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無能と呼ばれた天才ゲーマーは異世界を好きに生きたい  作者: フウ
第1章 異世界転移編
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SS 02話 勇者達

俺たちのクラスは唐突に異世界に召喚された、幸いな事に俺たち召喚者はこの世界の人々とは異なる強力な力を持って召喚されている。


中でも、俺のクラスである勇者、広瀬 雫の守護者、坂本 駿の戦王、北山 あかりの賢者は他のクラスとは異なる次元を誇る伝説にもなっているようなクラスだ。


そんな中、いつも何故かあかりに気にかけられている司波が唯一、遊戯人なんて言う外れクラスになった。


あかりは何故か司波の事を常に気にかけている、自分で言うのもなんだが、俺と駿、雫にあかりといつもの四人組は学校の中でも文武両道で見た目も良いと、かなりスペックが高い方だ。


そんなあかりに気を使って貰っているのに全く態度に変化がない司波の事を俺はあまりよく思っていなかった。


学校ではほとんど誰かと喋っているところを見た事もなく休み時間と授業中は起きていることの方が珍しいくらいの確率で寝ている、にも関わらず定期テストでは常に学年トップの点数を叩き出しているのも目に触る、しかも点数を取れるからこそ、授業中に寝ていても先生から注意されることもない。


そんな奴だからこそ俺は司波の事をよく思っていなかった、そんな時起きた今回の一件だ。


それでも司波は自分だけが弱いと言う状況にも関わらず、特に取り乱すこともなく普段通りの態度で過ごし、そして次の日にはアイツだけ別行動をとるようになった。


アイツはこの世界に来ても何故か周囲の環境の変化に戸惑うこともなく普段通りに生活を送っていた。


俺たちが必死に戦闘訓練をしている時もアイツだけは参加せずのうのうと毎日を過ごしていた、少なくともあの時の俺はそう思っていた。


今思えば俺はただ嫉妬していただけなのかもしれない、俺たちが突然の事態に戸惑う中司波だけが淡々としていて、俺には見せない態度をあかりがアイツにとるのも…


でも俺はそうは思ってなかった、表情の変わらない不気味な奴で、あかりがアイツを気にかけるのも何かアイツに弱みを握られているからだと本気で考えていた。


そしてこの世界に来て一ヶ月の間に、俺たちが厳しい訓練を受けるのになんの苦労もしていない司波の事を皆んなが愚痴るようになっていた、あかり以外のクラスメイト全員が。


地下迷宮に行った時も何食わぬ顔で司波がついて来たのも俺たちの力のおかげだと、俺たちがあの役立たずをフォローしてあげているからだと思い込んでいた。


その頃の俺たちはこの世界に来てからの約一ヶ月間の訓練で自分の力の強さを確信し自らの実力に絶対の自信を持っていた、実際に地下迷宮では大した苦労もなく過去最高記録を大きく更新した。


しかし、そんな自信は魔王ヴァイスロギアと龍王アヴァロスの訪問で赤子の手でも捻るかのように、いとも容易く崩れ去った。


王城に現れた魔王と龍王には手も足も出ずに、その後に出て来た魔物の軍勢は俺たちが到着した時には無能と罵っていた司波が起こしたであろう俺たちでは再現不可能な高威力の攻撃により殆どが消滅。


さらには敵の軍勢の幹部…準魔王級と呼ばれる鬼人や他の準魔王級の奴らが発する存在感に足がすくみ司波と鬼人との戦闘に加わることもできず…


いや、俺たちのレベルではあの戦闘にはついていけないとハッキリ理解させられた。


俺たちは司波が鬼人にとどめを刺すあの瞬間まで声をかけることさえも出来なかった。


そしてその後に再び出て来た魔王と龍王は王城に現れた時とは比べ物にならないほどの存在感を放っており、俺たちは訳もわからず司波を巻き込むことがわかっていても全力で攻撃を放ってしまった。


俺たちの全力程度では魔王や龍王は勿論、司波にすらダメージを与えることはできないと直前の戦闘を見て理解しておきながら。


しかし、攻撃が晴れた時、司波の姿はそこには無かった、その事に動揺したあかりが泣き崩れ、全ての魔力を注ぎ込んだためもう動くことも出来なかった俺たちを魔王と龍王はまるで道端の石ころでも見るかのような目で、いつでも刈り取れたはずの命を見逃された。


俺にはどうしてもあの攻撃で司波が死んだとは思えなかった、だが、あの場に司波の姿がなかったのは揺るぎない証拠として残っていた。


他のクラスメイトの皆んなは、自分たちが同じクラスメイトを殺してしまった、という事実に激しいショックを受けてあれからしばらく寝込んでしまっている。


それは俺も例外ではなくつい昨日までは食事も喉を通らなかった。


しかし、あかりが、あれだけ司波に気を寄せていたあかりがいつもと変わらない様子で部屋から出て来て言ったのだ「司波くんが、あの人が死ぬはず無いのに取り乱しちゃって、皆んなごめんね」と。


一番、悲しいはずのあかりが俺たちを元気づけようと少しでも攻撃を加えてしまった罪悪感を和らげようと笑顔を浮かべていた。


本来なら、真っ先に攻撃をしてしまった俺がみんなに謝罪し、みんなを引っ張って行かないといけない筈なのに、その重みをあかりに背負わせてしまった。


俺たちはこの世界に来てまだ一ヶ月しか経っていないのにも関わらず犠牲者を出してしまった、それも俺たちの手で。


何が勇者だ、何が英雄だ、しかも一番早く立ち直ってみんなを引っ張って行かないといけないのにそれも出来ずに何がリーダーだ。


健気に笑うあかりを見て俺はやっと決意したこのままではならないと。


俺たちはもっと強くならなければならない、あの時魔王と龍王が来た時、俺たちにもっと力があれば、最低でも司波と同等に戦えるだけの力があれば結果は変わっていたかもしれない。


司波が死んでから思うようになった、俺がはただの嫉妬で司波を蔑みアイツのことを知ろうとしなかった、もし、司波と協力していればあんな事にはならなかったんじゃ無いかと、それはあの時の事を正当化するための方便なのかもしれない、けど俺はその事について後悔している。


だからこそ、俺たちはクラスメイト全員で強くならなければならない、もう一度同じ悲劇が起こらないように。


俺の不甲斐なさのために死んで行った司波の為にも…


だからこそ俺たちは旅に出る事にした、流石にショックから立ち直れない者も数名はいたが、そんな彼等を守る為にも一刻でも早く強くならないとダメなのだ。


そんな決意とともに俺達はアストラル王国を後にするメビウス帝国に、この世界最大規模、最高難易度の迷宮アビスへと。


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