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無能と呼ばれた天才ゲーマーは異世界を好きに生きたい  作者: フウ
第2章 エラムセス王国編
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30話 VS古竜1

過去例を見ない超大規模スタンピードに対処する為に集まってくれた皆とともに王都を囲っている外壁の前に陣取る。


後衛向きの魔法職の者は外壁の上に、接近戦が得意な戦闘職の者は外壁の前に隊列を作って陣取っている、元SSS冒険者にして、閃光の大魔導師と呼ばれた儂はもちろん最前列に陣取っている。


未だ魔物達の姿は見えないがその混沌とした莫大な魔力がこちらに近づいてきている事はハッキリと感じ取れる。


ここに集まった者の内訳は元SSS級である儂が1人、S級が2人、A級が6パーティー26人、B級が18パーティー87人のB級以上の上位冒険者達。


全員が現役時代はA級以上の上位冒険者である各地のギルドマスター50名、そして実はS級の実力者である補佐役のクラウスと秘書のエリナ。


ここまでのレベルのメンバーが揃ったのもここが冒険者ギルド本部があるエラムセス王都だからこそだ、これ程のメンバーが集まったのなら一国と戦争する事も不可能では無い。


「…見えたか」


遠くから上がる土煙で魔物達が来た事がわかる、そしてその土煙の規模に集まった者達が騒めく。


とその時外壁の上で遠視を使い魔物達を見ていたものが声を上げる。


「魔物を確認!」


「その内訳は?」


すぐさま補佐役のクラウスがそう聞き返す。


「災害級500以上、災厄級約150、災禍級30…」


「どうした?」


「そ、それが天災級、恐らく古竜と思われる魔物が2体です!」


そして帰ってきた報告に絶句する。


本来の報告では天災級、古竜は一体という報告だった、だからこそまだ儂がその古竜を抑えればどうにかなるはずだった。


儂が古竜を抑えている間に、他の魔物を殲滅、その後全員で古竜を叩くそうすればいくら天災級の魔物とはいえひとたまりもないだろうと。


しかしそれが2体になったと言うのならばそうは行かない、儂は足止めをする間も無く殺される事になるだろう。


詰まる所、今回の防衛線の勝敗が見えたのだ、その結果は儂達の惨敗に終わる事だろう、天災級それも古竜ともなるといくらSランクの冒険者でも4人がかりで足止めが叶うかどうかそれも出来ても数分が限界だろう。


そんな時間であの数の魔物を殲滅する事は不可能だ。


「せめて古竜でなければ…」


思わず、願いにも似た願望が漏れる。


古竜はその長い生の中で人をはるかに凌駕する知能を持っている、さらには魔王にでさえある程度は抵抗するほどの力を持つ高位の魔物だ、人に明確に敵対しているのであれば魔王に認定されてもおかしくは無いそれが2体最早、儂達に勝機はないと言える。


そしてここに集まっている上位冒険者達にそれがわからないわけが無い、ここにいる者達はすでにこの防衛線が敗北で終わり、王都が魔物達に蹂躙される未来が見えているハズだ。


そして未来のある者をここで無駄に死なせるわけにはいかない。


「皆の者、最早結果は見えた、儂が今より結界を張るいくら古竜と言えども十数分は持たせるのでな、只今より王都の住人とともに速やかに避難するのじゃ」


「そういうわけにいくかよ」


「爺さん1人でカッコイイ真似はさせねぇぜ」


と、次々と皆から声が上がる、正直言ってあの荒くれ者ばかりのガギどもがこの王都に住む者達のためにここまで言ってくれるとは思ってもいなかった。


ここで若き芽を摘む訳にはいかないというのに、不思議とその言葉に口角が上がる。


「そうか、では最早止めはせん。

せいぜい無様に死なぬよう、抗おうぞ!!」


「「「うぉぉぉ!!」」」


そして再び雄叫びが上がる、振り向き見れば捲き上る土煙はもう先頭を走る魔物が僅かに視認できるまで近づいている。


「各々戦闘態勢に入れ!」


儂の号令を皮切りに各々が身体強化の魔法を唱えたりその得物を手に持ち、攻撃魔法を構築する、そして魔物達が一斉に到達し襲いかかる…事はなかった。


何故ならば魔物達の軍勢がどういうわけか急にその足を止めこちらを遥かに超える数の魔物達が儂達を取り囲むかのように陣を取り始めたのだ、本来こんな事はあり得ない、魔物とはそれこそ古竜などの高位のものを省き知性がないのだ、その魔物達がこの様な統率のとれた動きをする事など聞いたこともない。


「一体、何が…」


「こんな事が過去に確認された事は無いはず!」


儂の左右に立っているクラウスが動揺を露わに言葉を漏らし、エリナが驚愕に言葉を荒げる、しかし2人だけでなくここにいる者全てのものが同じような反応を示す。


「皆落ち着くのだ!そもそも今回のスタンピードは規模からし初めてのものだ何があってもおかしくは無い!!」


そうは言ったものの儂も心中驚愕に満たされているのだが、それを表に出すわけにはいかない、皆をまとめる立場の儂が取り乱すと簡単に瓦解しかねない。


そして徐々に魔物達の壁が2つに割れていく、その光景にも十分驚愕するがここまできたら最早何でも来いとすら思えてしまう。


その2つに割れた魔物の壁で出来た道の奥からゆったりと一定のリズムを刻み現れる、黒の鱗に覆われた漆黒の古竜とその古竜をよりも一回り大きい白い古竜が…


その姿を見て早速来てくれるなと思ったのは仕方のない事だろう。


漆黒の鱗はどこまでも深くいとも簡単に吸い込まれてしまいそうな錯覚を覚えさせその絶対の力を誇示するかの様に絶望を与える、白い鱗は神秘的な美しさを醸し出し、その神の如く形容に自らを供物として差し出させるかの様な威圧がある。


そしてその2頭の計4つの瞳がこちらを射抜く、その両者の瞳にあるのは自身の力への絶対の自信、そして漆黒の古竜には弱者を見る嘲りが、純白の古竜には弱者を憐れむ慈愛がそれぞれ浮かんでいる。


「弱きもの達よ汝らに選択の時を与えよう」


そして驚愕する事に純白の古竜がそう言葉を発した。


「面倒な、下等生物ごときに時間を取るというのか?やはり我が殺し尽くしてやろうでは無いか」


「っ!!」


その言葉を聞いて今の今まで唖然としていたことを思い出し再び魔力を練り直す。


「黙りなさい!これは決定事項です」


しかし強い口調で純白が漆黒を嗜める、そして驚く事に漆黒の古竜それに従い渋々ながらも引き下がったのだ。


本来他者のいうことそれが例え同じ古竜であっても聞くはずもない古竜が純白の古竜のいう指示に従ったのだ、それが儂達の心境にもたらす衝撃は計り知れないほど大きなものだった、しかし同時に希望も浮かぶ。


相手がこの古竜なら交渉次第でどうにかなるかもしれないと、古竜と交渉などこの場にいないものが聞いたらバカにされる様なことなのだが…


「わ、儂は冒険者ギルドの代表を務めるジークラスと言う。

純白の古竜よお主が言う選択とは何のことか?」


そう問いかけると純白の古竜はこちらに視線を戻す。


「では、改めて。貴方達にはここを立ち去るか、この黒い古竜率いる魔物達に抗うか選択する時間を差し上げます」


「その言い方だと貴殿は戦いには参加しないと聞こえるが?」


「その通りです、私は今回の貴方方の戦いには参加しません。

他に質問はありますか?」


やはりこの純白の古竜は特異だ、古竜に限らず竜種は元来戦闘を好む種族なのだから、まぁ本来古竜は弱者である人と話したりはしないのだからこうして言葉を交わしている時点でそうとも言えるが。


その事を踏まえると儂以外のもの達は古竜と対話をすると言う異常事態に呑まれて呆然としているが仕方がないとも言えよう。


しかし、そうとなれば謎が残る、


「では何故貴殿はここに?」


そう何故この純白の古竜がここに来たのかと言う疑問がだ。


「そんな事ですか、まぁいいでしょうそれは、退屈だからですよ」


そして、純白の古竜は何を当たり前のことをと言わんばかりにそう答えた。


「そうですね、これは私にとってゲームみたいなものですね」


と、つまりはこの純白の古竜は自らの暇潰しのために だけにこの三大国が一国のエラムセス王国王都を壊滅の危機に陥れていると言う事になる。


「ゲ、ゲームじゃと」


「そう!これはゲームなのです。

荒れ狂う漆黒の古竜率いる魔物達を人が退けられるか否かのね。」


「そ、そんな事のためにこの国を窮地に追い込んだと言うのか…」


1人楽しそうに語る様を見て儂がこう言葉を漏らした事は仕方のない事だと言えるだろう。


「人とは窮地に追い込まれれば追い込まれるほど力を発揮する生き物ですからね、それに逃げると言う選択肢も残してあります」


そうしてニタリと笑う古竜を見て戦慄する、この古竜は解っているのだ儂達が引かぬ事に、ここで逃げたとしてどこで生きてかけると言うのか?王都には数万の人々が住んでいるそれだけの人数がここを出て生きていく方法はないと言う事に…


だから儂は檄を飛ばす、負けるわけにはいかないと、古竜との対話で呆けている者達を奮い立たせるために。


「皆の者!儂達は負けるわけにはいかぬ!!

敵の古竜が一体となれば我らにとて勝機はある!!」


「と言うことは、抗うと言うことですね」


純白の古竜はそう嬉しそうに嗤う。


そして突如として襲いかかる莫大な魔力による大瀑布のような圧力に思わず身を強張らせる。


「純白の、もうヤっていいんだよな?」


そう魔力を迸らせながらその恐ろしく低い声で確認するように純白の古竜に問いかける漆黒の古竜。


「そうですね、ではあと1分で開戦としましょうか、時間が来たら私が合図を出しますのでそれで開始として下さい」


純白の古竜はそう言うとその大きな翼を広げて飛び上がる、そして近くにある小さな丘の上に降り立つと小さな火球を空高く打ち上げる。


そしてボンッと気の抜けるような音とともに小さな爆発を起こす。


その瞬間自身に光魔法を付与しまさに光速の速度で漆黒の古竜の背後に回り込む、そしてそのまま古竜の背に戦略級魔法を叩き込むべく詠唱を開始する。


「全てを粉塵に帰す業火よ今こそ此処に顕現せよ…炎天」


等身大の魔法陣から小さな太陽のような光の球が現れるそしてその光の球を未だ動かない漆黒の背中は撃ち放つ、それと同時に前方からも攻撃魔法の塊が漆黒の古竜を襲う。


儂は戦略級魔法に数えられる属性魔法の最上位魔法の1つの巻き添えを食わぬよう再び光魔法を付与し限りなく光速に近い速度で戦線を離脱し、元の位置に戻る。


そして巻き起こる爆音と100数十メートルは離れている距離でも思わず吹き飛ばされそうになるほどの爆音にこの距離でもチリチリと身を焼く灼熱。


光速のまさに閃光と言わんばかりのスピードに事実閃光を巻き起こすその最上位魔法、これこそが儂が閃光の大魔導師と呼ばれる所以、しかし…


「ふむ、人間にしてはやるではないか」


そんな軽口とともに現れたのは絶望、かつて屠った魔王にでさえ重傷を負わせたこの一撃。


「ここまでとは…」


「こんな事って…」


「なんて事だ」


儂が呟き、エリナが絶望の色を宿し、クラウスか敗北を悟ったかのようにそう漏らす。


漆黒の翼を広げ巻き上がった煙を晴らしたその身には1つの傷すらなく、どう言う手段を用いたかは不明だが奴の背後で爆発したはずの炎天は奴はおろか奴の背後にいる魔物達にすら被害を出すことが出来ていないのだ。


そして絶望の漆黒が嘲笑うように言う。


「さてでは我らもいくとしようか」


その言葉ともに一際大きな咆哮を挙げると今の今まで動きすらしていなかった魔物の大群が一斉に動き出す。


今さっきあの古竜と周囲の魔物を始末するために魔法を放ったばかりのもの達の詠唱が間に合わない速度で魔物の波が迫り来る。


そしてその時、他の戦闘職の冒険者達が飛び出すよりも早く儂達と魔物達の間に、戦場にもう1つの漆黒が舞い降りた。


少しでも『面白かった』『続きが気になる』と思ってくれましたら、


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これからもよろしくお願いします!!


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新作です!!


異世界暗躍〜最強の勇者様?ただの商人です〜


そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください。


*ちなみに題名は仮名なので変更するかもしれなれません。

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