08話 殲滅
第8話なります
今後も最低一週間に一回ペースでアップするのでよろしくお願いします!!
今俺の目の前には数えるのが無駄に思えるほどのおびただしい数の魔物達が蠢いている。
此処は、アストラル王国王都の西門に当たるところであり、この国の流通を確立する為に必要不可欠な門でもあった。
そんなわけで此処には普段から数多くの人々が行き来しているのだが、突如として現れた視界を埋め尽くさんばかりの魔物の大群に人々は逃げ惑い、さっきの王城の一角が吹き飛んだ事もあってか衛兵達も役に立っていない。
「これは…」
不味いぞ、この強い魔力反応は…
あいつら、此処を本気で攻め落とすつもりらしい、
俺がまだいるというのに何という仕打ちだ。
「くそっ」
俺は悪態をつきながらどう行動するべきか考える、
此処は冒険者達と協力して事に当たるべきか?しかしこの魔力は準魔王クラスの化け物が数匹いる、この廃れた世界の冒険者達でどうにかなる相手なのか?
かと言ってレベルを上げていない状態でこの数を相手にするのは流石にキツイ、此処はやはり冒険者達と協力して切り抜ける方がいいか…
いや、待てよアイツらが此処にきた理由は十中八九俺が目的だろう。
なら、俺がレベル上げずにいる必要はもう無いのでは無いだろうか?
そもそも俺がレベルを上げずにいたのは、面倒な奴らに見つからずにこの世界を謳歌する為だったのだが、もう既に面倒な奴らには見つかった。
正直言って今の状態でこの局面を切り抜けるのは難しい、今回は経験値を拒否せずにレベルを上げておかないとキツイかもしれないな。
しかし、いきなり大量の経験値を得ると次は身体がもたないし…
仕方ない取り敢えず雑魚を片付けるとしよう。
魔力感知の反応によるとはクラスメイト達と冒険者ギルドの連中が今こっちに向かってきてるのがわかっているのだが…
本当なら他の奴らが到着するまで待っていたかったのだが、今にも魔物達が襲いかかってきそうな感じだし、仕方ない始めは派手に行くか。
そして俺、詠唱破棄された現在の魔力量で放てる最大火力の魔法を発動する、
発動した魔法はゲーム時代に開発した俺のオリジナル魔法である五代性質である火、水、風、土、雷の内火と水の最上位魔法《炎天》《蒼天》をアレンジした《炎龍》《蒼龍》この魔法はその名の通り炎天と蒼天の威力を秘めた龍が現れる、俺の発動した魔法が眼前に蔓延る魔物達を消滅させて行く。
相手方の中央付近に到達したところでまずは蒼天を霧散させ、そこに炎天を打ち込む事で相乗効果をなし、凄まじい水蒸気爆発が巻き起こり激しい爆風と凄まじい熱量を周囲に撒き散らしながら巨大なキノコ雲を構成する。
おそらくこの魔法に耐える事が出来るのはこの中では準魔王級の奴らだけだろう。
上空に巻き上がった土煙が晴れていきその場に残っていたのは炭とかした魔物達の残骸と、数名分の人影だけだ。
その内の一体が俺の方に向かって歩いてくる。
「お前、今のは一体なんだ?」
見た目はまさに少年だが、その内に秘めた力は絶大だ、多分クラスメイト達が束になっても傷一つつけられないまま皆殺しにされる程の力は感じる。
「鬼人か珍しいな」
するとその少年は少し驚いたように目を見開いた。
「へ〜僕の正体を見抜くなんて君なかなか凄いね、よかったら僕の部下にならないかい?」
「お前の部下?何で俺がお前程度の部下にならなければならないんだよ?」
「何?この僕をお前程度、だと…」
その場の重力だけが数倍にもなったかのような感覚に襲われる。
これはヤバイは、流石に今の状態じゃあ無理かもな。
クッソやっぱ経験値拒否するんじゃなかったか…
「ただの人間の分際で調子に乗りやがって、
死ね!!」
目にも留まらぬ速さで俺に向かって手刀を振り下ろしてくる、俺はそれを長年の身体に染み付いた勘と鍛え抜いた技術を駆使し、腰に挿していた片手剣を抜きはなち数合打ち合いお互いに弾く様にして距離を取り合う。
力や基本的なステータスは相手が圧倒的に上だが、技術と勘で何とか互角ってところだな。
「おい、君!
早くそこから逃げろ!!」
「おいおいあれって鬼人ってやつじゃ…」
「そんなわけねぇだろ、そんな化け物がこんな所に」
「でもよあの存在感、アイツはヤバいぞ」
「いや、アイツだけじゃねえ、向こうにいる奴らも準魔王クラスの化け物ばかりだぞ」
門の方で騒いでいるのはクラスメイト達よりも早くこの場に辿り着いた冒険者ギルドの連中だ。
「ねぇ何よそ見してるんだよっ!」
まずい!
今の奴はさっきまでは無かった剣、いや刀を握っており、それを目にも留まらぬ速度で振り下ろしてくる、俺は咄嗟に自身と相手の刀の間に片手剣を挟み込む。
「がはっ!」
左肩を切り裂かれながら数メートル吹き飛ばされる、しかしそれで奴の攻撃が止むことは無い、肩の痛みに表情を歪めながら視線を上げると目の前には刀を振り下ろしている奴の姿が目に入る。
「クソが!」
俺は悪態をつきながら咄嗟に光魔法の《フラッシュ》
を発動する。
一瞬、眩い光が吹き荒れ次の瞬間その場には肩から血を滴らせながら佇む俺と、先程とは逆に数メートル離れた位置に倒れ伏す鬼人の少年。
鬼人の少年は俺と同じ様に肩を切り裂かれ驚いた様なマヌケな顔をして天を仰いでいる。
そして、ムクリと上半身を起こし自らの肩を一瞥するの俺の方に顔を向ける。
そしてその表情がいきなり豹変するマヌケな表情から激しい怒りの表情へと…
「よくも、よくも僕の身体に傷を付けたな…
絶対に殺してやる!」
そして一瞬で俺との距離を詰め刀を振り下ろす、確かに早い、常人では反応すらできずに首と身体が永久にバイバイする事になるだろう、
だが、怒りに任せて単調に振り回しているだけでは俺は斬れない。
そして、大振りになった奴にカウンターを合わせて一気に胸から腹にかけてを斬り裂いた。
そして鬼人が膝から崩れ落ちる、俺はボロボロになった片手剣を腰に戻し、鬼人の少年が持っていた刀を手に取る。
「こいつは戦利品に貰っていくぞ」
俺は倒れ伏している、鬼人に語りかける。
「ま、まさかこの僕が君みたいな人間に負けるなんて、ね…」
そして鬼人が事切れる。
その様子を見ていたすべての者達が驚愕にとらわれることになる。
敵側では残りの準魔王クラスの魔物達が、こちら側では、一部始終を見ていた冒険者一同といつのまにかこの場に辿り着いていたクラスメイトの連中が。
そして冒険者達から声が上がる、喜ぶのはいい、絶対的な脅威が居なくなったのだから確かに残っている準魔王クラスの魔物達もかなり強いが一番強かったのはコイツだった。
だが、まだ終わっては居ない、今の経験値で俺のレベルはかなり上がっているはずだ、だがそれでも奴らにはまだ敵わない。
「まだだ!まだ終わってない、早くこの場から離れるんだ!」
俺は声を張り上げて喜びの声を上げる冒険者達と立ち尽くすクラスの奴らに言い放つ。
「無能の分際で俺たちに命令してるんじゃねぇ!」
そう叫んだのはクラスメイトの中でもこの一ヶ月、特に突っかかってきた坂東 彰でそれに続く様に声を荒げるクラスメイト達、いつもの様に北山だけが皆んなを必死に説得しているが…
もう、遅かった様だ。
一瞬で騒いで居たクラスの奴らが黙り込むそして身体中から脂汗を垂らし固唾を呑む。
冒険者達も同じような状態だ、理由は簡単、今この場を支配しているのは圧倒的な圧迫するような存在感と魔力。
その発信源は空中に浮かぶ2人の人影、龍王アヴァロスと魔王ヴァイスロギアでありその場にいるだけだ他の者を圧倒してしまうほどの存在が2名、俺の事を楽しそうに口角を釣り上げ見つめて居た。
少しでも『面白かった』『続きが気になる』と思ってくれましたら、
ブックマーク登録及び、下記の評価ボタンを押して頂けますと嬉しいです。