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68話 メビウス魔導総合学園

度々すみません、ついさっき気づいたのですが、過去に一度だけ名前が登場したクラスメイト坂東 彰を加え損ねていました。


よって佐藤 綾人 → 坂東 彰に変更します、ごめんなさい!


連続投稿!!


2日目になります!

さて、束の間の休日を堪能した俺たちだが、非常に残念な事に本日から学園生活が始まろうとしている。


その事に憂鬱な気分になりため息をこぼす。


「ご主人様、またため息ばっかりついてますよ」


すると、朝支度を整えやって来たミラが少し呆れたように行ってくるミラと共やって来たリーナとヘルもミラの言葉に、うんうんと頷いている。


はて?俺ってそんなにため息ばかりついていただろうか?


確かに最近は、学園行きが決まったり、バカ2人が押しかけて来たら、魔王への説得……確かに最近はため息をよくついていたかも知れない。


けどさぁ、それって仕方なくないですか?


それもこれも全てはエラムセス王が悪いのだ、奴が俺を魔導学園に編入などさせなかったら、憂鬱な気分になる必要も、魔王を説得に行く必要も無かったのだから。


けど、しかし、エラムセス王には既に報いを受けてもらった、今頃は俺が開発した呪いの効果で戦慄している事だろう。くっくっくっく…ふはっはは!!


「うわぁ、また、ご主人様が邪悪な笑みを浮かべるわよ」


「碌でもない事が起こっていそうですね」


「まぁ、ソータが楽しそうでよいではないか。

犠牲になった者には悪いが妾達には関係のない事じゃからな」


エラムセス王へのちょっとした意趣返しを想像しているソータの表情を見てお子様三人衆がそんな会話を展開していたのだが……


次にエラムセス王に会った時に、どの様に育毛剤と言う悪魔の薬を売りつけるかに思いを馳せるソータの耳には届かない。


「皆さま馬車の準備が出来ました」


そうこうしているうちに、どうやら時間が来てしまった様だ。


因みに俺たちは今、メビウス皇帝…アンジリーナが用意してくれたホテルに泊まっていた訳だが、これからは学園の寮に入る事になる。


魔導学園は全寮制らしく、そのクラスによって寮のレベルが異なるらしいので、最高クラスのSクラスに編入が確定している事もあり少し楽しみでもある。


しかも、Aクラス以上には個室が与えられるらしいと至れり尽くせりの待遇、流石は三大国のトップのメビウス帝国だ。


まぁ俺としても個室の方が好きにできるので都合がいい、個室であれば俺が転移でエラムセス王国やアビスに戻っても誰にも怪しまれる事もないだろうしな。


「来るべき時が来てしまった様だな」


「ぷっ!」


俺はいたって真剣に神妙な表情でそう呟いたのだが、どうやらミラのツボに入ったらしく面白そうに腹を抱えて笑っている。


全く、もう少しマナーを弁えてほしいものだ、俺たちを呼びに来た執事も表情には出していないものの、少し呆れた様な雰囲気を出しているしな。


「ふむ、ミラやお主には淑女としてのマナーがなっておらん」


などと、ヘルがミラに言っているのだが、君も大概だけどね。


このホテルから学園までの道のりは数十分程度であり、その道のりを送り届けてくれるアンジリーナが用意してくれた馬車で、ハッキリ言ってかなり華美な作りをしている。


そんな訳もあって、魔導学園までの数十分間かなりの注目を集めながらも、流石に帝都内で帝国の国章入りの馬車にちょっかいを出す者は存在せず、無事に魔導学園を視界にに捉えた。


「ほぇー、大きいですね」


「はい、流石はメビウス帝国が誇る魔導学園ですね」


その、門構えを見てミラとリーナがそんな感想を述べる。


確かに、一国の城と見比べても遜色のない見栄えをしているが、重要なのはそこでは無い。


「ふむ、帝国とやらも少しはできる様じゃな」


「ああ、まぁリーナと感想が被るが、流石はメビウス帝国だな」


確かに、見栄えは素晴らしいが、大事なのはそこでは無く、学園周辺に張られている結界の方だ。


その事に注視したのはヘルと俺だけだが、まぁこの辺りは実戦経験の差とも言えるので、今後教えていくしか無いのだが……まぁ2人ともまだ子供だし、あの学園の見た目に高揚するのも無理はない。


「ヘル、あの学園をどう見る?」


「ふむ、そうじゃな。

帝都そのものや、皇城もそうだが、やはりエラムセスとは比較にならん魔法技術と言えるじゃろうな」


確かにヘルの意見はその通りなのだが、何故かヘルはそこで一度言葉を切り俺にジト目を向けてくる。


「ふむ、ソータの屋敷と比べると……そうじゃな、まぁそこそこと言ったところじゃろう」


「まぁ、そんな所だろうな。

確かに学園全てを覆う範囲は凄いと思うけど、あれじゃあヘル級の奴がちょっと攻撃すれば簡単に破られるだろうからな」


まぁ、そんな事態に陥る事はまず無いだろうけど。


「皆さま、到着いたしました」


馬車が止まり御者が馬車の扉を開ける、どうやら馬車で送ってくれるのはここまでの様だな。


「工夫がされてるな、この結界」


「っ!?」


最後に馬車から降りた俺の一言に馬車の御者を務めていた皇城の文官であり、なんと内務大臣と言う大物であったメーシスさんが驚愕に息を飲む。


「流石ですね、ユーピルウス殿。

まさか一目見ただけでこの学園に張り巡らされている結界にお気づきになるとは…」


「いえいえ、幾ら判りづらく隠蔽されていてもこれほどの規模になれば流石に気付きますよ。

まぁ、学生レベルだと気付くかどうか微妙、気付けてもその構造まではわからないでしょうけどね」


その言葉にメーシスさんが再び息を飲む。


「そ、それはまさか、ユーピルウス殿には理解出来たと?」


「さぁ?」


俺がそのメーシスさんの言葉にニッコリと笑みを浮かべてそう答えると、メーシスさんは乾いた笑いを静かに漏らした。


そして、そんな会話を俺たちがしている後ろでお子様三人衆が、俺の屋敷の方がよっぽど凄いよね、なんて会話を繰り広げているが、そこはもうお馴染み、気にしてはいけないのだ。


そんな他愛も無い会話の後、メーシスさんの後を追って学園の門を潜る、そして眼前に広がる美しい庭園。


うん、素晴らしいかな…よし、俺もエラムセスの屋敷に庭園を作り上げるとしよう、美しく穏やかな庭園は俺のストレスで荒んだ心を癒してくれそうだ。


「そう言えば、かの勇者殿たちは如何なされたのですか?」


そう言えば、アンジリーナは勇者達と編入時期を合わせて3日後と言ったのだ、と言うことはこの学園に勇者達も来ているはずなのだが…


「やはり貴殿でも、勇者という存在は気になりますか?」


「ええ、まぁそれなりにですが」


流石に元クラスメイトなのでとは言えない…


「彼らならば、既にこの学園内にいるはずです。

この後、応接室に行く予定ですので彼らも既にそちらにいると思います。

はっはっは、学園生に勇者一行がいるとなれば騒ぎは避けられないでしょうからね」


成る程、道理で時間が早いわけだ、それにしても勇者達ってそんなにも有名人なのか?


それに今にして思えば俺って感知もできるんだよね、けどあいつら程度の魔力を感知するのは難しそうだな。


この学園にはあいつらと同等レベルの奴らもそれなりにいるだろうし、ハッキリ言ってアイツらの魔力なんて全く覚えていないからな……


だが、しかし!!俺には頼れる味方、リエル先生が付いているのだ、と言うわけでリエル、あいつらの事を感知できるか?


《………勇者一行の魔力を感知致しました》


今の間は一体……もしかしてリエルさん、怒ってらっしゃいますか?


《私にその様な感情はございません》


…うん、リエルはそう言っているが、これは確実に怒ってるな、よし、これからは出来る限りリエルに先に聞くことにしよう。


う〜ん、それにしても勇者一行か……リエルそれって何人だ?


《個体数にして15名の魔力を感知致しました。

中村 亮太、坂本 駿、広瀬 雫、北山 あかりの4名に加え、男性が織原 優、日野 久人、木崎 悟、篠原 悠斗、井上 光輝、坂東 彰、西園寺 清弥。

女性が、西野 美奈、中西 菜月、二宮 由梨、古澤 綾、桐ヶ谷 明の魔力を感知しております》


……うん、ゴメンだけど最初の4人以外全く記憶にないな。


まぁ、顔を合わせればそのうち思い出すだろう、一応元クラスメイトだしな。


「はぁ」


「おや、どうされましたか?」


おっと、俺とした事が…流石に元クラスメイト達との再会が少し憂鬱で、などと言えないし、さてどうしたものか。


「いえ、最近少し忙しかったものですから」


「はっはっは、ユーピルウス殿でも疲れる事があるのですね」


そう言ってメーシスさんは笑っているが、当たり前でしょう。


俺は超人でも無ければましてや神ではないのだ、普通に疲れるし憂鬱な気分になったりもする。


それに、本気ではないとは言え、ある程度の力で魔王とやりあったのだ、俺の受けた精神的ダメージは計り知れない。


当たり障りの無い、世間話をメーシスさんとしていると、どうやら応接室に到着した様だ。


「さて、着きましたよ」


メーシスさんのその言葉通り、扉の向こうから感知した15の魔力を感じる。


俺がメーシスさんが言うよりも早く到着に気づいたのには勿論理由がある。


ここまでの道のり俺たちは、メーシスさんの後をついて来ただけなのだが、実はリエルさんが自動マッピングしているので、既にこの学園の構造は手に取るようにわかるのだ。


幾つか、隠し通路の様なものを見つけたし、もしかすると既にメーシスさんよりもこの学園の構造に関しては詳しいかもしれない。


メーシスさんがドアをノックすると、中から1人のメイドが出て来てメーシスさんに用件を確認し、少々お待ちください、と言ってた戻って行った。


それにしても驚いたな、まさか学園にメイドがいるとは思っていなかった、流石はファンタジーと言えるな。


1人目の当たりにしたファンタジーな文化に感動していると、すぐに先ほどのメイドさんがどうぞ、と言ってたドアを開いた。


その様子が先程よりも硬いことから、恐らくはメーシスさんが国務大臣と言うビック人物だと知ったのだろう。


はぁ、とため息をつき、メーシスさんに続いて俺も部屋の中に入り、その後にお子様三人衆が続く。


入った応接室は広く、俺たちを含め勇者一行15名を入れてもゆったりと過ごせるだけの空間が作られている。


そして、一番の奥の席に座っていた人物は俺たち全員を立った状態で出迎えた。


「お初にお目にかかります。

私、メビウス魔導総合学園にて学園長を務めさせて頂いております、リティエジーナと申します。

ようこそおいで下さいました」


そう言ってその人物、水色のウェーブのかかった髪をした女性は優雅に礼をとった。


「これはこれは、お久しぶりでございますね。

リティエジーナ殿、こちらのお方がユーピルウス侯爵殿そして、ミラ殿、リーナ殿、ヘルティア殿です」


どうやらメーシスさんとこの女性リティエジーナは顔見知りの様だ、まぁじゃ無いと案内役にしたりしないよな普通。


「はじめまして、リティエジーナ殿。

ご紹介に預かりました、ソータ・ユーピルウスです」


「ミラ・ユーピルウスです」


「リーナ・ユーピルウスでございます」


「ヘルティア・ユーピルウスなのじゃ!」


俺が社交辞令通りの挨拶を返すと、お子様3人も無事にカーテシーをしてそう挨拶をとった。


「では、早速そちらにおかけしてお待ち下さい。

後、3名程」


「し、司波君っ!」


リティエジーナさんの声を遮って驚愕に染まった声が部屋の中からあがった。


ああ、勿論気づいていましたとも、側面からの視線にはね…


声のした方に視線を向けると、そこには目尻に大粒の涙を浮かべた幼馴染である、あかりと困惑と驚愕の表情を浮かべた元クラスメイト達が唖然とこちらを見ていた。



少しでも『面白かった』『続きが気になる』と思ってくれましたら、


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これからもよろしくお願いします!!


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「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」


そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!

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