクエストの達成まででいいから仲間になってくれないか?」


「まぁ……そうゆうことならいいのかな?? どうだ、お前ら? 」


するとジョーの子分達は話し合った。

しばらくガヤガヤしていたが、結論が出たらしく、一番小さな奴が前に出た。


「オラたちゃジョーの親ビンがデュークの兄貴についていくのにゃ賛成だ。んだども、オラたちゃ5人はその職業っちゅうもんを持ってねぇし、ついていけねぇ。親ビンなら無理してでもオラたちのこと連れて行くかもわからんが足手まといになることだけは嫌だっちゃ。したらば、俺たちは残って親ビンだけで行ってほしいだっぺ。」


「だが、それだとお前達が……」


「親ビン!!! これはオラたちみんなの意見だ!!! 信じてくんろ!」


残りの4人もそうだと言わんばかりに頭を縦に振る。


「まぁ、そうゆうことだ。しばらくともに行動しないかジョー?」


「まぁお前たちがそう言うなら……」


「「お、親ビン!!!」」


「よし、じゃあ決まりだ。」


その後は幾ばくかの談笑を楽しみながらしばしの休息をとった。

木と木の間を縫うようにして漏れる木漏れ日が俺たちを温かく包みこむような気がした――




辺りが紅に染まる中俺とジョーは歩みを進めていた。


「もうこんな時間か。」


「ったくよ〜! デューク、お前ってもしかして方向音痴かぁ?? 」


「いや!たしかに方向は合ってるんだが……」


「俺は腹が減っちまって今日はもうダメだ! なっ! ここで野宿しようぜ!」


「そうだなぁ。じゃあ今日はここで一晩明かすか。」


「じゃあ飯に……」


そう言った時だった。近くの茂みがガサゴソなるや否、緑色のうさぎが現れた。


「おホッ! こいつはついてる! こりゃ〔緑兎(リーフニードル)〕じゃあねーか? デュークよ、今日はうさぎのステーキだぜ。」


――ブンブンッ。ザクッ――


「ピギャ〜ッ。 ゴプッ」


リーフニードルは最後の断末魔をあげると息絶えた。


「まぁ俺の《回転斬(カザグルマ)》にかかればうさぎの一匹、二匹はミンチにしちまうぜ! じゃあささっと料理しちまおうかねぇっと。」


ジョーが見事な手さばきでうさぎの肉を解体していく。


「ジョー。お前なかなか料理できるじゃないか。意外だなぁ。」


「おうよ! スラム街で暮らしてるとよー、犬猫を解体したりすることだってあるんだぜ?? だから慣れ切っちまってよう。 まぁ去年身につけたスキルのおかげなんだがな。」


「そういやなんで盗人のお前が料理スキル持ってるんだよ笑笑」


「そんなこと言ったらオメェだって遊び人のくせに中等片手剣術まで極めてるじゃぁねぇか!」


「たしかにそうだな。ハハっ。 なぁ、ところでジョー。これからは暫定的にパーティを組むわけなんだが、俺はお前の実力を知らない。ステータスを測定していいか?」


「ん? 構わんがお前の腕時計は他人のステータスも覗き見れるのか?」


「ああ。親からの贈り物で、ダンジョン産の一級品らしい。」


「なるほどね〜〜。 世の中どんなものがあるかわかんないねぇ。まぁ俺のステータスを見ることに関しちゃ問題はないぜ。」


俺は腕時計のボタンを押した。


職業: 盗人

レベル 4 / 50

HP: 140/150

MP: 46/50

力: 120

守り:97

素早さ:160

運: 70


パッシブ:―――――――


スキル:〔初等短刀剣術〕〔初等大斧術〕〔初等料理術〕




なるほど。スキルのアシストを駆使して料理していたわけだ。どうりで料理の手さばきがスムーズなわけだ。

だが、斧をメインにしていると思ったらナイフなどの短剣も使えるようだ。そこはさすが盗人だと言えるだろう。


夜が明けたら明日からは初めてのクエスト攻略に挑むわけだ。冒険者として初めてのことで緊張しているが、同時にワクワクもしていた。父さんとの修行の成果がどこまで通じるのか楽しみだ。





やっぱりアクセス数の低下でモチベーションが下がってしまった(ほんとはダメだけど!)ので、描くスピードを落としたいと思います。3日に1話をこれまで通り不定期に戻して以前のように自由気ままに書きたいと思います。ファンの皆さん(いるかな?笑笑)そうゆうことなのでよろしくです。


初登場の特技


《脳天玉砕》:真紅のオーラを纏い必殺の威力を込めた一撃を放つ。威力は高いが発動時間が遅く回避されやすい。〔初等大斧術〕で取得可能


《回転斬》: 遠心力を用いて大斧を勢いよく振り回す技〔初等大斧術〕で取得可能。


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