59話 教育もといお仕置き
さてと、ミラとヘルに対するお仕置……おっほん失礼、教育を行うことが決定しその後少しの間今後についての話し合いを終え帰り際にアレネメス王が号泣するという一幕があったもののやっとエラムセスの屋敷に帰ってきた訳だが。
まぁ、あれだな、今回は想定外の事が多すぎたな。
はぁ、これを今からアストラル王に報告しに行かないとダメなのか……面倒い、ダルい、やりたくない。
まぁこうなっては仕方がない、俺の中で動きたくない三拍子が揃ってしまった、よし国王への報告は明日にしよう。
それよりも今はミラとヘルに与える罰をどうするか考えるのが先決だな。
う〜ん、まずヘルの罰は食事量を減らしてお菓子禁止…よしこれしかないな、あいつの場合ヘタに戦闘訓練を罰にするよりも嫌がりそうだからな。
と言うか、ヘルに罰として戦わせたら嬉々として逆に喜ぶに違いない、それに比べてこの罰ならば泣いて嫌がるところが眼に浮かぶ。
まぁ少し意地悪な罰だが、俺の怒りは深いのだよ。
さて問題はミラの罰だ、アイツにとって結局何が罰になるのかいまいちわからない、普通に古竜と戦わせてもいいが、それだと今までと代わり映えしないし、面白くもない。
古竜の肉が手に入るのは魅力的だが、それならば後で自分で狩ればいいし、そもそも古竜はそこまで個体数が多いわけではないからな、あまり古竜を狩っていると絶滅しかねない。
まぁそれは迷宮アビス内のと言う意味であって自然にもそれなりの数がいるのだけどね。
「なぁミラ、お前って何か嫌いなものってあるか?」
「な、何ですか?いきなり…
でもそうですね、嫌いなものと言えばやっぱり虫が一番嫌いかなぁ?」
やっぱり何でも本人に直接聞くのが手っ取り早い、クックック…そうか虫か、そうかそうか。
「何を笑ってるのよご主人様……」
「ミラ、まさか忘れた訳じゃ無いよな、教育もといお仕置きの事を」
「ま、まさか…」
俺の笑みを受けて、ミラが顔を青くして後ずさる、俺は飲んでいたコーヒーの入ったカップをソーサーに置き、そんなミラに無慈悲に言い放つ。
「そのまさかだお仕置きはDランクダンジョン《甲虫達の楽園》の攻略だ」
因みにこの世界に存在するダンジョンはその広さや出てくる魔物の強さなどでランク付けされる、上から順にS・A・B・C・D・E・Fと7つに分類される。
AのランクダンジョンであればSランク冒険者が10人で挑むというのが定石で、Cランクダンジョンを単独で攻略でもすれば一躍上位冒険者の仲間入りだ。
因みに俺がその事を知ったのはSSSランクになった後のことで、やり方をミスったとしばらく落ち込んだことは記憶に新しい……
「わはっはっは、その程度であれば楽なものだ!!」
ガクブル状態のミラとは逆に楽しみだと楽しそうに笑っているヘルだが、何か勘違いをしている様だな。
「誰がヘルの罰もミラと同じだと言ったんだ?」
「む?何じゃ違うのか?
まぁよい、竜でも古竜でも何でも来るがいい!!」
実にいい笑顔を浮かべ自信に満ち満ちている声を上げて笑っているヘルだが……
「よく言った、実はヘルの罰はもう決めてるんだ。
じゃあこれからそうだなぁ、ミラが甲虫達の楽園を攻略するまでの食事制限とおやつ抜きを言い渡す」
俺の言葉で高笑いが凍りつき
「な、んじゃと!?」
その顔を驚愕に染め上げた。
「そ、そんな事が…そんな横暴が許されるはずがないのじゃっ!!」
「残念だがそれが許されるのだよ。
何故ならば……」
「な、何だというのじゃ?」
「何故ならば、この家の主人は俺でありこの家の資金などを管理しているのも全て俺だからだっ!」
「なっ!そ、そんなバカな…」
そしてヘルは絶望を浮かべながら膝から静かにぐずれ落ちた。
四肢をついて四つん這いになって打ちひしがれているヘルに、部屋の隅で体育座りをし何やらブツブツと呟いているミラ。
うん、なんというか…カオスだなぁ。
まぁこれは全てこの2人が招いた事態なのだから仕方がない。
まるで何事もない様にその2人を綺麗にスルーしてリーナが俺のカップに新しくコーヒーを淹れてくれた、コーヒーを静かに飲む。
お仕置きのことはさて置き、俺もこうして一応は貴族になった訳だし、ミラとヘルもユーピルウス侯爵家として公の場に出る事もあるはずだ。
その時に教養が無いでは困る、もしそれで他の貴族たちと揉めても叩き潰す自信はあるが、恥をかくのはいただけない。
とまぁそんな訳でアイツらにもちゃんと教育を受けさせたほうがいいかもしれないな、ふむ、報告ついでに国王に相談でもしてみるとするか。
「さてと、じゃあ明日からミラは甲虫達の楽園の攻略に向かい、その間ヘルは食事制限とお菓子抜きな。
あっ、因みに攻略するまで帰ってきたらダメだからな」
「…はい」
「ぐぅ…わかったのじゃ」
まぁ、今のみの実力なら数日で帰ってこれるだろう、甲虫達の楽園は虫が大量に出る事を省けば15階層までしか無いし、ミラが苦戦するほど高位の魔物も存在しない。
はぁ、俺も明日から嫌だなぁ……
勿論、国王への報告があるからではない、そんな事は数時間もあれば終わるからな。
問題はアイツらがどう出てくるかがわからないところだ、まぁ流石にこの屋敷くる事は無いと信じたいが、アイツらなら俺の転移魔法陣を伝ってここに来るかもしれない。
もしそんな事になったら……考えただけで嫌になるな、まぁもしもの時はその時の俺に頑張ってもらう事にしよう。
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題名変更しました!
「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」
そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!