第1話:デュークの旅立ち
やっと本編に入りました。
応援よろしくです。
デュークのスタート地点です。
「デューク、デューク! 起きなさい! もう朝よ。」
「ふわぁー...おはよう母さん。」
「おはようデューク! 父さんならもうすでに修練場に向かったわよ!」
「わかった。」
「 でも、出かける前に朝ごはんをしっかり食べていってね。そしてデューク、お稽古が終わったら、一度家に帰ってからお城に行くのよ?」
「うん。わかったよ母さん。」
今日は俺の16の誕生日だ。
そして、俺を含めて16になった子供たちは皆城に行かなければならない。
子供は16になると成人として認められると同時に職業を得る。
職業は〔戦士〕や〔魔法使い〕といった戦闘職や〔農民〕、〔鍛冶屋〕、〔商人〕といった生産職など多岐にわたる職種が存在する。
成人した子供は城で成人の儀を執り行い、その後職業についての教えをレクチャーしてもらい転職の儀を行うものと古くから決まっている。
職業につくとその職業独特のスキルやパッシブスキルを身に付けることができ熟練度を上げていくことでその職業を極められるのだそうだ。
ちなみに、父さんは〔聖騎士〕母さんは〔魔法使い〕を極めた後に、〔主婦〕という職に転職した。
人間にはそれぞれ適正というものがあって誰でも好きな職につけるわけではなく、自分に合ったものにしか転職できないという決まりがある。〔戦士〕と〔魔法使い〕の2つの適正を持つ者もいれば、〔農民〕しか適正のない者、あるいは4つ、5つと沢山の適正を持つ者もいる。
詳しくは知らないが、成人するまでに行ってきた行動や、性格、親の職業が影響して自分の適正が決まってくるらしいが、まぁそこらへんは転職の儀のときにでも説明してもらえるだろう。
おっと。こうしちゃいられない。父さんが修練場で待っているんだった。
早く朝食を済ませて父さんの元へ行かなきゃならない。
なんてったって今日が最後の稽古になるんだから......
剣と剣がぶつかりあう。俺はここの修練場で6歳の頃から、父とともに剣を振り続けてきた。
ーーキンッ、キンッ、シュッ、ズドォーンーー
「うむ。今のは申し分のない、いい一撃だった。」
「ありがとう。父さん。」
「もしも、これが木刀でなく真剣だったなら、私は死んでいただろう。はっはっはっは。強くなったな! デュークよ。」
父さんは俺から一撃をもらったというのになんだか嬉しそうだ。
「これも父さんのおかげだよ。」
「何をいう。6歳の頃から今日まで必死に頑張ったお前の努力が実を結んだまでのことよ。ほんとうなら周りの子供たちと一緒に遊びたかったはずだろうに、この父についてきてくれたのだ。ありがとうな。私は母さんのように剣術以外のことをあまりお前に教えてやれなかったが、お前と剣を交える時だけは剣を通じてお前と気持ちが繋がっているように感じたよ。」
「僕もだよ父さん。たしかに父さんとの修業の日々は辛くて苦しいこともあったけど、やっぱり父さんたちみたいな偉大な冒険者になりたかったんだ。僕は今日の〔転職の儀〕で〔戦士〕になるつもりだよ。」
「デュークよ。嬉しいことを言ってくれるではないか。」
「これが僕の夢なんだよ父さん。あぁ、早く転職の儀に参加したいなぁ。」
「はっはっは。 まあ夢にときめくのもいいが、最後の稽古をつけよう。」
「え?まだあるの??」
「ああ。といっても簡単なことだ。ズバリ、私の木刀とお前のこれまで使ってきた木刀を丁寧に磨くことだ。私は少しばかり用事があるもんだから先に帰っているが、しっかりと磨くのだぞ?」
「ええ?!?! まぁ、わかったけど。」
「うむ。しっかりと気持ちをこめるようにな。」
「わかったよ。父さん。」
「では、また後でな。」
そう言い残すと、父さんは踵を返して外へとつながる階段をかけていった。
おかしな修業だと思ったが、父さんが言うからにはきっと大切な工程なのだろう。
俺はしばらく木刀を見つめた後、一撫でして剣を磨き始めた。
「ふぅ。重さわ軽いはずなのに、手に持つとズッシリきたな......」
まるで10年をともに歩んできた木刀が、共に成長したかのように感じたーー
さて、家に戻るとするか。
父さんと話したことで俺は冒険者になるという夢の決意を固め、家へ向かった。
「どーお?? デュークの好きなハンバーグにしたけど。美味しいかしら?」
「うん。母さんのハンバーグはうまいよ。」
「お父さんもどうかしら?」
「ああ。私の大好きな味だ。もうすでに3つ食べてしまったよ。」
俺たちは午後から行われる成人の儀と転職の儀を前に昼食を食べている。
固めのパンにじっくりと煮込んだ野菜のスープ、庭で栽培している野菜を使った新鮮でシャキッとしたサラダ。
ハンバーグから立ち昇る香ばしい香りが鼻をつき、3つ目のハンバーグに手をかけたとき、父さんが言った。
「して、デュークよ。やはり職業を得た後は冒険者になり、旅をするつもりであろう?それとも、この家に籍を残すのか?」
「そうね〜。私としては残って欲しいのだけれども......。 こればっかりは私たちがどうこう言うことではないわね」
母さんも父さんに追随し、問いかけてくる。
出て行って欲しくないと言わんばかりの顔をしている母さんには申し訳ないが、俺は小さな頃からの夢、遡れば剣を握り始めたあの頃から抱いてきた冒険者になり、両親を超えるという目標を曲げることはできないのだ。
だから二人に強く、たしかな視線を向け断言した。
「僕は、冒険者になるつもりだったし、家に残ろうなんて考えは毛頭ない。それどころか、今の僕は、二人より強くなり、世に名前を馳せるまで、戻ってくる気もないんだ。」
しばらくの静寂の後、父さんと母さんは頷き合い、席を立って出て行った。
俺はまずいことを言ってしまっただろうか? 母さんはともかく、父さんまで反対するなんてありえるのか?
なんてことを考えていると、二人が戻ってきた。
そして、父の手には趣さえ感じられるような、木箱があった。
父さんは丁寧に箱を開け、中のものを俺に受け渡す。
「これは、〔冒険者の腕時計〕という魔法道具だ。もちろん時計としての役割も果たしてくれるが、真価を発揮するのは、冒険をしているときだ。横にあるボタンを押すと、自分の強さ、ステータスを知ることができるのだ。冒険者にとってはなくてはならない道具の1つだ。これだけでもすごいんだが......」
「なんと! 12時の文字盤を人やものに向けてボタンを長押しする事で、自分以外の物のステータスも見ることができるの!これは私たちがダンジョンを踏破した先の宝箱で見つけたレアアイテムなのよ〜!周りの子はみんな街で売られている、普通の〔冒険者の腕時計〕を身につけてるはずだけどあなただけ特別なものを装備することができるなんて!! ラッキーよね!」
父さんの説明を遮り目を輝かせながら俺に冒険者の腕時計について語ってくる。
「まぁなんだ、そうゆうことだデューク。昔これを見つけた時は売って金にし、それこそ一生遊んで暮らそうかなやんだが、お前が成人する日まで取っておこうと昔母さんと話し合ったんだ。そして、それをお前の成人記念として渡すことにしたんだ。だからその冒険者の腕時計を使って自分の強さを感じてどんどん成長してほしい。」
なるほど。僕はとてもすごい魔法道具をもらったようだ。
二人に感謝しなければならないな。まったく.......いい両親を持ったものだ。
「父さん母さん。本当にありがとう。俺絶対夢を叶えてくるよ。」
「ああ。私達もそう信じているよ。さあ、デューク、その腕時計を装備してみせてくれ。」
そうして俺は〔冒険者の腕時計〕を装備した。
「うんうん!似合ってるんじゃ〜ないの??」
母さんが嬉しそうに言った。
何気なく腕時計を見てみる。
すると、ちょうど1時を指し示していた。
「父さん、母さん。成人の儀まで後一時間を切ったんだ。僕はそろそろ行くよ。ごちそうさま。」
「ああ。わかった。」
「あら、もう行くの?もっとハンバーグ食べたら? それともパンに挟んで持って行くかしら?」
母さんは少し心配性だなぁ。だが、そこがいいところでもあるのだ。
「ううん。大丈夫だよ。それじゃあ行ってきます。」
「待ってくれ。デューク。行く前にお前のステータスを見せてくれないか?」
父さんの言葉に、この腕時計の真の能力を思い出す。
「わかったよ。たしか、この横のボタンを押して......おうッ!?」
すると、画面に数字がたくさん表示された。
レベル: 18 / 20
HP:168 / 170
MP:60 / 60
力: 120
守り:60
素早さ:78
賢さ:70
運:27
スキル: 〔初等片手剣術〕〔中等片手剣術〕〔初等基礎魔術〕
パッシブ: ーーーーーーーーーーーー
「なるほど。これがお前もチカラか。駆け出しの冒険者としては申し分ないな。胸を張って家を出るといい。」
「ありがとう父さん。それじゃあ行ってきます。」
「頑張れよ。」
「行ってらっしゃい!たまには手紙を送るのよ!」
そうして俺は家を後にした。
ふと振り返って見ると、二人の頬を太陽の光がキラリとさせた気がした。最後に大きく手を振って俺は決意を胸に、城を目指して歩いたーー
自分としてはこれから面白い所に入って行くと思ってます。
某学校の皆さん、応援と拡散よろしくです笑笑
次話投稿は少し遅れると思われますのでご勘弁を......
レビューや感謝待ってます!!!!