89話 お説教
最近、話が全然進まない!!
「取り乱して申し訳ありません」
「い、いえ…しかしアレは良いのですか?」
「ええ、お構いなく」
「うむ、これは奴らの自業自得よ」
学園長が僅かに顔を引きつらせながら俺たちの後ろを指差してくるのに対しニッコリと微笑みを浮かべてそう言うと。
さっき、びくっ!となっていた中村達4人が驚いた様子でこっちを凝視してくるが気にしない。
ネルヴィアはネルヴィアで俺の隣で、ざまぁ見ろとホクホク顔で嬉しそうに笑っている。
よっぽど自分以外の連中もお仕置きを受けたことが嬉しかったらしい。
中村と坂本に限っては俺じゃなく、ネルヴィアを見ているだけかもしれない……
ネルヴィアは何と言っても美少女だからな。
地を割り、海を割き、世界の頂点の一角として君臨していても美少女なのだ!
話が逸れたが、現在俺の背後ではそれはもう凄惨な絵面が出来上がっている。
さっきの言葉には魔力を乗せたので、それが衝撃波となりゲームに熱中していたアホどもに猛威を振るったと言うわけで。
アホどもはひっくり返り、テレビとゲーム機は木っ端微塵に吹き飛んだ。
あとは城の床が抉れてしまったが……うん、多分まぁ大丈夫だろう。
ネルヴィアも嬉しそうだし、キレられる事は無い。多分…
「ええっと、確かネルが魔王と言うところでしたね」
「はい。
それにしてもやっぱり」
「勿論、ヴァイス、ロス共々魔王ですよ」
「やっぱりそうですよね……
薄々分かってはいましたが、獣王国出身の留学者が3名とも魔王って良いのでしょうか?」
俺も学園長の意見に大いに賛成なのだが、来てしまったものは仕方がない。
「獣王と何やら交渉したようでして。
俺もまさか3人が学園に来るとは思ってもいませんでしからね、こればかりは俺にはわかりません」
「なに、我ら3名との和平を約束してやったら喜んで引き受けてくれたわ」
「和平ですか?」
まぁ、学園長が困惑するのも無理はない。
人間の世界では魔王と言う存在は全員とも同格であり常に協力関係にあるものとされているからな。
「人間の間では我らが協力関係にあると思われておるらしいが。
それは貴様らの勝手な思い込みと言うものだ」
「因みに言うと、魔王同士の力関係も大きな差がありますよ。
まぁこれは大した事ではないですが」
「そうなんですか……って!大した事ありますよ!!」
何故か学園長に信じられないと言った顔で見られてしまった。
まぁ知らなかった人たちにしてみればそれはもう驚愕の事なのだろうが。
俺にしてみればそれが普通だしなぁ……これがカルチャーショックか。
「そんな事よりさ、こちらの綺麗な女性に僕たちの事を紹介してよ」
いつの間にか復活したヴァイスロギアがヒョイっと俺の背後から顔を出した。
アヴァロスも当たり前のように余っていた左のソファーに腰掛けてやがる。
やっぱ、未だに目を回してるお子様3人みたいな醜態は晒さないか、非常に残念。
「紹介って編入する時既に会ってるだろ」
「あははは!ソータ、君面白いことを言うね。
あの時は僕たちは偽名だったじゃないか!」
「その通りです。
あの時は仕方なかったとはいえ、偽名を名乗ってしまいました。
しかし、その必要も無くなった今一度、ご挨拶するべきかと思います」
まぁ、確かに一理あるな。
尤も何で自分で自己紹介せずに俺を仲介させるのかは理解できないのだが…
「まぁいいか。
そう言うわけで、こちらからネルヴィア、ヴァイスロギア、アヴァロスです」
「では私も改めて。
SSSランク冒険者にしてメビウス魔道総合学園の学園長をしております。
リティエジーナと申します、以後お見知り置き下さいませ」
上品に微笑む学園長。
そして俺の隣に座ってるネルヴィア……うんまぁでも。
何も言わないでおっ
ドゴォッン!!
「馬鹿めっ!そう何度もやられるかっ!!」
「むぅ、読まれていたか…」
俺に神速のフックを打ち込もうとしたネルヴィアの拳は俺が展開させた結界により受け止めた。
それによってこの城全体を揺るがす様な轟音が巻き起こったがまぁそれは気にしてはダメだ。
中村達は今、目の前で繰り広げられた光景に唖然としてるが、無理もない。
まぁネルヴィアは黙っていれば絶世の美少女と言えるのだが、その本性は魔王だからな。
見た目とのギャップが激しすぎるよな……
それにしても、ネルヴィアのヤツ。
俺の絶対防壁にヒビが入ったぞ、これもし俺にクリーンヒットしてたらどうなってたのだろうか?
「それにしてもネルヴィアは相変わらず怪力だよな」
「なっ!?き、貴様ぁ!!」
「えっ?」
突然怒ったネルヴィアに反応しキレず先程の一撃を超えるであろうアッパーを喰らった俺は天井に突き刺さる。
その後、ネルヴィアは機嫌を崩し。
何故か学園長を含め女性陣にこっ酷く怒られることになってしまった……解せん。
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「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」
そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!