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勇者さんに道を聞かれました。

私はいわゆる、『道を聞かれやすい人間』である。

私は道を歩いていると、誰かに道を聞かれる。

電車に乗ろうと切符を買っていると、誰かに目的駅がはっきりしない路線を聞かれる。

バスに乗ろうと停留所に立っていると、誰かにバスが自分の目的地に着くか聞かれる。

私は、こうして道を聞かれている時に限り――その人を目的地まで送るための正しい道順を知ることができるという妙な特技を使えるようになっていた。


成功率はほぼ百発百中である。


私の特技など、この実社会において大して意味のないものだ。

世の中には多種多様な地図があるし、交番もある。私以外にも道案内できる、土地勘のある人達だって数限りない。私の特技に希少価値は皆無だった。今日この時まで



「道を……道を尋ねたい。……俺は、深緑の勇者と呼ばれる者。……決して、怪しいものではない」


「…………」



 見慣れた大学から家への帰宅路ど真ん中に――自称勇者が立っていた。

 



「ええ、背徳の舘……住所……最寄り駅……うわ……すっきり判る。……なんだこれ……本当にあるの? ……えぇえー……?」


 自称勇者さんは戸惑っているようだが、私も戸惑っている。


 本当にあるのか背徳の舘? 本当にいるのか魔王?






勇者さんに道を聞かれ、案内して終わりのはずがなぜか帰還に巻き込まれて異世界に行くことに。

名前を出さず固有名詞だけでどこまでいけるのか


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