表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/111

57話 父と娘

今、俺の目の前のソファーにはダンディーなイケメンが座っており、さらにその後ろに爽やかイケメンが立っている。


また、その爽やかイケメンの左右にはそれぞれ金の鎧を纏った騎士が2名ずつ油断なく俺の事を監視している。


しかしだ、それだけで無く気配からしてこの部屋の扉のすぐ外には恐らくは金の鎧を着た騎士が8名、この部屋の左奥にある扉の先にも数名の気配がある。


何故こうなったのか、それは勿論俺がリーナに触れようとした爽やかイケメンの王子を弾き飛ばしたからに他ならない。


まぁ、そうで無くともこの程度の警備は普段からしているのかもしれないが騎士達がここまで殺気立つことはないだろう。


今だって王子の左隣に控えている女騎士は俺の事を凄い形相で睨んできてるしね。


因みに俺の左右にはミラとリーナが座っておりヘルは俺の膝の上に踏ん反り返っている。


そんな中で騎士達の視線が向けられているのは俺だけなのが解せないのだが、まぁリーナはこの国の王女だから当たり前として、ミラとヘルも見た目は華奢な少女だからな、警戒する必要はないとでも思っているのだろう。


彼らがこの2人の真の実力を知ったらどう言う反応をするのか興味が少しあるな、なんと言ってもミラ1人でもこの部屋を含め周囲にて待機している騎士達と互角以上に渡り合えるだけの力があるのだから。


竜王の一柱であるヘルは言わずもがな、彼女1人でこの王都を物理的に地図の上から消し去る事も容易にできるだけの力がある。


まぁ、今回は遊びに来たわけじゃないから流石に控えるが、今度来たときにでもドッキリを仕掛けてみるとしようかな?


けどま、それもこれも全てはこれからの話し合い次第なのだが…


「さて、先程は我が騎士団のものが失礼をした。

儂の名はアレネメス王国現国王シーシス・エル・アレネメス、後ろに控えているのが」


「第二王子のアレス・クレイス・アレネメスと言います。

どうぞお見知り置きを」


国王の言葉を引き継いで自己紹介をした第二王子は一礼をした、うん、王族なのにこの反応は好印象だな。


「これはご丁寧にありがとうございます。

さて、本日俺たちがこちらに出向いたのは見てもらってわかる通りリーナの件に加え、今回の()()に対するアレネメス王国の対応を聞くためです」


「貴様!陛下と殿下に対して名すら名乗らぬとは無礼が過ぎるぞ!」


どうやら俺が国王達に名乗らなかったことが気に障ったらしく国王の背後に控えていた近衛騎士が怒声をあげた。


う〜ん、国王が何も言ってないのに会話に口を挟むコイツの方が失礼な気がするのだが、見たところまだ若いようだし、先走ってしまったんだろうな。


その隣にいる老練そうな騎士が渋い顔をしている事からもまず間違いないだろうなぁ。


「ふむ、君の言っている事は当然の事なのだろう。

けれど残念ながら俺は名乗るつもりはない、そんな事は重要では無いからね」


「き、貴様っ!陛下の御前にして何様のつまりなのだ!?」


はぁ、うるさいな全く…けど非常識なことをやっているのは事実だし俺もあんまり強く出れないんだよなぁ。


けど何様か、この場合どうなるのか?俺の肩書といえば世界に数人しかいないSSSランク冒険者・三大国が一国エラムセス王国の侯爵と言ったところだろうか?


あっ、そう言えば俺ってこの世界では神様になっていたんだっけ?


まぁ今はどうでもいいか、どうせ名乗るつもりはないんだし。


と言うわけで、どうにかしてくれと、国王に視線で助けを求める、コイツは国王の部下なんだから手綱はしっかりと握ってもらわなければ。


「控えよ」


「し、しかし陛下」


「控えよと言っているのだ」


そんな俺の視線に答えて国王が一括してくれました、しかもさらに言い募ろうとすると騎士を宥める迫力は確かなものだった。


……カッコいいなこの国王、そもそもダンディーな渋さが備わっていて、他国にも名を轟かせるほどの武勇ってセコくね?


しかもその上、第4の大国とまで言われるアレネメス王国の現国王って……リーナの父親どんだけだよまったく。


「度々申し訳ない」


「いえいえ、お気になさらずに。

では早速ですが()()()()についてアレネメス王国としてどう対処するおつもりで?」


「ふむ、リーナの事といい貴殿が先程から仰っている今回の一件……貴殿は一体何処まで知っておられるのだ?」


まったくそれを聞くかね普通、それを聞かれたらせっかく言葉を濁していた意味がないと言うのに、ほら国王が変なことを言うものだから周りの騎士達の視線が変わったよまったく。


「何処までと言われましても、さてどうでしょうか殆どの事は把握していると思っていますよ。

あっ、遅れてしまいましたがこの度はお気の毒でしたね。

しかしながら貴方にどのような事情があろうと貴方方がリーナにした仕打ちは無くなったことにはなりませんので」


「勿論わかっている、それにしても我が国のそれも上層部のものしか知らぬはずの事をそこまで把握しているとは……」


「そうですね、本当はリーナの事が片付いてからにしようと思っていたのですが、この国に起こった事の顛末を先にご説明しましょうか?」


これが俺がわざわざこの国に足を運んだ理由その2だ、まぁもともとリーナの件で顔を出すつもりだったので別にいいのだが、そのことを知ったネルヴィアにパシリにされた訳だ。


「いえ、その事よりもまずはリーナの事が先決です」


「わかりました、貴方方とリーナの事に対しては俺から口を挟むつもりはありません。

これは貴方方とリーナの問題ですのでね」


そういうと、国王は俺に向かって一度座ったまま頭を下げた、そしてリーナの方に真っ直ぐに向かい直すと、一瞬の躊躇ののち覚悟を決めたように口を開いた。


「リーナよ許してくれとは言わぬ、しかしこの不甲斐ない父にどうか謝罪をさせてくれ。

…すまなかった、本当にすまなかった。」


そして一国の王とはとても考えられないほどに深く頭を下げる。


「いえ、アレネメス()()()が謝罪する必要はございません」


リーナのその言葉を聞き、国王は酷く悲しそうな表情になる。


それもそのはず、今のリーナの言葉は完全に家族といった関係を拒絶するものなのだから、しかしながらこれを招いたのは国王自身だ。


「それにアレネメス国王様は私の父ではございませんよ。

私は幼い頃に奴隷として売られて両親の顔も知りませんので」


「そ、そうだな。

嫌な事を思い出させてしまってすまなかった」


リーナの言葉に今にも泣き出しそうな国王の姿は他国にまで名を轟かせるの英雄とはとても思えないほど小さく見えた。


国王の背後では第二王子は勿論、近衛騎士達も暗い表情をしている。


「ですから、アレネメス国王様が私に謝罪をする必要は御座いません。

それどころか私は貴方様に感謝しております」


そのリーナの言葉で国王や第二王子、近衛騎士達が顔を上げる。


「貴方様がいなければ今の私はなかったでしょうし、今頃既に死んでいたでしょう。

ですらか、謝罪など、、する必要は、無いのです」


言葉を途切れ途切れにしながら必死に溢れそうになる涙を堪えているリーナ。


「リーナ……」


そのリーナの、愛する娘の姿を見た国王は今にも泣きそうになるが、娘が必死に涙をこらえているのに自分が泣くわけにはいかないと必死に堪える。


「リーナ」「リーナ様」「王女様…」


しかしながら国王の背後に控えている第二王子や近衛騎士達はこらえきれなかったようで既に涙を流していた。


「あ、改めまして。

私は、リーナ・ユーピルウスと、申します。

どうか、以外お見知り、おきください」


「リーナ、私はアレネメス王国現国王、シーシス・エル・アレネメスという。

リーナ・ユーピルウス嬢どうかこれだけは言わせて欲しい、ありがとう」


そう言って国王は堪えきれずに大粒の涙を流す、リーナに向かって再び頭を下げた。


少しでも『面白かった』『続きが気になる』と思ってくれましたら、


 ブックマーク登録及び、下記の評価ボタンを押して頂けますと嬉しいです。


これからもよろしくお願いします!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


題名変更しました!


「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」


そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ