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44話 仲良く貴族になりました

新章突入!!

今回少し長めになっております。

俺と国王との話し合いから2日後、エラムセス王国王都では盛大なパレードが催され、人々は大いに盛り上がっている。


確かに、あの時国王は大々的にって言ったよ…でもこれはどうなのかと思う。


今日は別に何かの記念日とかでもないし、祝日とかでもない、この世界に祝日があるのかは知らないけど。


(この世界にも祝日という概念は存在します)


だ、だそうです、まぁ取り敢えず今日が何の祝日でもなくただの平日だという事だ。


大々的にとは言っても俺はてっきり、上流階級の人間たちだけで執り行いその後国民に認知させるのだと思っていたのに朝、アビスから転移して来たらこれだ。


宿屋の女将さんに聞いたところ、午後から今回の一件にて手柄を上げた人達で凱旋パレードを行うそうだ。


しかし、俺はそんな事は一切聞いていない、昨日俺が冒険者ギルドでジークラスさん、エリナさん、そして王城からの使者から聞いた今日の予定には一切こんな事は含まれていなかった。


俺が教えられた今日の予定は朝、冒険者ギルドに行ってそれから王城で勲章式典を執り行うと言うことだけだ。


「これは、少しジークラスさん達にお話を聞く必要がありそうだな」


こんな人の注目の目を集めて王城に行くなんて冗談じゃない、確かにもう既に目立たないと言う当初の目標は諦めた。


けど、こんな大勢の前で勲章されるなんて俺の柄じゃない、そんな事はあのイケメン勇者くんとその一行に任せておけばいいのだ。


「何か話すんですか?」


「ソータ様どうなさったのです?」


しかし、そんな俺とは対照的に至って普通にこの現状を受け入れている子供が2人、ミラとリーナが何の話をしているのかと首を傾げて聞いてくる。


あっ、因みにヘルはこのお祭り騒ぎに目を輝かせてハジャイでいる。


「それは勿論、こんな大騒ぎになっている理由だ」


これは絶対にケリを付けなければならない一件だからな。


「それはそうなんじゃない?」


「特別におかしな点は無いと思うのですけど」


へ?2人はこの現状が当たり前だと言っているのか?


「2日前、国王が言いましたよね、大々的にやると。

となれば、王都がこの様な騒ぎになるのも当然かと」


「え?」


「だって大々的にやると言う事は今回、平民達に伏せられていたスタンピードの事などを公表すると言う事ですからね」


リーナの言葉に困惑した俺にさらにリーナが淡々と言葉を続ける。


「そして、平民からしてみれば、そのスタンピードで古竜を世界で4人目の新たなSSSランク冒険者が倒した事を納めたとなると、それはもう英雄譚の様に感じる事でしょう。

それに、それ程の脅威を退けた事を人々が祝うのも当然の流れですし、平民のみならず貴族や王族、他国の者達も無視出来ない出来事ですからね」


そう語るリーナの言葉には変に威厳があった、まるで何処かの王族の人みたいだなぁ…


……リーナは正真正銘の王族でした、はい。


最近、リーナの祖国であるアレメネス王国絡みの話は一切聞かないし、吸血鬼さん達も全く何もしてこないものだから普通に忘れかけてたけど、リーナは本当に王族なんだよな。


「確かに、言われてみればそうかも知れない…だが、パレードをするなんて事は聞いてなかったからな」


「それも、国王が大々的にすると言ったのであればこうなる事は()()()()なので、この事を考慮して会話していたのですけど」


今、俺の心にグサリと深く何が突き刺さった気がする、並大抵のことではダメージを受けない俺がだ…


「そうですよご主人様、私達も含めご主人様も勿論その事を理解している事を()()()()だと言う前提だったし、そこは仕方ないんじゃないですか?」


今、当たり前の部分が強調されて聞こえたの気のせいかな?うん、きっとそうだ、そうに違いない、そう言う事にしておこう…


「さて、さっさと冒険者ギルドに行くぞ」


そう強引に話題を逸らして歩き出す、ミラとリーナがジト目を向けてくるがこういうのは気にしてはいけない。


ちなみにまだ俺が古竜を倒した新たなSSSランク冒険者だと知っているのは王都内でもごく一部の者達のみなので、現状俺たちが特別多くの視線を集める事はない。


そうは言っても、今日はいつもの冒険者装備ではなく、それぞれお洒落な格好をしている、本来ならば冒険者らしく装備姿でいた方がいいのだろうが、今回は俺が貴族位を国王から貰う事になるのでそれなりの服装をと昨日王城からの使者に頼まれたのだ。


まぁ、ミラ、リーナ、ヘルは元々とても目立つしそこにこの格好でいつもより多少多くの視線は集めてはいるが、当初は多数の視線だと思っていても人間なれるもので、今となっては特に気にならない。


まぁ、特別教育上よろしくない視線を送ってるやつはしっかりと記録してあるがそれだけだ。


そして、やっと目的地である冒険者ギルドにたどり着いた。


俺たちがとっている宿屋から冒険者ギルドまでは歩いて10分もかからない位置にある、にも関わらず結局俺たちが冒険者ギルドに辿り着いたのは1時間ほど経ってからだ。


何故そんなに時間がかかったのかと言うと、勿論この人通りの多さも多少はあるが流石に1時間もかかる程ではない、では何故なのか?


その疑問にお答えしましょう、答えは勿論ヘルがいるからだ、我ながらこの解答は完璧だな、うん。


ヘルがこんなお祭り騒ぎに興味を持たないはずもなく、キラキラ輝かせた瞳であれをしたみたい、あれを食べたい、とおねだりしてくるのだから、俺がそれに頷いてしまうのも仕方がない事だ。


美少女に上目遣いで抱きついてお願いされたら誰だって首を縦に振ってしまうと思うだろう。


しかし、これだけは覚えておいて欲しい、俺は決してロリコンでは無いと、偶々俺の仲間が美少女なだけでそれは決して俺がしたことでは無い事を。


よし、貴族になったら取り敢えず男友達をたくさん作る事にしよう。


「お待ちしておりましたソータさん」


冒険者ギルドの扉を開けるとそこにはエリナさんが待ち構えていた、俺たちがエラムセス王都に転移してきたのは大体午前11時だから、もうすぐ昼の12時な訳だ。


そして、聞く話によるとパレードは午後から、と言う事はもう直ぐ始まる事になる、だからわざわざエリナさんが扉の前で到着が遅い俺達が来るのを待っていたのだろう。


「おはようございますエリナさん、遅くなって申し訳ございません」


「いえ、まだ予定時刻にはなっておりませんからお気になさらずに」


まぁ、エリナさんの言う通り遅刻は一切していないんだけどね、本当はもっと早くに来ておくつもりだったけど、まぁアビスを早く出て正解だったな。


「おぉ、よくぞ参られたソータ殿、ミラ殿、リーナ殿、ヘルティア殿」


そこに、ギルドの奥から出てきたジークラスさんが加わる。


本来ならば、ギルド総師が出てきたとなればかなりの騒ぎになり兼ねないのだが、今はまるでスタンピード直後の時のように冒険者達は誰もいない、まぁ流石にギルド職員達はいるようだけど。


「冒険者が誰もいませんね」


俺たちはそれぞれジークラスさんに軽く会釈をしてしたのち、俺はジークラスさんにそう話しかけた、だって気になるしさ。


「それはそうじゃろう、今日はこの国の記念すべき日になるのじゃからな、皆そちらに行っててあるのじゃろう、ギルド自体も午前中だけで午後には終業する予定ですのじゃ」


なんと、滅多な事がない限り年中24時間営業ということ超絶ブラックな冒険者ギルドでさえも午後には終業だという、これはこの国のみならず、冒険者ギルドにとっても歴史的な快挙なのでは無いだろうか。


「ではそろそろ移動するとしましょうか、どうぞこちらへ」


そうエリナさんに促され俺たちは歩き出す、そうして連れてこられた先は冒険者ギルドの訓練場だ、まぁ訓練場といってもその広さは結構広さを誇っている、王城にあったアレよりは流石に劣るがアレな半分くらいはありそうな広さだ。


そして、その訓練場には大勢の冒険者がいた、何故こんな所に冒険者が大勢いるのか?


それは簡単、彼らも今回のパレードに参加するからだろう、よく見てみると、全員がスタンピードの時あの場にいた者達だし、まず間違いない。


まぁ、パレードって言っているのに俺達だけって事は無いだろうと思っていたけど、もう皆さん集まっていたのね、なんかすみません、遅れてしまって。


「ではソータ殿達はこちらの馬車へ」


そう言ってエリナさんに言われた馬車は勿論、凱旋に使うのだから普通の馬車のように屋根などはなくひな壇のようになっているモノだ。


まぁ、クッションなんかはしっかりしてそうだしそこは別にいい、いいけどめっちゃ煌びやかなんだけどこれ…


白を基調とし、金を使って装飾が肌に施されているこの馬車はもう豪華絢爛としか言い表せない、さっきも思ったけど、こういうのは全くもって俺ながらじゃ無い。


せめてもう少し抑えたにして欲しかった、こういうのは勇者一行の仕事だろうに…


しかし、馬車はそれ以外には一台もなく、俺たちがこれに乗らないという選択肢は初めから無かった。


そうして、俺が渋々と馬車に乗り込んだところでジークラスさんが王都全体にパレードの開始を知らせる合図となる魔法を空に向けて打ち上げる。


因みに今回のパレードで俺たち以外の冒険者達はみんな歩いて移動する、どうして俺たちだけが馬車なんだと思わなくも無いが、実質今回の一件でこれと言った活躍をしたのが俺たちだけというのだから仕方ない。


そして、今回のパレードで最も重要なのがそのルートだ、凱旋というのであれば本来なら外壁正面の扉から王都に入りそのまま王通りを通って王城に行くというのが一番なのだが、今回のパレードのスタート地点は冒険者ギルドだ。


ギルドの場所は外壁の正面門と王城と丁度正三角形ができるような形の場所にある、そこから取り敢えずは正面門まで移動し、その後大通りを通り王城に行くらしい。


冒険者ギルドの訓練場には緊急時の巨大な扉がありそこから外に出たところからパレードが始まる、俺たちは前を歩く冒険者達の後をついて行くだけなので別にこの馬車に腰掛けているだけでいいのは楽で良い。


俺たちが外に出ると、そこには大勢の民衆がそれぞれ道の左右に分かれて歓声を上げている。


俺たちはその歓声に手を挙げて答える、地球のテレビでオリンピックのメダリスト達が凱旋でやっているような感じだ、てかまんまアレだな。


因みに今の俺たちの布陣は、右にミラ、左にリーナ、そして俺の膝の上にヘルと言うここ最近ではもうお馴染みのポジションだ。


しかし!俺はこの時大きな見落としをしていた、俺がその事実に気がついたのは大通りに入ってしばらくした時だった。


「やっぱりあの人ってロリコンなのかな?」


「それは無いんじゃない?」


「でも可愛い小さい女の子達を連れてるよ」


と不意に強化された俺の耳にこんな会話が飛び込んできたのだ。


やってしまった。


最近夜寝ていても眷属であるヘルと寝ると調子が良かったりするので特にかにする事なく一緒に寝たりしていたので感覚が麻痺していたのだ。


終わった…これで俺に不名誉な呼び名がつくことはほぼ確定的だろう、この勲章が終わったらしばらくアビスに引きこもってニートになろう。


しかし、俺が落ち込んでいようが無かろうがこの馬車が止まる事はなくパレードは順調に進んで行く、そして王城が見えてきた時少し驚いた。


何故なら2日前にここに来た時には無かった舞台が正面とそこから少し斜め前にずれた場所にハの字を書くように出来ていたからだ。


正面の舞台の上には絢爛な装飾が施された豪華な椅子に座った国王と王族達が待ち構えており、斜め前にずれた場所にある2つの舞台には多くの貴族達の姿があった。


本来ならば王族、ましてや国王を待たせるなどあり得ないのだが、それ故に今回の件を国王がどれ程重く捉えているのかと言う事を国内外に知らせる事になった。


馬車はその舞台の横に付けられ、俺たちはその馬車を降りる、そして舞台の上に上がりそのまま国王達とは反対側に設置されているこれまた絢爛な装飾が施された椅子に腰掛ける。


馬車の前を歩いて一緒にパレードに参加した冒険者達は舞台の前に綺麗に整列して並んでいる、そして民衆はその周囲を一定の距離を開けて囲う様に集まっている。


パレードが始まって以来姿を消してここに先回りしていたジークラスさんとエリナさんはパレードに参加した冒険者達の先頭に立っている、ついでに言うとクラウスもそこにいる。


「これより、此度のスタンピードにおいての勲章式典を執り行う!!」


舞台の端にいるアウレーニス公爵が高価そうな紙を広げそう大声で言い放つ、すると今まで騒ついていた民衆が静まり返った。


そして、国王が席を立ち舞台の中央に備え付けられた壇上の前に立つ、国王が席を立つと同時に貴族達も席を立ち壇上にその身を向ける。


「SSSランク冒険者、ソータ殿前へ」


アウレーニス公爵のその声に従って俺は席を立ち壇上前に移動し国王と壇上を挟んで向かい合う、そして民衆はSSSランク冒険者と聞いて再び大きく騒めく、それは民衆だけでなく貴族達も同様だった。


国王がスッと片手を挙げるとそれだけで民衆は再びおし黙る。


「この者は此度の戦いにおいて、数百の魔物の群れを葬り去り、さらには魔物達を率いていた、魔王にすら拮抗する力を持つと言われる天災級の魔物である古竜を単独で討伐するなど数々の活躍をし、現在世界で4人目となるとSSSランク冒険者となった」


その国王の言葉に貴族達や民衆が息を飲むのが伝わって来た。


「其方の活躍で我が王国にもたらした実績は十全なものだ。

よってSSSランク冒険者ソータに、エラムセス王国現国王の名を持って侯爵位を与えるものとする」


「有難き幸せ、謹んで拝命致します」


そして巻き起こるは大歓声とそれに紛れる貴族達の困惑の声だ。


勿論おれも内心驚いている、まさか侯爵位が貰えるとは思って無かった、通常、冒険者などが貴族になる場合、与えられる爵位は名誉貴族となる、つまりは世襲出来ない1代限りの貴族位と言うことになるのだが、今回俺が与えられた侯爵位普通の爵位だ、つまりは世襲出来ると言うわけだ、そりゃ貴族の皆さんが困惑するのも無理はない。


その貴族の皆さん達の様子を見るにこの件は国王と王族、アウレーニス公爵達一部の高位貴族のみで決定されたようだな。


しかし、国王の言葉はこれに終わらない。


「静粛に!」


アウレーニス公爵の一括で再びその場に静寂が舞い降りる。


「此度の件での勲章はもう一件存在する、此度のスタンピードで準魔王級の魔物達を葬り去り、この国の平和の一役を担ったSランク冒険者ミラ、リーナ、ヘルティアの3者にも勲章を与えるものとする」


そう高らかに言い放つアウレーニス公爵、えぇ?こんな事聞いていませんけど?


「今回のみの特例とし、Sランク冒険者である、ミラ殿、リーナ殿、ヘルティア殿も同様にソータ殿の侯爵家の者とする」


そうして、国王はこう言い放ったのだ。


つまりは、俺が侯爵家の当主で3人はその侯爵家の人間と言う事だな、しかしこんな事は一切聞いていないんだけどね、本当。


《ソータ様の国王との会談の後、ミラ、リーナ、ヘルティアの3名が冒険者ギルド総師ジークラスを通して追加で付け加えた要求です》


え?何それこのお子様3人俺の知らないところでそんな事していたのか?


と言うかリエル知っていたな?


《……》


ハイ出ました黙秘ですよここで、まぁいい3人が貴族位を持っていても困ることは何一つないからな。


「「「謹んで拝命致します」」」


そうして俺が内心でリエルに話を聞いている間に3人は貴族の令嬢がよくやるスカートの裾を少し摘まみ上げる礼をとったいた。


少しでも『面白かった』『続きが気になる』と思ってくれましたら、


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これからもよろしくお願いします!!


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題名変更しました!


「吸血商人は怠惰スローライフをお望みです」


そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください。


*ちなみに題名は仮名なので変更するかもしれなれません。


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