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86話 お呼び出し

俺の放った一撃、神滅の雷霆(ケラウノス)

爆心地を中心とした半径数十キロを灰燼と化すどころか奈落とも呼べる大穴を大地に穿つ程の威力を誇る。

まさにその名に恥じぬ超広域破壊魔法と言える。


この後とに残るのは、抉れた巨大な大穴に余波によって死んだ大地。

そして、この一撃に耐えうる事が出来た限られた存在のみ。


目視できる範囲にあるネルヴィアの城も含め。

ここら一帯は、この間とは比べ物にならない規模で更地となる事になる。


無論、学園長や中村達など言うまでもなく塵となる。


とは言え。

俺はタージタクス諸共、中村達をヤろうなんて思っちゃいない。


別にあの時、中村達が俺を巻き添いに攻撃した事なんてこれっぽっちも根に持ってなどいない。


まぁ尤も、本来であればこの様になってたんだけど、取り敢えず今回は話が違ってくる。


『貴様ぁ!

突然、何をするか!?』


ホラ来た。

いやー、それにしてもこの念話の感じからするとご機嫌斜めだなネルヴィアのヤツ。


『何って、そんなの決まってるだろ?』


そう、何をするか!?

何て聞かなくても答えなんて1つしかないだろうに。


「ぎゃぁあっっあ!?」


「ぐおぉぉっ!!」


「目が!目がぁつ!!」


「……」


視線の先では中村、坂本、広瀬の3人が目を辺り抑え叫び声を上げながら転げ回っている。


あかりはどうやら凄まじい音と衝撃、閃光によって立ったまま気絶している様だな……


おっと、思わずニヤケてしまいそうだ。

まぁでも、どうせ誰もみてないだろうから別に気にしなくていいか。


『唯の嫌がらせだ!!』


腕を組み言い放った俺の言葉に返事は無い。


それもそうだろう。

何せ、今回最も被害を被ったのはネルヴィアに他ならないのだから。


遠隔透視魔法を使って覗き込む様に見ていたはずだし。

あの凄まじい閃光が眼球に直撃したのは明らか。


恐らく、今頃は普段全てを見下す様な冷徹な女王を気取っているアイツも無様に床を転げ回っている事だろう。


まぁ尤も。

ネルヴィアは最高位の吸血鬼だけあってその回復力は凄まじいの一言。

すぐさま回復するはずだ。


因みに、若干もう一名あられもない姿を晒していた大人の女性がいるのだが。

彼女の名誉の為にも見なかった事にしてあげようと思う。


「さてと。

君たち、少し大げさじゃ無いかな?」


「ユ、ユーピルウス殿かっ?」


「ぐおぉぉっ!!」


「目がぁ!目がぁ!」


「如何にも。

坂本に広瀬ちょっとうるさいですよ」


「な、何と…誰のせいでこんな」


「あのですね坂本くん。

俺は敵に攻撃しただけですし。

そもそも何があっても知りませんよ、と忠告したはずです。

自己責任ですよ、自己責任」


いやー、それにしても立ったまま気絶するとか、ある意味魔神よりも衝撃的な光景だな。


「けどまぁ、そろそろ起きてもらわないと」


俺が困る事になる。

こう言う時に役立つのは勿論、水魔法だ。


拳大の水球が綺麗な放物線を描きながら飛んでいき…


「ぴゃあっ!」


あかりの頭部に寸分違わず着弾した。


「ふふふ北山さん、大丈夫でしたか?」


余裕をたたえた声の発声源にいるのは、先ほどまでの醜態など無かったかの様に振る舞う学園長。

凛々しく余裕のあるその表情には強者の雰囲気が見て取れる。


しかし、悲しいかな。

俺は先ほどの醜態をバッチリ確認済みだ。


仰向けに転げ回りロングスカートがめくれ上がっ……おっと、失礼。


けどまぁ、うん、ここは学園長の顔を立ててあげる事にしよう。


「それにしても、ユーピルウス殿。

貴方は我々を殺す気ですか?」


「いえいえ、そんなつもりは全くありませんよ」


まったく。

この俺がそんなサイコパスな野郎に見えると言うのかね?

なんて失礼な。


一体、何の為に雷の牢獄を作り上げたと思っているのだろうか?


あの牢獄は2つの意味があった。


1つはタージタクスを捕らえておく事。


もう1つは、普通に放てば確実に大きな被害が周囲にも、そして俺自身にも襲い掛かることを考慮し。

威力を収縮させ、神滅の雷霆の効果範囲を牢獄内に留める為なのだ。


そのおかげで、大穴が空いたのは牢獄の範囲内のみ。尤も余波は抑えきれなかったが、牢獄が無かった場合の被害と比べれば天と地ほどの差だ。


「それに、面白いものを見れたでしょう?」


「えぇ、まぁそうですね。

しかし、ああも簡単に私の代名詞を使われると自信を無くしそうです」


「まぁそう言わずに。

学園長の雷神化、アレは学園長が限られた一握りの実力者である証拠ですよ」


まぁ俺の周囲にはアレをできるヤツはそれなりに存在するんだけど。

例えば、魔王とかマッドサイエンティストとか竜王とか……


こうしてみれば俺の周りってまともなヤツいなくね?


『ソータよ、早く妾の城に来るがよい』


おっと、早速まともじゃ無い魔王の1人からあと呼び出しされてしまった。


それに、まぁわかってたことだが。

かなり怒っていそうだ、声に隠し切れない赫怒が滲み出ているようだ。


これは急いだ方がいいかもしれない。


「とは言え……」


後ろを振り向くと、そこには未だにもがいている3人にそれを心配しつつもオロオロしているあかり。


うーん、もうちょっとこの滑稽な光景を見ていたいけど、仕方ない。


「はい、これでもう治りましたよね?」


いつもの様に指を鳴らして3人に回復魔法をかけてあげた。

我ながら自分の慈悲の深さに戦慄を禁じ得ないな。


「では、行くとしましょうか」


「行く?何処に?」


突然、目が回復した事に困惑しつつも中村が聞いてくる。


そんな困惑の表情を浮かべる4人と学園長に俺はニヤリと笑みを浮かべ言い放った。


「姫様からのお呼び出しですよ」


少しでも『面白かった』『続きが気になる』と思ってくれましたら、


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これからもよろしくお願いします!!


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「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」


そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!

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