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85話 神滅の一撃

転移門を抜けた先に広がるのはいつかの荒野。


「もう、完全に元どおりか…流石だな」


少し前までこの場所は俺とネルヴィアの戦闘の影響で凄惨な事になっていたのだが。


今となってはそんな事は無かったと言わんばかりに元どおりになっていた。


「ここは…」


俺の後に続いて転移門を抜けて来た学園長が周囲を見渡してポツリと呟く。


そして、さらにその後に続いて出てきた中村達は即座にその場に身構える。


カタカタと震えながらも剣を構える中村、そのほかの3人もまぁ、似たり寄ったりだな。


「まぁまぁ、そう身構えなくても良いですよ。

と、まぁそう言われても無理ですか」


俺の言葉も耳に入っていない様子の中村達はだが、まぁこうなるのも無理はないだろうな。


はぁ、だから連れてきたく無かったんだよ。


「ユーピルウス殿、これは一体?」


「あぁ、別にアレは気にしなくて良いですよ。

アレはアイツのペットの様な物なので」


そう、既にほとんどの人は忘れていると思うが、本来この場所はネルヴィアの城の周辺はネルヴィアの影響で高密度の魔素溜まりとなっていて、高位の魔物達の巣窟となっている。


尤も、そんな魔物達もこの間の俺とネルヴィアの戦闘で殆どが死滅した訳だが。


この場所が元どおりになっているのも、そもそもがこの場に満ちている魔素の影響であり。


この場が完全に元どおりなっていると言う事は当然、この場所には高位の魔物達が跋扈していると言う事に他ならない。


とまぁ、そんな訳があるのだが、それを一々説明するのは憚られる……と言うより面倒なので、取り敢えず学園長の背後を指差す。


その場に鎮座するのは、魔王が一柱、吸血姫ネルヴィアが居城である荘厳な城だ。


そして、その城のバルコニーには城の城主にして不可侵存在として恐れられるその存在が俺の事を凄い形相で睨みつけていた。


「ついでに言えば先に転移させたタージスクタが何も出来ずにいるのもアイツの影響ですね」


尤も本来であれば俺もすぐに移動するつもりだったので、学園長と中村達の横槍がなければこんな事態にはならなかった訳だが……


怖いな、これは後でご機嫌取りをする必要がありそうだな。


あっ、苦笑いを浮かべていたのがバレてしまった。


タージスクタを牽制する為に放たれていた魔力と殺気の一部が俺に向けられて……あちゃぁ、やっぱ学園長も分かっちゃうよね。


ほら俺に向けられた余波で学園長、無駄に強張って身構えちゃったし、後ろの中村達なんてガクブル震えてるし……


てか、俺に殺気向ける暇があるんだったらタージスクタをヤッてくれたらいいのに、と思ったのは決して口に出来ない俺の本音だ。


まぁそうも言ってられないのが現実だよな。


仕方ない、俺が矢面に立つとしようか


「さて、では俺は今からタージスクタを片付けに行きます」


「あっ、はい、わかりました」


俺が学園長達を庇うように前に出だ事によりネルヴィアの向けてくる魔力と殺気を完全にシャットダウンした。


うん、まぁアイツが微妙に怒ってるのって端的に言って俺の責任だしこのぐらいはしないとな。


「あぁ、そうそう。

学園長、良いものをお見せして差し上げましょう」


「良いもの、ですか?」


「ええ、折角の機会ですからちょっとしたパフォーマンスですよ。

では、また後ほど」


そう言って不敵に笑みを浮かべて見せた後に転移でその場を去る……やっべぇ、今の俺めっちゃカッコよくね!?


いやぁ、一度でいいからああ言うのやってみたかったんだよな……まぁ尤もすぐに黒歴史として後悔する事になりそうだけど。


「さてと、待たせたな、タージスクタ」


「ク、フゥ…流石は古き魔王と言ったところでしょうか。

まさかこの我を短時間と言えど足止めすることが出来るとは驚きです。

ですが、我を足止めした事によりかの魔王はすでに満身創痍でしょう、果たして本当に貴方に勝機はお有りとお考えで?」


「……」


コイツは何を言っているのだろうか?


まさか、いきなりこんな意味不明な事言われるとは思ってなかったから、ちょっと唖然としていたら、何を勘違いしたのかタージスクタは高笑いし始めた。


「クックックッ、今になって自身がどれほど愚かな行為をしているか理解出来たようですね。

恐怖で声も出せませんか?」


「まぁまぁ、御託はいいからさっさと終わらせようぜ」


「フン、人間風情が生意気な。

まぁ、いいでしょう、お望み通り一瞬で終わらせてあげましょうとも。

ですが、ご注意下さいね?私の力はあの時の人形の比ではありませんからね」


まぁ、確かに今のアイツの纏う魔力を見ればあの時よりも遥かに強い事は見て取れる。


「確かに今のお前はあの時よりかは強いだろうが、所詮はその程度だからな」


あえて挑発するように肩をすくめながらそう言うと、ヤツの額に青筋が浮かんで見える。


やっぱ、ああ言うプライドの高そうなヤツってこう言った挑発ですぐに頭に血が上ってくれるから楽だよなぁ。


「に、人間風情がぁあっ!!」


ほらきた、ほんと短絡的で助かるな。


逆上して真っ直ぐ突っ込んでくるタージスクタの貫手を半身になってかわしつつ、すれ違い様に伸び切った足を引っ掛けてやると……


タージスクタは凄まじいスピードで突っ込んできた事もあり、バランスを崩された奴は轟音を立てながら地面にキスをお見舞いする事になった。


うん、普通に痛そうだわ、あれ。


「つっ…き、貴様ぁ!」


顔を持ち上げこちらを振り向いたタージスクタの顔は鼻血と言う名の鮮血に塗れ、酷い事になっている。


そんな顔でキッと睨み付けられても、ねぇ?


「じゃあ、今度は俺からいくぞ」


学園長がやっていた雷神化。


雷属性を極めた者にしか成し得ない技と言えるだろう。


まぁ、全属性を極めた俺にとってはこのくらいは楽に再現出来るけどね。


これは自身の魔力を雷の性質に変換しその雷を衣の様にまとい、擬似的な精霊と化す技。


だが所詮は擬似的なものに過ぎない、魔力で構成されていて、魔力の塊と言える精霊と比べればその力は限定的なものと言える。


しかし!完璧に自身の魔力を掌握し、行えば…


「雷神化」


「ふ、フハッハッハッ!!

何だそれは、何も変わっていないでは無いか!!

クックック、無様だな人間」


……プッチンしそうだぜ!!


「落ちろっ!」


指を鳴らすと5つの閃光が天より轟音を伴い舞い降りる。


「くっ…な、何だこれは!?」


その閃光によって作られた牢獄に囚われたタージスクタが戸惑いの声を上げる。


「馬鹿め!完璧に魔力を掌握していれば外見の変化なんて起きないんだよ!!

これで、お前は雷の牢獄に囚われた、もう逃げ道はない」


「牢獄だと?

笑わせるな!この程度でこの我を捕らえられるとでも思っているのか?」


この雷の牢獄をナメてかかっていたタージスクタの手がその境界に触れた瞬間…


バチィィィイ!!と凄まじい音と共に辺りに焦げた匂いが充満する。


「折角、忠告してやったというのに」


匂いの元にいるのは、右腕の肘から先が焼き焦げ炭と化しているタージスクタ。


とは言え、その程度の傷は神にとってあってない様なモノで、タージスクタ腕もほんの一瞬で再生を果たした。


「これでそこから出られない事は理解出来たな?」


自身の腕が消し飛んだ事に唖然としていた、タージスクタは俺の言葉を聞いてその目に絶望を浮かべる。


が、その絶望は次の俺の言葉によって淡い希望に変わった。


「けどまぁ、この一撃を耐えら切れたら見逃してやってもいいぞ」


さてと、学園長に啖呵を切った事だし壮大にいこうかな。


腕を真上に掲げて見せると、その俺をタージスクタは訝しむ様に見てくるが、次の瞬間にはその目が驚愕に見開かれる事になる。


タージスクタを捕らえている5つの雷で作られる五芒星を中心に空に巨大な積層魔法陣が展開される。


「尤も耐えられたら、の話だけどな。

落ちろ、神滅の雷霆(ケラウノス)!!」


多重に展開される積層魔法陣から降るのは宇宙をも消し去る神の雷の名を冠する神滅の一撃。


腕が振り下ろされた瞬間、地を穿った一撃が音さえも消し去り、視界が閃光に包まれた。


少しでも『面白かった』『続きが気になる』と思ってくれましたら、


 ブックマーク登録及び、下記の評価ボタンを押して頂けますと嬉しいです。


これからもよろしくお願いします!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こっちは明日更新します!!


「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」


そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!

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