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88話 お仕置き

「それにしても…」


アイツめ、思いっ切りぶん殴りやがって。

対物理・魔法の5重絶対障壁を貫いてダメージが入るってどんだけだよ。


てか、これどこまで飛んで行くんだろうか?

もう彼から30秒ほどはえげつない速度で飛んでる気がするんだが……


実際、もう既に俺がさっきまで立っていた場所は目視出来ないし。


あっ、今地上が普通の光景に切り替わった。


そう言えばここ最近、スローライフを送るつもりが、魔王と勇者が同学年とか言う謎の学園に通う事になるわ。

神々に対抗するために修行に明け暮れるわ。

戻ってきたら、来たらでホームは訳の分からんアホに荒らされるわ。

魔神と戦うわで、休む暇がなかったし。


これは神が俺に与えた束の間の休息なのでは?


きっとそうだ、そうに違いない。

だから今すぐ転移魔法で戻る必要も無い。

うんうん、俺はなんて信仰深い人間なのだろうか!


神が与えた休息を無碍にするなんて、そんな不敬な事かな俺ができるはずもない。


「よし。

そうと決まれば、お茶でも飲んで優雅なひと時でも過ごすとしよう」


まぁここは空中だし、現在絶賛吹っ飛ばされ中だが。

そんな事は関係ない。


空間魔法と風魔法さえ使うことが出来れば誰でも簡単に出来る芸当だ。


ファーストステップ。

まずは風魔法を使って風圧を押し退ける。


ここまで来れば後はもう簡単だ!


セカンドステップ。

空間魔法で収納していた、テーブルとティーセットを取り出す。


「うーん、空中で楽しむお茶もまた一興かな」


何よりいいのは普通では味わえないこの開放感!

そして、空中だからこそ見える景色がまた素晴らしい。


「では、頂くとし…」


その瞬間、俺の優雅な午後のひとときは唐突に終わりを告げた。


足を組み、カップに口を付けようとした瞬間。

背中に何かを叩きつけられた。

まぁ俺が飛んできたのだから叩きつけられたと言うよりも衝突したと言う方が的確なのだが。


勿論、そんな衝撃を受けてお茶が無事で済む筈もなく。

カップから飛び散ったお茶は俺の顔面に降り掛かり、用意したお茶菓子は無残にも残飯と化した。


「オーケーオーケー。

前向きに考えるとしようじゃないか」


結果としてお茶はぶち撒けられ、俺はびしょびしょになり、ささやかな休息は終焉を迎えた訳だが。

これで取り敢えずは止まることが出来たんだから……


「やっぱり、俺は神なんて信じないぞ」


ふん、少しのティータイム取れないこんな世界に神なんて高尚なヤツが居るはずも無い。


女神ジルも神だなんて認めない、神なんてクソ食らえだ!


「はぁ、クリーン」


びしょびしょになった服と体を綺麗にしてからその場から転移した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「あ、貴女は…」


突如として現れた銀髪の少女に、戸惑いの声が小さく呟かられる。


「ふむ、貴様は確か。

北山 あかりとか言ったな」


「え?あ、はいそうですけど…」


名前を呼ばれた事に、さらに戸惑いが大きくなる。


魔王かもしれないと警戒し、学園でも殆ど話したこともないネルと言う名の少女にまさか自分の名前が覚えられているとは思っていなかったのだ。


「ネルさん。

やはり貴女は」


「ん?学園長か。

その話はあやつが戻ってきたからだ、暫し待っているがいい」


絶対強者、支配者の風格を漂わせるそのネルの、ネルヴィアに誰も話しかける事が出来ないままに沈黙が場を支配した。


意を決して勇者である中村が声をかけようとしたその時だった。

突然、地面に眩い1つの魔法陣が展開された。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



さてと、戻って来たはいいが。

なんでこんなお通夜みたいな空気な訳?


ってそんな事はどうでも良い。


「ふん、何をちまちまとしておったのだ。

この吾を待たせおって」


「おい、ネルヴィア」


転移して戻って来た俺に早速文句を言うネルヴィアに対して俺は仏の微笑みを向ける。


「お前は、デコピンの刑に処す」


「なっ、何故じゃ!?」


何故ってそんなの決まってるじゃないか。


「勿論、仕返しだ」


言葉と同時に超短距離転移でネルヴィアの背後を取り、その方にポンと手を置く。


無論、この時点で一般時なら肩が砕けるし、並みの魔物は肉塊になる程の力を入れているのは言うまでもない。


ネルヴィアはそんな俺をギ、ギ、ギと壊れかけの人形みたいな動きで恐る恐ると振り向いた。


少女を押さえつけてデコピンを喰らわせる、絵面的には非常に良くないが、この際そんな事はどうでも良い。


「覚悟はいいか?」


「い、嫌じゃ嫌じゃ!」


全力で首を左右に振るその姿からは絶対強者の風格も支配者の威厳も見当たらない。

まぁ、だからと言って容赦はしないんだが。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「いやぁ、待たせてしまって申し訳ありませんね」


「いえ、それは構わないのですが…」


俺の謝罪の言葉に言い淀む学園長の視線は俺の隣に座っているネルこと、吸血姫ネルヴィアに向けられている。


因みに、あの後転移して現在はネルヴィアの城の一室だ。

本当、転移魔法って便利だよな。


おっと、話が逸れたが。

何故学園長がネルヴィアに視線を向けたのかと言うと。


「わ、吾は嫌と言ったのじゃ」


赤くなった額を押さえ、涙目になって地味にグズっているからだ。


ネルヴィアの額が赤くなっている理由は言うまでもないだろうが、まぁ自業自得なので放っておく事にする。


そして、俺の謝罪を見事に無視してくれた勇者一行こと。

中村、坂本、広瀬、そしてあかりの4人は俺たちの後ろでテレビゲームに興じている魔王(アホ)2人とお子様3人組(バカ)に唖然としている。


唖然となっている理由は魔王とお子様達が一緒にいる事に対してか。

はたまた、テレビゲームがここにある事に対してか?


まぁ、どっちでも良いけど。

因みに今アホ2人とバカ3人がやっているゲームは大◯闘、略して大◯の呼び方で有名な某ゲームだ。


「やはり、ネルさんは達は魔王だったのですね」


〝イケー!そこだそこだ!!〟


「ええ、その通りですよ」


〝喰らえ!〟


〝ふっ、甘いな!〟


「まぁ初めから全くと言っていい程、隠せてませんでしたが」


〝な!?〟


〝とどめだぁ!!〟


「…うるせぇんだよっ!!」


ここまで騒がれると流石にちょっとイラッとくるな。


少しでも『面白かった』『続きが気になる』と思ってくれましたら、


 ブックマーク登録及び、下記の評価ボタンを押して頂けますと嬉しいです。


これからもよろしくお願いします!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」


そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!

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