48話 国に巣食う吸血鬼1
本作は日曜日の定期更新にしたいと思います!!
まぁそれ以外でも更新するんですけどね笑笑
今後ともよろしくお願いします!!
終わりにすると言っても、大したことはしないつもりだ、まぁ国民達に罪は無いし、貴族という立場を得た俺が大々的に動くとそれはもう国家間の戦争に発展してしまうからな。
まぁ、俺たちがやることは暗殺、リーナの故郷を影から操っている吸血鬼どもを皆殺しにしてやるだけだ。
それならば事が表に出ることもなければ大事になる事もまず無いだろう。
リーナの出身国であるアレネメス王国の重鎮達も吸血鬼の傀儡と化していたなどと公表できるはずもないだろうし、まぁ国のトップがよっぽどのバカで無い限り事が表沙汰になることはないと言っていい。
それにしても俺も舐められたものだな、まさか従属種1匹で俺たちを殺せるとでも考えたのだろうか?
もしそうならバカにも程がある、そしてそうだとするのであれば、アイツが裏にいる可能性は無くなったな。
まぁ、もともと限りなくゼロに近かったが、今回の一件でそれが確信に変わった、今回の一件にアイツは、吸血鬼どもを束ねるあのチビ女王は関わっていないと。
もしアイツが裏にいるのならば、従属種をそれもたった1匹で送り込んでくることなんてあり得ない。
しかも、俺の魔力感知の届く範囲内に監視している存在すらいなかった、アイツならこんなずさんな戦略はとらないし、こんなに生ぬるい事もしない。
そもそも、あいつクラスの実力者になると、俺が隠蔽しようとも俺の強さに気付くはずだしな。
よって、今回の黒幕がノラ吸血鬼だって事はわかった、名前はリースナルだったか、俺にちょっかいを出して来なければよかったものを。
「明日、アレネメス王国の一件を終わらせるぞ」
静かに頷く3人、まぁリーナだけは少し青い顔をしているが、ミラに加えてヘルまでいるんだ万が一なんてあり得ない。
「作戦は、そうだなぁ。
見つけた敵を取り敢えず仕留めまくるってので行こうか」
「…それって作戦って言え」
「ん?何か言ったかね、ミラ君?」
「いえ、何でもないです」
「ならよろしい」
まったくミラさんときたらなんて失礼なことを言おうとするんだか…
まぁ、明日になればこの作戦の意味もわかるだろう、何にせよ全ては明日で終わる。
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アレネメス王国、リーナの故郷であり三大国に規模でこそ及ばないが、商業国家として三大国にも引けを取らない程、栄えており、第4の大国とも呼ばれる国。
そんなアレネメス王国王都には、その栄華を象徴する王城が築かれており、それもこの国の名所の1つとなっている。
そんな王城の中でも最も厳粛な場、国を統べる者のみがその腰を置く事が許される王座あるのは国王ではなく一人の青年の姿だ。
そしてその青年は自身の眼前に跪く国王と、その王族達を愉悦に浸った顔で見下ろす。
赤い瞳に白い肌、オールバックに纏められた金の髪、そして何より際立つのは彼の口にある2つの牙。
「これもあの女の下にいては見ることの出来なかった景色ですか」
楽しそうにそう嗤う青年の名はリースナル、真にアレネメス王国を統べる存在。
「これも全てはあのお方のため」
リースナルは、貴族種吸血鬼の中でも高位に位置する侯爵位を持った吸血鬼だった、その為彼が以前仕えていた主人にも重宝されており幹部としての立場にあった。
しかし、高位の吸血鬼は彼以外にもいる、彼が幾ら侯爵位を持つ吸血鬼と言っても、同じ爵位を持つものと比べればまだ生きた年数が短い彼は弱い方であり。
貴族種の中で最高位の公爵位ともなれば彼とは比べ物にならない力を誇っている。
重宝されていたとはいえ、所詮はその程度であり替のきく駒でしかない、彼はそんな自身の立場に耐えられなかった。
だからこそ彼は力を求めた、誰よりも主人に重宝される存在に、誰よりも主人の寵愛を注いでもらえる存在にと…
結果として彼は強大な力を手にすることが出来た、しかしいつの日からか、主人への忠誠は自身よりも大きな力を持つ者への嫉妬になり、そしてさらに力をと追い求めた。
だが、彼の主人の力は絶大だった、幾ら彼が大きな力を手にしようと主人はその彼を嘲笑うかのように遥か高み。
そこは差し伸べられた手を彼は一切の迷いなくとった事は言うまでもない。
その手の主がどんな存在だったとしても…
彼は新たな主人となった存在の手により、確かな力を得ることが出来た、それこそかつての主人にも劣らぬ程の力を。
「私があの小娘を服従させる…あぁ、なんと甘美な事だろうか!」
あの全てを見透かす様な、絶対的な力を持ったあの小娘が自信に助けてくれと懇願する、その姿を想像するだけで今から楽しみで仕方ないですね。
「かつての自身の配下に屈服させられた時のあの小娘の顔はどの様なものなのでしょう。
貴方はどう思いますか?」
「……」
跪く国王達に問いかけるが帰ってくる声は無い。
「はぁ、これだから人形は面白くない、まぁいいでしょう。
それにしても何故今更あのお方はあのようなご指示をなされたのでしょうか?」
その時、彼が座る王座が置かれた謁見の間の扉が勢いよく開かれる、そして同時に焦った部下の声が聞こえてくる。
「リースナル様!」
「貴様何をしたかわかっているのか?」
「ひっ、申し訳ありません、どうかお許しください」
「まぁ、いいでしょう。
しかし次はありませんよ、私は礼節を何よりも重んじますからね。
それで何か用ですか?」
リースナルの地を這う様な低く重い声にビクッと身体を揺らした彼の部下に、何の様なのかを問いかける。
リースナルの部下というのは勿論、吸血鬼の事だ、脆く弱い人間の兵士など彼にとってはオモチャでしかない。
リースナルの声にすぐさま跪く吸血鬼。
「はっ、敵襲にございます」
その言葉にリースナルは呆れる、そんな事のためにわざわざ自身の大切な時間を無駄にさせたのかと。
「その程度の事、貴様らでどうにかなさい」
その声には有無を言わさない力が込められている、彼の部下である吸血鬼はその言葉に身体を再び震えさせながら肯定の言葉を返す他なかった。
「まったく、あの様な些事如きで私を煩わせないでもらいたいですね」
部下が謁見の間を退出したのを目にして彼は一人愚痴をこぼす。
「それにしても、早くあの小娘を跪かせたいですね」
彼は自身の妄想に想いを馳せる、そして人形とかした存在しかいない謁見の間に、1つの人形の嗤い声が響く。
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時は数分遡り、アレネメス王国王城の一角、硬く閉ざされた城門のすぐ前が突如として光が包んだ。
そこまでの規模の光ではないものの、その光景は余りに異質、その光景を目にしていた吸血鬼達がその場の確認に向かうのは自然の摂理だ。
光の光源に瞬時に辿り着いた吸血鬼達が目にしたのは4つの人影。
しかし、城門は以前硬く閉ざされたままだ、吸血鬼達が困惑にかられるのは無理のない事だ。
「やあ、皆さんこんにちは」
そう軽い雰囲気の声が投げかけるのは、黒い装束に身を包んだ少年だ。
それに加えて体格からその周りにいる3人は年端もいかぬ少女達だろうと吸血鬼達は容易に連想する、そして疑問に思う何故ここにこんな奴らがいるのかと。
「貴様ら何者だ!?」
「まぁ、いきなり現れたらそりゃ驚きますよね」
だから言ったじゃないですか、と少女のうち一人が少年に言う。
「貴様ら、下等生物の分際で我ら吸血鬼を無視するか?」
「自己紹介をするつもりはないが強いて言えば、」
「ならば死ぬがいい」
「まぁまぁ、人の話は最後まで聞けよ」
そこに集まってきていた吸血鬼達が一斉に襲いかかる。
「お前らを殺す存在だ」
少年はそう言ってニヤリと笑みを浮かべる。
次の瞬間、吸血鬼達が何かをするよりも早く、少年たちを取り囲んでいた吸血鬼が全てその身体を細かく分け、崩れ落ちる、カチン、と言う金属音と同時に。
次話49話は9月30日目日曜日に更新予定!!
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題名変更しました!
土曜日更新予定!!(因みに月曜日の定期更新にするつもりです)
「吸血商人は怠惰スローライフをお望みです」
そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください。
*ちなみに題名は仮名なので変更するかもしれなれません。