67話 異例の試験
今週もやります!
連続更新〜!!
やっぱり一度はやってみたかった学園編ですからね、スイスイと文字が書けますよ!!
と言うわけでヨロシクです!!
ソータ達がメビウス帝国皇帝と邂逅した翌日。
「あ、あの者たちは一体何なのだ?」
誰もが知る三大国最強の国、メビウス帝国、その帝国を統べる皇帝もまた、人類トップクラスの実力者であり十指に入る強者だ。
そして今、そんな強者たるメビウス帝国現皇帝アンジリーナ・エレ・アルニクス・メイビスはその鮮やかなプラチナピンクの髪を揺らしながら玉座にて頭を抱えていた。
本来であれば絶対に見せない醜態を大臣や国の重鎮たちに晒しているにも関わらず、その事に対する声は上がらない。
それは、重臣である彼らが主人である彼女にモノを言えないと言うか訳ではない、それどころか帝国では他国ではあり得ないほど、重臣が皇帝に意見を言う事が多い。
しかし、皇帝が晒す醜態に対する注意もつけ込む声も一切上がらない。
それは何故か…答えは簡単、重臣である彼らも皇帝と同じ気分であるからに他ならない、皇帝の前で粗相を犯す訳にいかない為に堪えてはいるが、彼らとて頭を抱えたいのだ。
「何故、何故ユーピルウス侯のみならず、あの少女たちまでもがあれ程の力を持っているのだ!?」
珍しく声を荒げる皇帝に答えるものはいない、そんな事を聞かれても誰も答えられる筈もない、その事は皇帝自身も理解しているのだが、そう叫ばずにはいられなかった。
筆記試験が終了した後、予定通り実技試験に移行したのだがその時、皇帝アンジリーナ・メビウスはどれ程のものかと少し期待をしていた。
彼女は力の帝国と呼ばれるメビウス帝国の皇帝だけあって、かなりの戦闘狂であった、しかし彼女の力の高さ故に彼女とまともに手合わせが可能なのはSSSランク冒険者の3名のみ。
しかも、その3名も何かと言って忙しい身なのでたまにしか手合わせが出来ない状態だ、だからこそ彼女は期待を抱いた。
古竜2体を相手に圧倒しSSSランクまで史上最短記録成り上がったソータの事を。
だからこそエラムセス王から今回の編入についての話がもたらされた時、即決で了承したのだ。
全力で戦える相手が増えるのであれば、そこにオマケが数名付いてきたところで構わないと……
しかし、魔力測定でその考えは覆される、一番はじめに魔力測定を行ったのは、黒髪黒目のミラと言う名の少女。
オマケだと思っていた少女が、魔力測定用の水晶に手をかざした瞬間、視界が真っ白に染まった。
魔石を原材に作られる魔力測定用の水晶は、魔力が強ければ強いほど大きく光り輝く魔道具だ、そのミラと言う名の少女は突然の出来事に驚きの声をあげ手を水晶から離す。
すると、フッと光は収まったのだが、その光景を目にしたアンジリーナとメーシスは驚愕に飲み込まれた。
何故なら、それは少女の魔力量が皇帝と…いや、皇帝よりも強い事を物語っているのだから。
少女のそれは魔法でSSSランク冒険者にまで上り詰めたメビウス帝国最強の一人と同等のものだったのだ。
それも、こんな年端もいかない少女がだ…これが驚愕せずにいられるはずもなかったのだが、話はこれだけでは終わらなかった。
次に計測を行ったリーナという少女も、ミラと言う少女と同格の魔力を示したのだ。
そして、3人目のヘルと言う少女が手をかざした瞬間、それは起こった。
水晶は発光する事はなかった、しかしアンジリーナは今まで以上の衝撃に見舞われた、ピシィッと音を立て水晶に亀裂が走ったのだ。
今までアンジリーナ自身も、3名のSSSランク冒険者達が計測しても決して起こり得なかった現象に、メーシスは驚愕を通り越してフラついていた程だ。
しかし、すぐにそれを遥かに超える現象を目撃する事になる。
渦中の人物、4人目のSSSランク冒険者であるソータ・ユーピルウス侯爵が水晶に手をかざす、するとヘルの時同様に水晶は光を発さなかった。
しかし、先の少女ヘルとの違いは確かに訪れた。
水晶が音も無く崩れ去ったのだ、まるで砂浜の砂のような細かな結晶となって……
その現象は魔石に許容量を遥かに超える強大な魔力を注ぎ込んだ時に起こる現象なのだが。
それを考慮し莫大な魔力にも耐えられるように作られているはずの魔力測定水晶がいとも簡単に崩れ去った。
その光景にアンジリーナもメーシスも共に声を無くす、流石に水晶が壊れていたと考えたメーシスが新しく水晶を用意させるのだが……結果は何も変わらなかった。
その後の実戦試験では、この為にギルドから呼び寄せた2名のSSランク冒険者、「千剣」ルーメストと「鉄壁」ジルクスに手伝ってもらい試験を行ったのだが…
ミラとリーナの2人と互角の勝負を繰り広げ引き分けに、ヘルには圧倒されての敗北、ソータに至っては2名同時を相手に魔力をチラつかせただけで勝利を収めた。
かくして、無事に4名とも合格が確定したわけなのだが……
ミラとリーナはまだよしてしても、SSランク冒険者を圧倒するヘルは実力で言えばSSSランク冒険者に引けを取らない事を意味し、ソータは言わずもがな。
今まで武力面では三大国の中でも圧倒的優位に立っていた帝国にとってこの事態は楽観視できものではなかった。
「何故そのような強者が帝国では無くエラムセス王国などに?」
重臣の1人が漏らした言葉はこの場にいる全ての者の心象を語っていた。
しかし、それに答えられるものなどいるわけもなく、続くのは静寂のみ。
「問題はそれだけではない」
そこにそう声を発するアンジリーナ、それを聞いて重臣達は思い至ったように考え込むで俯いていた顔を上げる。
「ユーピルウス侯達一行が、我が帝国領に入ったのを確認出来ていないのだからね」
そして、その言葉を受けてそこ事の重大さに青くなる、SSSランクに匹敵するヘルにそれをも超えるかも知れないソータ・ユーピルウスが突如として帝国領内の街を攻撃するその光景を想像して。
そして、それは決してあり得ない話ではないのだ、もし帝国とエラムセス王国が戦争が起こりでもすれば……
それに、もしもその方法でエラムセス王国の軍隊が帝都周辺に突如出現すれば?
重臣達は、帝国の優位は変わら無いが、エラムセス王国を脅威として認識する必要があると考える。
しかしアンジリーナは、彼女だけは違った。
間近で見たソータ・ユーピルウス侯爵の魔力は彼女を持ってして勝つビジョンが浮かばなかったのだから。
「フフフ」
そして思わず笑いが溢れた、重臣達はこの状況で笑った皇帝にどうしたのかと視線を向ける。
「まさか、あれ程の者達がいようとはな」
アンジリーナは自身が勝てないと思える存在に出会えて嬉しかったのだ、そして同時に同情する。
あれ程の力を持っていればそれこそ孤独だろうに、と。
メビウス帝国皇帝、アンジリーナにそんな事を思われているとは知る由もないソータ当人は、呑気に帝都での休暇を楽しんでいた。
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「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」
そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!