80話 決着
やっとゴブリンロードとの闘いを終わらせることができました!!
誤字脱字報告ありがとうございます!これからもよろしくお願いします!!
有象無象と言っていいゴブリンどもは粗方片付けることが出来、残るはゴブリンロード一体のみとは言え、俺の方も持って後数分と言ったところだ。
そして、残念ながら俺がタイムミリットを迎えればゴブリンロードに勝つ事はかなり難しくなる、ほとんど不可能と言ってもいい。
何せ、俺の聖剣解放は自身の魔力・身体能力の底上げはもちろん、俺の強化率には劣るとは言え俺が仲間だと認識している者達も強化すると言う副次的効果がある。
それに加えてあかりの強化魔法の二重のバフを持ってゴブリンロードと互角に戦えていると言うのが現状だ。
この状態でもし、聖剣のバフが無くなればどうなるのかは語るまでも無いだろう。
だからこそ、短期決戦に持ち込まなければならない。
勿論、その事をみんなも知っているので、俺と駿は一度視線を合わせ1つ頷く。
先程から隙を晒し続けているゴブリンロードに追撃を加えると言う意思疎通を取り、いざゴブリンロードに向け踏み込もうとした時……
僅かにゴブリンロードが俯いたままの状態で口角を釣り上げる。
それは俺たちに攻撃の為に踏み込む事を一瞬躊躇させるには十分な出来事だった。
そして、その一瞬が大きなミスとなる。
一斉に俺たちの足元に転がっていたゴブリンの亡骸から漆黒の霧のような物があふれ出るよう漏れ出し、あたりに充満し始める。
「これは……っ、駿!!」
「おうよっ!」
俺と駿は咄嗟にゴブリンロードに向けて地面を蹴るがそれよりも漆黒の霧がゴブリンロードに吸い寄せられるように吸収されて行く。
先程の一瞬の躊躇いに後悔の念が湧き上がるがすでに過去の出来事。
俺と駿の放った一撃は再生されたゴブリンロードの両腕によって防がれていた。
「ふふ、ヒァッハッハッハ!!」
耳障りな嗤い声を挙げながら、漆黒の霧が風となってゴブリンロードを包み込みそれにより俺と駿は吹き飛ばされるも、体勢を整え地面に着地する。
そして、渦巻くように巻き上がる漆黒の風が一瞬その動きを止めたかと思うと、内側から吹き飛ばされ霧散していく。
「クックックック、お前達はたった今、自らの手で自らの勝機を断ったのだ人間」
そこに居たのは、漆黒の全身鎧を見に纏い、漆黒の剣を手に持ったゴブリンロード。
そして、その内容する魔力の量が先程までの数倍にまで膨れ上がっていた。
その事実に思わず固唾を呑む俺たちを見たゴブリンロードがニヤリと楽しげに表情を歪める。
「我が纏う漆黒の魔力は少々特別でな。
漆黒の魔力は生物の恐怖や絶望と言った負の感情を糧にその強さを増すのだ。
そして、生物が最も負の感情を強く発する時はいつだと思う?」
そこで一度言葉を切り俺たちを見渡すと満足げな笑みを浮かべながら再び言葉を紡ぐ。
「それは、死んだ時だ。
生物は通常、死の恐怖により最も強く負の感情を発生させる。
さて…」
ゴブリンロードはニタリと浮かべている笑みをさらに深めながら言い放った、「お前達はゴブリンを何匹殺した?」
圧倒的なまでの数倍に膨れ上がった魔力、先程まででさえ互角だったのだから、これで人間どもに勝機はない。
とでも思っているんだろうな。
まぁ、確かにゴブリンロードの莫大な魔力は驚異的だし、あの魔力を身体強化に回されたら更に厄介なことになるだろう。
けど、こう言っちゃあ何だけど、元々さっきまでの状態でも俺たちとゴブリンロードは互角とは言えない状態だった。
スピードはあっちが上だし、パワーも雫の結界を容易く破る程だ。
極論だが、元々劣っているステータスを幾ら離されてもはっきり言って大した差は無い。
大袈裟に例えれば海にプール数杯分の水が加わっても誰も気づかないのと同じだ。
そんなステータス面で劣る俺たちが曲がりなりにも対等にゴブリンロードと対峙できたのは一重に作戦と連携の賜物だ。
つまり…
「やる事は何も変わらないってか」
「そういう訳だ」
駿の言葉に頷ききつつ、油断する事なくゴブリンロードに視線を向けるが、どうやら奴は自身の力に酔っているらしい。
確かに総合的な力は増加しただろうが、増加した力に酔い、勝利を確信し慢心と油断を露わにしている今の方がさっきまでの奴より数段やり易い。
「一気に決めるぞっ!」
俺の掛け声に各々が返事を返し、俺と駿はそれを確認し再びゴブリンロードに向けて地を蹴った。
対するゴブリンロードはニヤついた表情のまま余裕の態度で傍観の構え。
纏っている漆黒の鎧が一部分から全身へと変わってはいるが、その密度自体に変化は見られない。
という事はだ、恐らくは強化された事で増した回復力に自信があるのだろう。
尤もさっきの腕が生えていた状況を見ればもはや再生能力と言った方が適してる気がするが…
まぁ、向こうが防御するつもりがないのであれば、こっちにしてみれば好都合だ。
案の定、俺と駿の放った攻撃はゴブリンロードの両腕を再び斬り飛ばした。
が、一瞬漆黒の霧がゴブリンロードの斬り飛ばされた腕の部分を覆ったかと思うと次の瞬間には何事無かったかのようにそこに腕が存在した。
「どうした人間、その程度では我が再生力の前には無力だぞ?」
俺たちを挑発するようにそんな事を言ってくるが、好都合だ。
「そいつはどうかな?」
慢心し俺たちの攻撃を避けようともしないゴブリンロードにそう答えると、俺と駿は更に追撃を加える。
俺の言葉に軽く肩を竦める様な仕草をたったゴブリンロード両腕を俺と駿の放った2撃目が再び斬り飛ばす。
そして、それだけに留まらず繰り出される連撃がゴブリンロードの身体に次々に傷を刻み込むみ……
そこでゴブリンロードは呆れていた様に閉じていた目を見開いた。
理由は簡単、幾ら経っても俺たちが斬りつけたゴブリンロードの腕が再生しないから。
しかも、腕だけに留まらず他の傷も修復されておらず、ゴブリンロードの傷口には全て切り裂かれた物とは別の焦げ付いた様な跡が残っていた。
何をしたかと言えば、俺たちの武器にあかりが付与魔法を使用したのだ。
付与した魔法は炎系統の魔法で、俺と駿の武器の表面温度は現在数百度、もしかすると数千度にも達しているかもしれない。
そんな刃物で肌を切り裂かれるとどうなるのか、勿論その刃物の熱量で細胞は焼かれ、焼死する事になる。
ゴブリンロードの回復力がどの程度のものかわからなかったが、流石に細胞を死滅させれば回復は出来ないという訳だ。
「くっ!」
俺たちの攻撃を開けた部分が回復しない事を悟ったゴブリンロードが咄嗟に飛びのこうとするが…
「なっぁ!?」
ゴブリンロードは一歩たりともその場から動く事はできずに驚愕の声を挙げる。
現在、ゴブリンロードの関節という関節全てに正三角錐の結界が雫により施されている。
人体の構造上、関節を固定されると行動の大部分が制限される事になる。
ゴブリンロードは人間と程近い身体をしているし、それが全ての関節を固定されたとなると、今のゴブリンロードは一歩どころか指一本動かすのですら至難の技だろう。
「ぐっ、うぉぉぉぉお!!」
莫大な魔力がゴブリンロードから溢れ出すが、三角形に展開された雫の結界は凄まじい強度を誇る。
いかに防大な魔力でステータスを強化しようと数百という数の結界で動きを封じられたゴブリンロードはピクリとも動かない。
「確かに」
俺のその言葉に、ゴブリンロードが反応しこちらに視線を向けてくる。
その視線には怒りや焦りそしてなにより恐怖の念が浮かんでいる。
「お前の力は俺たちを遥かに上回る。
お前が油断なく対処してくれば俺たちは逃げるしかなかった」
眩い白き輝きを増す聖剣を携えながら、身動きの取れないゴブリンロードに近づいて行く。
「だが、お前はその増加した力に酔い痴れ油断し慢心した。
それが、お前の敗因だっ!」
俺が振り下ろした聖剣はゴブリンロードを切り裂きその神聖な力でゴブリンロードを浄化する。
聖剣の輝きが収まった時にはゴブリンロードの姿は無かった。
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「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」
そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!