71話 ストレス発散
今回少し短めになっています
前回同様、連続更新していきたいと考えてますが、まだわかりません。
多分、明日も更新すると思います。
ふぅ、静かだ…
お子様の喧騒もなく、学生達の騒ぎ声も無く、面倒な元クラスメイト達の追求も無い。
そして何よりも、魔王達が近くにいない……ここは天国ですか!?
ここが唯一、超過酷な環境の中にあるオアシスだな、そう、ここは魔導学園が誇る図書館。
そして、俺以外に誰もいないのは今が授業中だからだ、よって現在俺は授業をサボっている訳になるのだが。
はっきり言って昨日の授業を受けた時点であの授業を受ける必要性を見出せなかったのだから仕方がない。
まぁ幸いなことに、この魔導学園では地球の高校の様に出席点など存在しない、各学期ごとにある筆記試験、実技試験で点を取れば進学も卒業も可能なのだ。
そして、編入して2日目にしてこうして授業をサボっている俺だが、今にして思えば、俺がこの学園で学べる事など無いに等しい。
それが昨日1日、この学園の授業を受けた俺の感想だ。
まぁそれも仕方のない事だった、だって俺はAWOのトッププレイヤーだった訳で、この世界の事についてはほとんど把握している。
それに、もし万が一に俺が知らない事があったとしても、俺には頼りになるサブブレインたる、リエル先生がいるのだ、よって学力において俺がこの学園に習う事は無い。
実技は言うに及ばず、これがこの世界で最高峰の学園の中でもトップの奴らなのかと思うと残念な程にレベルが低い。
よって、筆記、実技ともに取るに足らない授業と言える訳で、早々に学園長に掛け合い授業に出ないでもいいと言う言質を取ったのだ。
そんな訳で、俺は今、学園の図書館にて優雅なひと時を過ごしているのだが、お子様3人と魔王3人は実技の実力は十分すぎる程だがいかんせん筆記が悪い。
勇者一行はこう言ってはなんだが、はっきり言って両方全然ダメだ。
因みに、俺と共にお子様3人に加え、魔王3人も授業の免除を掛け合ったのだが……
あの時の学園長は凄かった、魔王を前に全く引く事なく、正論にて圧倒するあの光景、アレこそ俺がこの学園で唯一学べるところと言えるだろう。
勿論、勝ち誇る事もなく優雅な微笑みを浮かべる学園長を前に言い返せずいた魔王達、と言う光景を見て俺が学園長を尊敬たる存在とした事は言うまでも無い。
さて、幾ら穏やかに過ごせるオアシスだと言っても流石に何もする事がなければ暇だ、なら授業に出ろという話なのだが、それは嫌だ。
では何をするのか、したい事はそれなりにあるのだが、現在最優先でしなければならない事は俺自身の強化だろう。
このあいだの、魔神、あの程度の存在であれば俺がてこずる事はまず無いだろうが、女神ジル、アイツにはどうしても勝てるイメージが持てない。
女神ジルが敵である可能性がある現在、俺自身も強くなる必要があるだろう。
とは言っても今の俺のレベルでのレベリングは至難を極めるが、まぁどうにかなるだろう。
この世界には俺が残した迷宮以外にもAWOのトッププレイヤー達が残した迷宮が各地に存在する、そこを片っ端から攻略するとしよう。
「よし、そうと決まれば早速行動に移そうか…まずは、迷宮を調べるところからだな」
……流石に幾万も存在する迷宮を全て把握している訳じゃ無いし、現在どこの迷宮がどれ程の難易度なのかも知らないからな。
幸い、ここは魔導学園が誇る世界最大規模の図書館だ、俺の求める資料も存在するだろう、けど……
「この中から探すのは骨が折れそうだ…」
眼前に広がる、広大な図書館を前にため息を吐いたのは仕方のない事だろう。
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授業の終了を知らせる鐘が響き渡る、この鐘は魔法を用いてこのバカみたいな敷地面積を誇る学園全土に届く様になっている。
どうやら、俺はこの世界に来て初めて敗北を経験した様だ。
「この図書館広すぎだろっ!!」
静かにしなければならないであろう図書館にて大声で叫んでしまったがそれも仕方がない、だって朝から今までずっと探し続け…見つからなかったのだから。
これは、学園長に苦情を入れに行く必要がありそうだ…
っと、どうやら授業が終わり熱心な学生達が図書館にやってきた様だ。
だがな、俺がこれだけ時間をかけて本を探し出さないというのにこの学園の学生に探し出せるはずもない、ククク、お前らも俺と同じ屈辱を味わうがいい!
そんなことを思って学生達を観察していたのだが……彼らは皆、図書館の入り口にて検索用の魔導具を用いて即座に目的の本を手に…
ぷっつん来たよ、久しぶりにぷっつん来ましたよこれ。
何故だ…なら俺の今日の努力は一体なんだったのか?
それに俺があの程度の事に気がつかないだと?どうやら俺は本格的に休養が必要な様だな。
まぁそれはそれとして取り敢えずこのストレスを発散しに行かないとな。
《……》
リエルさんが呆れている様な気がするが、そんな事は気にしては負けだ。
ふつふつと湧き上がる怒りを抑えてアビスに転移した。
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「ふぅ〜」
眼前に広がるのは核戦争でもあったのかと思う程に荒廃した荒野、まぁ俺が原因なのだが。
アビスに戻り取り敢えず高威力の魔法を打ちまくった訳だが、ここに住んでいた魔物達には悪い事をしてしまったかもしれない。
始めに放った、火系統魔法で果敢にも向かってきた竜が消し飛び、その魔法に反応した古竜も次の瞬間には凍りつき、ダイヤモンドダストとなって消え去った。
火系統の魔法で火の海とかし、水系統の魔法で火が消化され大規模な水蒸気爆発が巻き起こる。
しかしそれも次の瞬間には一瞬にして凍りつき、絶対零度の世界が顕現する。
氷点下の世界に突如として鳴り響く地鳴り、全てを凍て付かせた氷が砕け散り、地面に巨大な亀裂が走る。
荒れ果てた地面に光の柱としか表現出来ない巨大な雷が降り注ぐぎ、クレーターが形成される。
そんな光景が迷宮のフロアの各地にて見て取れる、突如として巻き起こる異常事態に逃げ惑う魔物達にそれを蹂躙する魔法の嵐……うん、大人気ない事をしてしまった、あれしきのことでここまでイラつくとはな。
やっぱり、色々とストレスが溜まっていたのだろう、明日から暫く休息をとる事にしよう、そうしよう、それがいい。
まぁ、レベリングを行うのはそれからでも遅くないだろうし、休息中に新たな魔法を思いつくかもしれないからな。
はぁ、取り敢えず、学園に戻るとしよう、あのお子様と魔王に勇者がいると言うまさにカオスと言える状況の学園に……戻りたくないなぁ。
そんな気分に後ろ髪を引かれつつ、惨状とかしたアビスから転移した。
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「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」
そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!