70話 去り行く平穏
申し訳ありません、話題を変更しました
連続投稿!!
4日目になります!
次話は29日目土曜日更新予定です!!
「な、何故、貴様等がここにっ!?」
3人の王の登場に声をあげたのは勇者こと中村君だ、全くもう少し落ち着きを持ってもらいたいものだ。
が、わかるぞ、お前が叫びたい気持ちは痛い程理解できるぞ俺は。
「ん?
あれっ、キミって確か……誰だっけ?」
その中村の声を聞いてヴァイスロギアがそちらを振り向き考えるそぶりをしてから、そう言い放った……
うわぁ、流石にこれは可哀想だわ、しかもこいつ等が会ったのってまだ1ヶ月ちょっと前程度だよ、さっきの坂東君みたいな唖然とした顔になってるぞ。
「お知り合いですか?」
「う〜ん、どっかで会ったような気がするんだけどなぁ。
まぁいいや、僕の名前はヴァイスです、よろしくね」
リティエジーナさんの問いに途中で考えることを放棄したヴァイスロギアはしれっと偽名を使って自己紹介をした。
しかも、いい笑顔で嘘をつくとか、流石いい性格してるなコイツ。
「私の名前はリティエジーナと言います。
現在はこのメビウス魔導総合学園にて学園長を勤めさせて頂いております」
「これはご丁寧に、私の名はロスと申します。
以後お見知り置きを」
「ふむ、妾の名はネルだ」
はい、見事に全員偽名を使ってきたな、まぁ本名言って正体がバレてもそれはそれで面倒なんだけどさ。
それにしても、コイツ等の偽名、適当すぎるんじゃないか?
そんなんだといつか絶対にバレると思うのだが…
「さて、では全員揃ったことですし、今後の流れを説明してもいいでしょうか?」
「ええ、よろしくお願いします」
リティエジーナさんに俺がそう答えると、魔王の3名が椅子に着く、魔導学園の応接室の椅子に3人並んで座る魔王……何それ笑えない。
「では、ご説明しま」
「おい、ちょっと待ってくれ!」
リティエジーナさんの言葉を遮って勇者が声をあげた。
はぁ全くいい加減にして欲しい、さっきは坂東君で今度は勇者かよ、話が全く進まない。
「そっちの女の子は知らないが、この2人は魔王なんだぞ!?」
「魔王ですか?
確かにこちらのお三方は魔王の一柱である、獣王が治る国の出身ですが」
何を今更という風にリティエジーナさんがそう返すが…
「いや、だからそうじゃなくて!
この2人自身が魔王だと言ってるんです!!」
「ふん、仮に妾達が魔王だとして何の問題があるのだ?」
大声を上げる勇者中村に、ネルヴィアがしれっとそんな事を言い出した。
確かに、前例はないが特に何か問題があるというわけでもないんだよなこれが。
この学園の入学案内などでも魔王は入学出来ないなんて事は一切書かれてないしな、まぁそれはそんな事を想定してないからだろうけど。
「そ、そんなの問題だらけに決まってるじゃないか!」
そうだ、もっと言ってやれ勇者君!
「ふむ、ではどの様な問題がある?
妾達はちゃんと獣王国を通して皇帝に編入を認められているのだ。
それを貴様にとやかく言われる筋合いは無い」
「くっ、だ、だが…」
「それに妾達が魔王だという証拠がどこにあるというのだ?」
「俺たちはエラムセス王国でその2人が魔王だと名乗った場に居合わせ」
「それは貴様の勘違いか何かでは無いのか?」
中村の言葉を遮ってネルヴィアはそう言い切った、そして一瞬凄まじい形相でヴァイスロギアとアヴァロスを睨みつけた。
まぁ今の一瞬を捉えられたのは、俺と魔王の2人だけだろうけどな。
「そ、そんな訳で無いだろうっ!!」
「はぁ、もうそろそろ話を進めたいのだが?」
俺がちょっと魔力を荒だててぶつけながらそう口を挟むと、中村は押し黙って俺を事を睨んでくる。
けどまぁそんな事は本当にどうでもいい、時間は有限なのだから。
「リティエジーナさん、お願いします」
「ふふふ、では、ご説明させて頂きますね」
俺がそう言うとリティエジーナさんは楽しそうに笑いながら説明した出した、この人はコイツ等の正体に気づいているのかもしれないな。
まぁ彼女自身SSSランク冒険者だし、気づいていたとしても不思議では無い。
それにしてもコイツ等もあの編入試験を受けたのだろうか?
コイツ等があの試験を受けたとしてそれに俺が全く気づかないはずはないんだけどな…
《アヴァロス、ヴァイスロギア、ネルヴィアの3名は編入試験を受けておりません》
リエル先生までそう言っているのだから、まず間違い無いだろう。
あの国の戦士団は三大国の騎士団と比べても圧倒的な実力を誇るからな。
そんな獣王国が推薦するくらいだから編入試験は必要ないと判断されたのだろう。
そんなんでいいのかと思わなくもないが、まぁ帝国が魔王の事を考慮した結果とも言えるだろうな。
「では、Sクラスの方は私、Aクラスの方はメーシス殿が教室までご案内致します」
そう言って席を立つリティエジーナさんの後について行く、勿論俺はSクラスだからな。
因みに勇者一行の中でSクラスになる予定だった3名が俺達と魔王達のせいでAクラスに降格させられたらしい、ご愁傷様としか言えないな。
う〜ん、それにしても勇者から凄まじい視線を感じる、これは後で何か言われるかもしれないな……これでも一応、三大国の高位貴族なんだけどなぁ。
まぁいいか、俺を含めSクラスになったのは全員でミラ、リーナ、ヘルそれに魔王であるネルヴィア、ヴァイスロギア、アヴァロスの7人。
そして勇者一行の中村、坂本、広瀬、あかり、それに坂東、桐ヶ谷の6名を加えた計13名だ。
はぁ、それにしても唯でさえ勇者一行がいると言うのにそこに加えて魔王が三柱、俺の平穏な学園生活はどこに言ってしまったのだろうか?
「では、私は先に教師の方に説明してきますので呼ばれるまで待っていて下さい」
教室の前に着いたと思ったらリティエジーナさんはそう言って教室中に入って行ってしまった。
「おいお前、まださっきの話は終わってないからな」
「その通りだ」
リティエジーナさんがいなくなった途端に俺を睨んだそう言ってくる坂東と中村。
まぁ2人で言っていることの内容が違っているだろうけど、まぁ俺がそれをいちいち聞いてやる必要がどこにあると言うのか?
「黙って待っていろ」
今後の学園生活に少しストレスを感じていたせいか、魔力に加えて少しだけ殺気を込めて睨んでしまった…
2人とも…他の勇者一行の奴らも息を呑んで黙り込んだからまぁよしとするか、けどまぁちょっとだけ大人気なかったかもしれないな。
その様子を見てミラとリーナ、アヴァロスが呆れた様に首を振り、ヘルとネルヴィア、ヴァイスロギアが面白そうにクスクス笑っていた。
そんなやりとりをしていると遂に教室中からリティエジーナさんの声が聞こえてきた。
しかし、なぜか誰も動こうとしない、普通こう言う時は勇者が率先して行くものじゃないの?
はぁ、仕方ないか、これから始まるであろう激動の学園生活に溜息を吐きながら教室の扉を開けた。
教室に足を踏み入れた瞬間、何故か大きな歓声が上がった…これはどう言うことでしょう?
まぁいいか、その後も人数が増える度に教室内のザワつきが大きくなる、そして全員が教室の中に入った事を確認したリティエジーナさんが静かに、と一喝する。
流石はSSSランク冒険者、あれだけの騒ぎを一言で沈めてしまうとは。
「こちらの13名がこの度このクラスへ編入することになります。
では勇者殿方から自己紹介をお願いします」
「はい、わかりました」
リティエジーナの言葉に答えたのは俺ではなく勇者である中村だ、普通は隣に立っている俺から自己紹介すると思うのだが、まぁ別に順番なんてどうでもいいか。
「俺の名前は中村、中村 亮太。
異世界から召喚された勇者です、どうぞよろしくお願いします」
中村がそう自己紹介した瞬間、教室内がさらに静まり返った、そして巻き起こる歓声、どうやら勇者と言うところに驚いた様だな。
それにしても、まさか先に苗字だけ言ってその後に名前を付け加えたフルネームって、こんなアニメでしか見た事がない自己紹介を見ることが出来るとはな。
その後も自己紹介は進み、元クラスメイト6人の自己紹介が終わったところでリティエジーナさんが言葉を挟む。
「以上が召喚されし勇者一行です。
次に、十魔王が一柱、獣王バロニスが統べる獣王国アヴァロンからお越しになった3名です」
その瞬間、先ほどと遜色ないほどの驚きの声が巻き起こった、まぁ魔王の国からの編入生なんて珍しいだろうからな。
リティエジーナさんの言葉に従って魔王3名が自己紹介をし始める、勿論使っているのは偽名だが。
それにしても何故俺たちが最後なのだろうか?まぁいいけどさ。
「では最後に三大国が一角、エラムセス王国からお越しになった4名です」
「うむ、妾の名はヘルティア・ユーピルウスじゃ」
「同じく、リーナ・ユーピルウスです」
「ミラ・ユーピルウスで〜す!」
立て続けにお子様三人衆が自己紹介を済ませてしまった、これで必然的に一番最後を締めるのが俺と言うことになった。
しかし、生徒達の反応が先程までとは打って変わって声は上がらない。
それもそうだろう、勇者一行に獣王国の後でエラムセスから来ただけではインパクトが弱すぎるからかな、けどまぁ俺としてはそっちの方がありがたい。
前の奴らに注目が集まれば俺が目立たなくなるし、面倒ごとが舞い込んでくる事も比較的少なくなるはずだからな。
もしかして、あの?とか言ってる生徒がそれなりにいる気がするがきっと気のせいだ、そうに違いない。
「俺の名前はソータ・ユーピルウスです」
よし、乗り切った、これで厄介なのは勇者一行と魔王達だけであとは俺に興味を持たないクラスメイト達と学園生活を送ることが出来るはずだ。
しかし次のリティエジーナさんの一言が全てをぶち壊しにしてくれた…
「このユーピルウス殿はエラムセス王国侯爵であり、新たなSSSランク冒険者でもあります」
その瞬間、先程まで比べても遜色ない、いや、それ以上の驚愕と歓声が巻き起こった。
そして向けられる興味ありそうに、好意を持って、目を輝かせて向けられる生徒達の目に思わずため息を吐く事になったのは言うまでもない。
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「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」
そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!