第8話:パーティ結成
メリークリスマース!
クリボッチだったけど小説書くの遅くなってしまった今日この頃。
みなさんには幸せが訪れますように!
それでは第8話です。
若白髪の一言にその場の全員が凍り付いてしまった。
「すみません。 お取り込み中ということはご存知でしたが、ちょうど彼らが例の異常発生している魔物の討伐者でして、ここにお連れしました。」
受付のお姉さんが俺たちを庇うようにして弁解してくれた。
「おっと! なるほど、そうゆうことだったのね。怒鳴り散らしてすまなかったな。じゃあ君たちの話を参考にしたいからここに掛けたまえ。」
そうゆうと若白髪はソファーに視線を送り、俺たちを促した。
俺たちがふかふかな革ソファーに腰を下ろすと、若白髪は受付嬢に指示を出す。すると彼女は奥へと消えていった。
「さて、先程は失敬した。私はあまねく冒険者を統べる存在、冒険者組合長、ユーヤ・ナカザトゥスである! と言うと聞こえはいいが机に座ってペンを走らせるのが今の仕事でね。昔剣を振るっていた時代が懐かしいよ。 まぁそんな話はさておき今、ここで俺と国王陛下と王都支部のマスターの3人で話し合っていたのは近年増え続ける魔物の異常発生についてだ。これをみてくれたまえ!」
そう言ってユーヤさんは地図を広げた。
「これは何ですか???」
俺は不思議に思って尋ねる。
「これは見ての通り世界地図だ。そしてここに記してあるばつ印こそがこれまで報告されてきた魔物の異常発生の箇所を示している。異常発生しているのは、本来そこに生息しないはずの高レベルの魔物で、かなり多くの冒険者が犠牲になったと報告を受けている。」
そう言ってユーヤさんは指をさしながら説明してくれた。
「これまではグシィカーワ地方から始まり、マルテル地方までしか確認されていなかったが、ここ最近はイヘイヤ地方でも目撃情報が相次いでいる始末さ。それこそ君たちが討伐したと言う魔物もそのうちの1つかもしれないからね。わかる範囲でいいから教えてもらえるかな?」
「はい。俺たちが討伐した魔物は〔魔障の影〕という影の魔物でした。レベルは測定できませんでしたが《氷塊刃》を使いこなしている点からかなりの高レベルの魔物だと推測します。弱点は光で核のようなものを破壊すると絶命しました。」
俺は事細かく魔物の特徴を述べていく。
「なるほど。とても細かな情報提供をありがとう。ところで何で魔物の名前までわかるんだい? それにレベルの測定もできないと言っていたね? 君たちのうち誰かは鑑定スキルでも持っているのかな?」
「それは俺のこの冒険者の腕時計が高性能で、自分のステータスだけじゃなくて他の物のステータスを見ることができるからです。」
そう言って俺は腕時計を差し出してみせた。
「そうゆうことだったんだね! 納得したよ。えーと、名前はなんて言ったっけ???」
「デュークです。デューク・タイガといいます。」
「そうだったか! 僕としたことがまずは名前を聞くべきだったね。それでね、デューク君。君に提案なんだけどさ、この魔物の異常発生を調査する専属のパーティにならないかい?? 高レベル帯の魔物を撃破する力と君の持つ腕時計の能力で各地を回って魔物の調査、そしてそれをデータベースとしてまとめて欲しいんだよね。もちろん定期的に組合からの活動資金と報酬を用意するつもりだよ?」
ここに来て何ともびっくりする話が飛び出してきた。要約すると組合お抱えの冒険者として活動しないかということだろう。
ハイレベルの冒険者にでもならないと恒久的にお金を得続けられないはずなのに駆け出しの俺たちにこんなに美味しい話が回ってくるとは...
しかし、そのためには明かさなくてはならないグレーな部分ももちろんある。
それは...
「ユーヤさん。 とってもありがたいんですが、俺たち3人は3日前に冒険者になったばっかりの駆け出しだし、そもそも俺たち4人はパーティじゃあないんです。」
「あーね。パーティの方は今ここで結成してもらえばいいんだけど、駆け出しの冒険者なのかぁ...」
やはりその点に懸念を抱かれたか? こんなステキな話がなくなってしまうのはとても惜しいことだが仕方がない。
そう思っていた時、俺たちの会話を聞いていた王様が口を開いた。
「ユーヤよ。安心せい。この者たちなら今回の件を任せるに至って、十分な強さを持ち合わせておるよ。 右端に座る彼はマツィダというのじゃが、彼は拳王の弟子、真ん中のお嬢ちゃんは神聖魔法の使い手、カレント家の娘、そこのイカツイ方は名の知れた盗賊、そして君と言葉を交わす少年こそ、あの英雄タイガ家の息子さんだ。 今は弱くとも彼らは冒険の中で成長していき、並みの冒険者を凌駕するじゃろうて。どうじゃ? それでも心配かユーヤ?」
「いえいえ! 王様のお墨付きがあるならばこのユーヤこれ以上の強者を知り得ません。 ではデューク君、さっそくパーティ登録をここで済ませ―― 待て待て!そこのふくよかなお方よ! あなたは盗賊なのかい?」
ここでユーヤさんや王様の視線がジョーに注がれる。
「えぇと... まぁなんだ。 俗に言う盗賊になっちまうなぁ。」
「王様もご存知で?」
「うむ...」
「じゃあこの話は...」
「まぁ待てユーヤ。この盗賊、義賊なのじゃ。だからわしは彼を許そうと考えておるよ。」
「なっ! しかし――」
「あぁ。 わかっとる。 だがこうは考えられぬか? この世界に訪れる悪しき存在を払い、人々を守ることで罪を償えると。 まぁわし的には彼の分だけちと報酬を減らす程度でいいかと考えとるが。」
「王様がそこまでゆうのならば。」
「ありがてぇ! これからは真っ当な方法で人々を助けていくゆえ、なにとぞよろしく頼む!」
そうしてジョーは冒険者として認められ、パーティ登録の流れに移った。
諸々の手続きが済み、あとは名前を決めるだけとなったとき、マツィダが喋った。
「ユーヤ殿、この者たちとは成り行きで行動を共にしましたが、元来私は一人旅をしてきました。誠に勝手ながら私だけはこのお話辞退させていただきたく存じます。ですが、必要とあらばいつでも馳せ参じ、彼らと協力していくのでどうかお許しください。」
「あー。 なるほど。マツィダ君はそうゆうタイプの人なのね。わかった。いいよ。パーティには登録しといて別行動をとるって事でいこう。 その方がこっちとしては都合がいいし。ただ、やっぱりパーティの一員であることには変わりないから、組合の要請にはすぐに応じることね。」
「はは。わがままを聞いてくださりありがたく思います。そうゆうわけだ。デュークよしばらく別行動をとるがすまないな。何かあったら私あてに手紙をよそしてくれ。」
「いいよマツィダ。もともとそうゆう話だったろう? 俺たちのことは気にせず旅するといい。」
「その辺のことはマツィダ君とデューク君でしっかり連絡とってやりとりしてね。 じゃあ、1番大事なパーティの名前を決めてもらおうか? 」
「デューク様! 何か考えはあるのですか?シーアはデューク様に任せますわ!」
「俺もオメェのセンスに任せるぜぇ」
シーアとジョーはそういうと目をキラキラさせながら俺の顔を見てくる。
気づけば2人だけじゃなくその場にいるみんなが俺を見ていた。
俺は深く考える。
――どうして冒険者になったんだっけ?――
この俺を冒険者にした1つのものにたどり着く。
――そうだ。俺は父さんを超える冒険者になりたい――
「俺は... このパーティの名前を〔夢〕そう名付けたい。」
「なるほど。いいんじゃないかいデューク君」
「神聖語で〔夢〕ですよね? いい名前だと思います!」
「いいんじゃねぇのかぁ???おりゃ好きだぜ!」
「ふむ。 いい響きじゃ。」
こうしてみんなに受け入れてもらえ、俺たちは夢というパーティを組んだ。
「デューク君やみんな、パーティ結成おめでとう。ここでパーティについて軽く説明しておこう。 まず、パーティは8人まで組める。それ以上は申請してパーティからクランへと変更しないといけないよ。で、パーティでクエストを受注した場合はパーティの人数に応じた額を支払う決まりになってるんだ。その分単独の時よりクエストの難易度が上がるけど。あとはおいおい知っていけばいいかな。1番重要なのは異常発生した魔物を記録、討伐することかな。これもまた次回詳しく説明しようね。まぁこんなもんかな?」
「おいおい。 ユーヤよ、大事なことを忘れとる」
「あぁ! そうだ。 すみません王様。 君たちのパーティ、ソーニョは冒険者組合の認定した上級冒険者と同等の権力、それと同時にここイヘイヤ王国の特別機関として活動してもらうよ。だから一般の冒険者が立ち入れないような場所への調査も行えるから、ガンガン活動してくれ! でも、王国の機関であると言うことも忘れず礼節を弁えて行動してな!」
「はい。わかりました。」
その後色々と活動の仕方や雑談をすませると、俺たちは王様、ユーヤさん、酒場のオーナーに見送られて部屋を後にした――