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無能と呼ばれた天才ゲーマーは異世界を好きに生きたい  作者: フウ
第2章 エラムセス王国編
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35話 キャラ作り

デブ貴族が絡んでくるちょっとしたトラブルはあったが、それ以外に特に何も起きずに、買い物を済ませ店を後にした。


因みにヘルは既に買った服に着替えている、店の人に言って店内の個室を貸してもらい着替えさせた、じゃないとかのタイミングで服を買った意味がないしね。


まぁ、最後までしつこくヘルに視線を送っていた奴らはヘルが服を着た姿を見て少しガッカリしていたが中にはより目を輝かせている者もいた。


余談だが、ヘルの裸エプロンならぬ裸マント姿を見た者はみんな揃ってその時の記憶を無くしてもらうことにした、今後あのデブ貴族みたいに面倒ごとを運んでくる奴がいるかもしれないからな。


王都に入って数時間、全人口20万を誇るこの王都では既にヘルの裸マントを目にした者の数は4桁後半下手をしたら5桁に及ぶかもしれない、さてさて皆さん問題です!


そんな数の人の記憶をどうやって消すのでしょうか?


答えは簡単、リエルに対象者へのマーキングをさせ、この王都全域に対象者へのみ、一斉に魔法をかければそれで事足りる、と言う寸法だ。


ヘルが選んだ服は白のワンピースだ、シンプル故にヘルの神秘性をより高めている。


ミラは黒を基調としたドレスの様な服、リーナは何故かメイド服の様なものを買っていた、リーナ曰くメイド服に多少の憧れがあったのだと言う。


そんなこんなで服を着替えたヘル、ミラ、リーナの3人は俺の左右をそれぞれ歩いているの、その姿はどこぞの貴族令嬢と言っても容易に通用すると言って良い。


つまりは、決して変な格好ではない、どちらかと言えば、この王都内の平均値よりも上の格好のはずだ、にも関わらずどういう訳か、3人仲良くお話ししている3人は服を買う前と変わらず、もしかするとそれ以上に人の目を集めている。


「どうしたのご主人様?」


「何かお悩みですか?」


「なんじゃ、なんじゃ妾にも教えるのじゃ!」


そんな俺の素朴な疑問が表情に出ていたのか、ミラ達がそう聞いてくる、ヘルに至っては俺の腰に抱き付いてきた、元気なのは大変よろしいが歩きにくいのでやめていただきたいです、とは言わずにこの3人に疑問をぶつけることにした。


「いや、さっきまではヘルの格好が格好だったからあんなに視線を集めたのも理解できるが、服を着た今、なんでこんなにも視線を集めているのかなと思ってな」


「そんなの私たちが可愛いからに決まってるじゃないご主人様」


さも当然とばかりにミラが胸を張って言い切った。


「そんなのどうでもよいではないか!妾はそんなこと気にしないのだ」


ヘルは特に気にした様子もなくそう言った。


「ソータ様、視線を集めるのはこの格好の所為だと思いますよ」


と、リーナがどこか呆れた様に言う。


「リーナさんの言う通りだと思いますよ」


そう言うのは、俺たちを先導して歩いているエリナさんだ。


この格好の所為とは、一体どう言うことなのか?


「ソータさん達は力はありますが常識がなってない様ですね」


そう言われてしまっては言い返せない、エリナさんの言う通り、この世界で王族として高度な教育を受けて育ったリーナ以外、俺たちにこの世界の常識には疎い。


「それは、まぁそうですね。

ちゃんと自覚してますよ」


勿論、数学や理科などのレベルで言えばこの世界よりも発展していた世界から来た俺の方が確実に上だ、しかし、常識となるとそうはいかない、地球での常識はこの世界では常識ではないのだから。


ミラは召喚、転生と色々あって複雑だが、結果的に言えば俺と一緒。


ヘルは俺たちに比べればこの世界の常識に通じているが基準が古竜の感覚なので絶対とは言えない。


結果、俺たちにはこの世界での常識はそこら辺の子供といい勝負という様になっている。


「なのでエリナさん、どう言う訳なのかご説明願えますか?」


「そうですね、まずミラちゃん達の格好は平民と言うよりは貴族に近いですよね」


「まぁそうですね」


確かにミラ達の格好は平民では無く貴族に近い、だって貴族御用達の服屋で買ったんだよ?当たり前じゃないですか。


「貴族というのは通常、外出する時歩いて移動する事はありません。

大抵は馬車で移動しますから、それにもし徒歩で出歩いてもそれは屋敷周辺の貴族区画の中の狭い範囲に限られると言っていいでしょう」


「成る程、つまりは貴族の様な格好で普通に大通りを歩いているのが珍しいって事ですね」


「はい、それに加えて、ミラさん達のこの容姿です、人目を集めるのは、火を見るよりも明らかです」


成る程、確かに言われていればその通りなのだろう、そうこうしているうちに次第に見覚えのある建物が見えて来た。


盾とそれを縦に割る様に描かれている剣のシンボルの旗が冒険者ギルドを示すマークとして堂々と掲げられている、その建物はこの一週間通いつめていた場所だ。


中に入ると、いつも大勢の冒険者で賑わっているギルド本部内が殺伐としていて1人として冒険者の姿はない。


冒険者のみんなは今頃今回の件の後始末に追われている事だろう、まぁ後始末と言っても特にする事はない。


というのも、ミラとリーナが仕留めた準魔王やそれに連なる魔物達の骸は空間魔法で収納している、俺たちが倒したのだから俺たちがその素材の所有権を持っているのは当たり前だ、したがって彼らがやっているのは、俺の五天龍で抉れた地面を埋めること程度だ。


「では、総師方がお待ちになっている、奥の会議室の方は案内しますね」


そう言って再び歩き出すエリナさんの後を俺たちは無言でついて言った。


無言なのは特に何があった訳では無く、単に話すことがなかっただけなのだが、ここから先は雰囲気を重視したいのでシリアスな感じは大歓迎だ。


ギルドのカウンターから奥に入り、階段を上がり二階に行く。


「こちらへどうぞ」


二階の廊下の突き当たりには1つの白い扉があった、エリナさんの促すがまま言われた通りにその他の扉の先の部屋に入る。


その部屋は特になんの変哲も無い部屋だ、床に魔法陣が描かれている事を省けば、だが。


「これは、転移魔法陣か」


「っ!」


俺の言葉にエリナさんが驚きの声を漏らす。


「どうかしましたか?」


「い、いえ」


「そうですか」


「この魔法陣はソータさんの仰った通り、転移魔法陣となっていて、この魔法陣を起動することにより上階に上がることができます」


「えらく厳重なシステムですね」


「冒険者ギルドはどの国にも属さない独立組織ですから、それなりに敵はいると言う事です」


確かに言われてみればそうかも知れない、只でさえ出る杭は打たれると言うし、けれどそれで世界各国に支部を置くほどの巨大組織に手を出すとはバカとしか思えない。


因みに俺がエリナさんにその辺の事情の説明を受けている間、お子様3人は魔法陣をつついたりしてはしゃいでいた。


閑話休題。


「では、説明はこのくらいにしてそろそろ行くとしましょうか」


「そうですね」


魔法陣がエリナさんの魔力に反応し起動する、そして魔法陣の光が収まり転移は終了する。


視界に特段変わった事はない、見えるのはさっきまでと同じ部屋と地面の魔法陣だけだ。


「ではこちらへ」


しかし確かに転移魔法は発動した、エリナさんの先導で再び歩き始め、1つの扉の前にたどり着いた。


エリナさんがドアのノブに微量の魔力を流すとドアのロックが外れる。


その中には中央が空洞になっているかなり長い机にかなりの数の椅子がありそこにはおっさんどもが座っていて、一番奥にはあの爺さんが座っている。


「お待ちしていた、そちらにかけて下され」


そう爺さんに促され、俺たちは一番手前に置かれていたイスに腰掛ける。


「なかなか気がきくではないか!」


「「…」」


そして、ヘルの楽しそうな声の後、静寂が訪れた。


今の俺たちの構図を説明しよう俺の左右の椅子にミラとリーナが座っており、俺は真ん中の椅子に座っている。


ではヘルはどこに座っているのかと言うと、もう一つ空いている椅子に座っている訳ではない、ヘルは今、俺の膝の上に座っているのだ。


側から見たら微笑ましい光景に見えるかも知れない、しかし事情を知っているこの部屋に集まっているギルド重鎮の皆さんからしたら押し黙るしかない光景はと早変わりだ。


そしてもう一つふと思った事がある、ヘルは少女の姿になろうが古竜である、にも関わらず何故こんなにも軽いのだろうか?


今のヘルからは見た目通りの重さしか感じない、人化して本来の身体である古竜の身体は一体どこへ消えたと言うのだろうか?


ちなみに後日ヘルに直接聞いたところ暫くの思考の後に「妾にもわからぬのだ!」と満面の笑みで答えられるのだが、そんなこととも知らずにもし体重を自在に操れるなら戦略がかなり広がると妄想を膨らませていた。


「一つ聞かせて頂いてもよろしいでしょうか、純白の古竜殿よ」


そう沈黙を破くべく声を発したのは爺さんだ。


「ん?お主、名はなんと言ったか?」


「へ?」


ヘルの疑問に疑問符を浮かべる爺さんとその他の重鎮たち、エリナさん情報とリエルの検索結果曰く、あの爺さんは過去に新人魔王の一柱を葬った元SSSランク冒険者で世界中にその名を轟かせていると言う。


そんな爺さんの名前を知らないと言うのは彼らにとっては思っても見ないことだったのだろう、しかし、古竜であるヘルがそんなことを知っているはずもないし、俺もAWOのトッププレイヤーならともかくこんな爺さんの事はよく知らない。


「名じゃ、妾はお主の名を聞いておるのじゃ」


「わ、儂は冒険者ギルド総師、ジークラスと申す」


ヘルが少しムッとして言うと爺さんことジークラスが少し慌てたようにそう答えた。


「そうか、そうか。ではジークラスよ妾の名はヘルティアじゃ、そんな変な呼び名で妾のことを呼ぶでない」


いつになく真剣な表情のヘルはより厳格な雰囲気を醸し出している。


俺?神秘的とさえ言えるこの光景の中で俺は完全に背景になってますが何か?


「で、ではヘルティア殿よ一つ尋ねたい事があるのだが良いだろうか?」


「うむ、答えてやるのじゃ!」


ジークラスの質問に、さっきまでの雰囲気は何処へ消えたのやら、そこには元気よく笑みを浮かべるヘルがいた。


「ヘルティア殿の話し方が最初と違うのだが…」


「何じゃそんなことか。

そんなの決まっているであろう、キャラ作りじゃキャラ作り。

あっちの話し方のほうが雰囲気が出ていいじゃろう?」


「そ、そうなのかの?」


ヘルの答えを聞き、そうか周りの重鎮たちに問いかけるジークラスだが、それに答える声は無かった。


そしてこの場にいるヘルとジークラス以外の誰もが思ったことだろう、それ今聞かなきゃダメな事!?と。



少しでも『面白かった』『続きが気になる』と思ってくれましたら、


 ブックマーク登録及び、下記の評価ボタンを押して頂けますと嬉しいです。


これからもよろしくお願いします!!


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新作です!!


異世界暗躍〜最強の勇者様?ただの商人です〜


そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください。


*ちなみに題名は仮名なので変更するかもしれなれません。

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