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54話 吸血姫とお話

さて、今俺たちはどこにいるのかと言うと、数十という数の高位吸血鬼によって張られた結界により強固な守りを誇る城。


その周囲にはおおよそ人が生活する事は不可能であろう魔物や魔獣たちの楽園が広がり、この城の中には永久の時間を持他吸血鬼たちによって作り出された研究成果がゴロゴロと転がっている。


しかも、高位吸血鬼達が張った結界の上から、さらに強力な結界が対物理・対魔法そして多重結界が張り巡らされ、例え核弾頭を用いても傷一つつけられないというまさしくチートの城だ。


勿論、俺を召喚したアストラル王国の王城でも無いし、リーナの故郷であるアレメネス王国の王城、俺が貴族となったエラムセス王国の王城でも無い。


ここは、真なる魔王にして古の魔王、吸血姫と呼ばれ畏れられる吸血鬼を統べる女王、十魔王が一柱ネルヴィアの城だ。


そんな地球上ならば最も安全と言えるであろうこの城の結界をいとも容易破ることが出来る存在がこの世界にはそれなりにいますけどね。


礼を挙げると、龍王・妖精王・巨人王は確実に破ることが出来るし、悪魔の頂点に君臨する魔王や獣王でも恐らくは可能だ。


そして忘れてはならないのが、今の俺の名付け親である、女神ジルだ。


あの女神が神々の中でどの程度の位置にいるのかは知らないが、あの女神であればこの結果どころか、この星、この世界をも簡単に消滅させることが出来るかもしれない。


えっ、俺?はっはっは、何を言うのやら勿論俺もこの程度の結界破れるに決まっているじゃ無いですか。


とまぁそんなわけで俺たちは今そんな地球ではあり得ない城の応接室に通されていた、因みにこの応接室だけで確実に三大国よりも優美な装飾品が飾られている。


なぜ俺たちがこんな人外魔境にいるのかと言うと、原因は俺たち、特に俺の対面のソファーに踏ん反り返っているロリババァ……いや、少女だ。


今、声に出してもいないのに、ネルヴィアから軽く殺気が向けられた気がしたのだが……うん、気のせいだな、そうに違いない。


まぁ、ネルヴィアが俺たちをいきなり強制転移させたと言うのが理由だ。


俺たちをこの場所に強制転移させた理由は、さっきの魔神の件以外にも恐らく俺がネルヴィアを含めて全員をあの島に強制転移した事に対する意趣返しだろうな。


ネルヴィアは見た目にそぐわず、昔からかなりの負けず嫌いで、何かあるごとに突っかかって来たからな、その証拠にこの城に転移した事を確認した瞬間に一瞬だけ浮かべた笑みを俺は見逃していない。


まぁ、本当は弾こうと思えば弾けたけど、それをするとネルヴィアが拗ねそうだったから辞めたと言うのが真実だけどね。


アイツが拗ねたらそれはもう面倒臭いことになるからな。


以前ポーカーに絶対に勝てる必勝法を見つけたとか言い出して俺に惨敗した時なんて、涙目になって自らの莫大な魔力で張った結界の中に閉じこもって出てこなかったし。


まぁその時は何らかのイベントだと思って現実時間にして約3日をかけて引っ張り出したが、その後も兎に角ネルヴィアの機嫌をとったりとかなり面倒くさかった。


そんな訳で俺が弾かなかった事で、俺たちはこの場所に連れてこられたと言う訳だ、因みに俺たちと一緒に強制転移させられた、あの吸血鬼の顔の変化はそれなりに面白かった。


俺が強制転移させた事に目を見開き、その後のネルヴィアの魔力の放出に顔面蒼白、リースナルを消滅させた時にはもうガクブル震えていた……何というか不憫だな。


「それで、話を聞かせてもらうぞソータよ」


今、非常に機嫌がいいネルヴィアは楽しげに笑みを浮かべながら、そう俺に言い放った。


さて、何処まで話すべきか、流石にこの状況で何のことかな?何てとぼけられる程俺の神経は図太くない。


かと言ってゲームの事なんかを話すとなるとかなり面倒だからなぁ、でもそこを省くと色々と辻褄が合わない問題が発生するし。


「はぁ、仕方ないか。

そうだな、俺が魔神の事を知っていたのは神に聞いたからだ」


こうなっては仕方がない、面倒だか……死ぬ程不本意だが説明するしかなさそうだな。


「神だと?それはどういう事なのだ?」


「まぁ待て、順を追って説明する。

まずは俺の事からだ、今から約450年前に多くいた強者が今はいなくなった理由にも関わってくる、俺が450年も姿を現さなかった理由もな」


「貴様が失踪した理由など興味はないが、今の世に強者が少なくなったのはその強者が死に絶えたからであろう?」


あぁ、成る程この世界の感覚ではそう言った風に思うようになっていたという訳だな。


「まぁ、簡単には信じられないかもしれないが、この俺が失踪した450年前ぐらいまではこの世界自体に神か魔神かは知らないが何処ぞの上位存在の力が働いたんだ」


「ふむ、その事は知っている、だからこそ吾たち十魔王は神や魔神と言った存在と敵対関係にあるのだからな」


うん、知ってました。


コイツらがと言うか、ネルヴィア含め真なる魔王達が神や魔神に敵対している事は事前に調べ済みだ。


「ふむ、その白々しい顔は貴様、吾達が敵対している事を知っておったな?」


「……何の事だかわかりませんね」


「まぁよい、それが何故貴様の失踪に繋がるのだ?」


俺の失踪になんて興味は無いと言っておきながらも、しっかりと聞いてくる、何とも可愛らしい奴だ。


ちなみに、ネルヴィアは言うなれば俺の妹的存在?と言えなくも無いからな、別に俺が幼女好きとかそう言うのでは無い、断じて無い。


「ところで少し話は変わるがネルヴィアはアストラル王国で勇者達が召喚されたのは知っているか?」


「ふん、その程度の事を吾が知らぬ筈もないであろう。

勇者などと言っても昔の雑魚にも及ばぬ程度だから放っているだけだ。

あの程度の奴らであれば多少強くなったところで吾に勝つ事はできぬであろうからな」


「実は俺もその召喚された1人なんだ」


すると、ネルヴィアは少し驚いたように目を見開いたがそれも一瞬の事で次の瞬間にはその可憐な顔に獰猛な笑みを浮かべた。


「わかったみたいだな」


やっぱり、吸血鬼達を統べる絶対女王だけのことはある、その力は絶大だし、頭の回転も早い、と言うか早すぎて幼い見た目に全く合ってない。


まぁ、一々全部を説明する手間が省けて俺としては大助かりなんだが、吸血鬼を目の敵にしている聖国からしてみれば厄介極まりないだろうな。


まぁ、俺には全く関係ない話だから別にどうでもいいけどね。


「吾達は奴らの掌の上で踊っていたと言うわけだな」


「その通りさ、俺が元いた世界からゲームとしてこの世界に間接的に干渉出来るように空間やら何やらが歪められていたんだろう」


「ふむ、そしてその状況を違和感の無いように信じ込むように仕向けていたわけか」


「そうだ、ネルヴィア達この世界の住人にはさっきネルヴィアが言ったように、そして俺たちが元いた世界ではゲームのプレイヤーとしてな」


「ふむ、それ程の事をなしていたと言う存在がどれほどの存在なのか想像もできぬ」


「少なくともさっきの魔神では確実に不可能だろうな」


「吾達であっても二つの世界を繋ぐ空間を捻じ曲げることなどできぬ。

まして両世界に影響を出さずに事をなすとは……」


「どうだ、面白いだろ?」


「うむ、確かに面白い」


そして、2人して笑みを深めると物言いたげな目で俺たちを見ている目が3人分感じるがまぁ気にしてはいけない事だ。


だって、これは俺にとって…いや、俺たちにとってかつて無かった存在なのだから。


俺たちが全力で戦っても負けるであろう存在、俺達よりも強いであろう存在だ。


だが、だからと言って無抵抗にそいつの思い通りにさせるのは勘に触るし、そんなつもりは毛頭無い。


「ふむ、吾らよりも強大な存在……面白い!

吾らを欺いた事を含め叩き潰してくれる!!」


「あぁ、相手がどんな存在だったとしても負ける気は毛頭無い。

相手が俺達よりも強いのなら、俺たちもその領域に至り、そして超えればいいだけのことだ」


「ふむ、ソータよお主、吾らの方針を忘れてはいまいな?」


「勿論だ、例え相手が誰であろうと我らに刃向かう者は叩き潰す。

だろ?」


「そうだ!

お主が失踪してから450年と少し退屈な毎日であったが…これからは面白くなりそうだ!!」


ネルヴィアはそう、本当に嬉しそうに笑みを浮かべる。


「あぁ、本当にな」


俺も同様に自然と笑みが浮かぶ。


それと同時に一つの顔が脳裏に浮かぶ、俺達にも出来ないような事を簡単になしてしまうほどの力を持つ存在。


俺に名を与え、俺がこの世界に来てから合った中で最も威圧感と脅威を感じた存在、女神ジルが。


次話55話は11月4日 日曜日更新予定!!


少しでも『面白かった』『続きが気になる』と思ってくれましたら、


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これからもよろしくお願いします!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


題名変更しました!


「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」


そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!

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