05話 道中
第5話です〜
次で何かあるかも!!
俺が王城にて書物を読み漁り始めてからもうすぐ一ヶ月が経つ。
俺以外のクラスメイト達はゾルフ団長とその団長が率いる騎士団の人達との戦闘訓練に加え座学も設けられこの世界についての知識もそれなりにはつけているようだ。
実力もクラスの順位で上位の者はゾルフ団長には軽くあしらわれるものの、ソーヤ副団長とはなかなか良い勝負をするようになっている。
まぁあいつらは俺の事を毛嫌いしているが……自分達のように特別な能力も何も無い俺が特別に訓練を免除されているのが気に食わないのだろう。
俺が王城の書庫を漁って集めたこの世界の情報は、AWOとは大きく変わっていた、まず今は大体AWOの時代から数百年経った世界だと判明し、5名しか存在しなかった魔王がその倍の10名確認されるようになったらしい。
その名も、十魔王……なかなかに俺の厨二心を刺激してくるネーミングと言える。
さて、俺はこの一ヶ月間この世界の情報をただ集めていただけでは無い、流石は一国の王城だけあって魔法書なども大量にあったのだ。
その書物を読むのに殆どの時間を当てた、以前一度確認したことがあったとはいえ流石にしんどかったが、なんとか読み終えることができた。
これは俺自身の特技と言えるのだが、一度見たら覚えられる、だから毎度のテストでは常に高得点を取っていたのだ。
それにだ、一度は全て覚えた事のある魔法に加えて、遊戯人により制限がない今、魔法を覚えるのは最早、作業と言っても過言ではなかった。
とまぁそんな1ヶ月を送り、俺は今、久し振りにゾルフ団長と対面している、何故此処に呼ばれたかはまぁわかっているが一応確認しておく方がいいだろうな…
「それで、ゾルフ団長何の用ですか?」
「うむ、実はなまだ一ヶ月経っていないのだか、俺たちの想定よりお前の仲間達の成長が早くてな、特に亮太、駿、あかり、雫、の4名の成長は凄まじいものでな…」
と、前置きが長いゾルフ団長の言いたいことは察しがつく、まず俺が呼ばれたのには、これ以外の理由は無いだろう。
「へぇ、凄いですね、俺もこの前部屋から少し見ましたが、凄かったですしね。」
「まぁ、そう言うことだ。でだな、お前には悪いが予定を早めて明日、迷宮に行く事になった。
前日に言う事になっていきなりで悪いが俺もこう見えて忙しい身でな。
まぁ、そう言う事だからお前も準備をしておいてくれ」
確かに前日に、しかもその夜まで何も伝えないと言うのはどうかと思うがまぁ、俺を毛嫌いするクラスメイトの奴らに口止めでもされていたのだろう。
「まぁ3日前には既に決定したのに前日、しかもその夜に伝えて来るのは流石にどうかと思いますが…
幸い、既に準備は終わってるので良かったです。
それで、お話がそれだけなら失礼させて貰いますが?」
「お前、何故それを…
クックックまぁ良い、では明朝に訓練場に集合してくれ」
「わかりました、では俺はこれで」
あのゾルフ団長の反応は、口止めされていたわけでは無く、俺を試しでもしたかったのか?
まぁ良いか、明日クラスの奴らがこの一ヶ月間でどの程度力を付けたのか見させてもらうとしよう。
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翌朝、腰に片手剣を携え、漆黒のコートを身に付け訓練場にきた俺をクラスメイト達が訝しむような目で見てくる。
すると中村がこちらに気づいたのか俺の方に向かって歩いて来ると俺の肩に手を置いて言い放った。
「君、此処は今、俺たち勇者一行しか立ち入りが許されてないから入ってきたらダメだろ」
は?こいつは何を言っているのか…
「おい、中村そいつ司波だぞ」
他の奴がそう言ったら中村は少し考えるように動きを止めハッとしたような表情を作った。
「思い出した、お前無能の司波か!
ごめん、ごめん全然見ないから忘れてたよ」
何の悪びれも無く中村が謝って来る俺はその様子をみて唖然としていた。
これをわざとじゃ無くやっているとしたらタチ悪すぎだろこいつ…
すると中村以外の仲良し4人組の3人もこちらに歩いてきた。
「よぉ久し振りだな司波、お前レベルはちょっとは上がったのか?」
と坂本が気軽に喋りかけて来る、俺は今レベルを上げるわけにはいかないので俺のレベルはまだ1のままなのだが…この場で本当の事を言ったらどうなるか、面倒だな
「まぁな、そっちはどうなんだ坂本?」
質問を質問で返す事になるがこの際そんな些細な事はどうでもいい。
「俺たちか?俺はレベル21、亮太は24、雫とあかりが19まで上がったぞ」
と自慢げに坂本が言った方が、俺からしたら一ヶ月もあってその程度しか上げられないのかと言うのが正直な感想だな。
「流石だな」
「まぁな」
と嬉しそうに笑っているこいつらを見ていると不安になって来るがまぁなるようになるしか無いか…
「よし、お前ら全員揃ってるな、じゃあ出発するぞ」
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王都を出て南西に向かって歩き始めるゾルフ団長とクラスメイト達の最後尾をついて行く、
しかし、もしかしてと思っていたが、迷宮と言うのはあそこの事なのか?
「おい無能君、お前荷物はどうしたんだ?」
と名前もろくに知らないクラスメイトAが話しかけてきたが、そういえばこいつらなんでこんなに荷物を持っているんだ?
「そんな事はどうでも良いが、お前らこそなんでそんなに荷物を持っているんだ?」
「ハァ?お前、誰に口聞いてんだよ!無能のくせに調子乗ってんじゃねぇよ雑魚がっ!」
とまぁ、いきなりキレられた、そう言えば何故俺はこいつらに無能と呼ばれているんだ?
何故か理由を思い出そうと考え込んでいる事を無視されたと思ったらしく、またキレ出したA君……いい加減、煩くなってきた
「まぁそのくらいにしておいやれよ坂東、それはそうとなんでお前は荷物を何も持っていない?」
と坂本が割り込んできた。
「そんなもん、収納魔法に入れてるからに決まってるじゃ無いか、お前らもAWOに招待されたんならそれぐらい常識だろ?」
すると前を歩いていたクラスメイト達が一斉に振り返ってこちらを見てくる、ゾルフ団長達までもこちらを凝視している。
はて、何か変な事でも言ったかな?
「はぁ、お前何言ってんだ、収納魔法って上位魔法だろ、魔法適性も無いお前に使えるわけねぇだろ!
ずっと本読んでたらしいけどよ、そんな事も知らないのか?つくならもう少しマシな嘘を付けよ」
「まぁ、信じないならそれでいいさ」
俺はそう言って肩を竦めたて歩き出した。
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あれから暫く歩いて付いたのは、やはり俺の思っていた通りの場所だった。
この場所はAWO時代、俺がふざけて作ったダンジョンであり、最下層は俺の隠れ家の一つで最深部にはそれなりのレア度の武具を保管してあるはずだが、もしやもう取られてしまっているのか?……不安だ。
「ゾルフ団長此処は?」
「ん?あぁ此処はだな、数十年前に冒険者達が発見した遺跡でな全部で何回層あるかは不明だが、中にはかなり凶暴な魔物が住み着いていてなこの国の所有する地下迷宮って事になってるんだわ」
「そうなんですか、今まで最高で何回層までクリアされているんですか?」
「確か、10年ぐらい前にSランク冒険者が47階層まで行った事があったのが最高記録だった筈だが」
「そうなんですか」
取り敢えずまだ最下層は無事だと言う事がわかった訳だがSランク冒険者で47層までしか行けていないだと?
そいつはソロで挑みでもしたのだろう、そうでなければそれでは弱すぎる。
「そのSランク冒険者ってソロで47層まで行ったんですか?」
「ああ、そうだ」
予想どうりで安心した、そのぐらい出来なければこの世界の奴らは弱すぎる事になるからな…
「よしじゃあ出発するぞお前ら!」
そう、ゾルフ団長が号令をかけて俺たちはダンジョンに足を踏み入れた
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