20話 ミラの事情
大阪で観測史上初の震度6弱!!
地震は怖いです。
ですがこれからも頑張りますのでよろしくお願いします!!
最初の応接室で待っていると、しっかりとした衣服に身を包んだ少女が入ってくる。
犯罪奴隷として売られていた彼女は俺としてもいい買い物だったと言える。
何せ料理スキルがかなり高いし家事もこなせる、その割に衣服と店へのチップを上乗せしても相場の5分の1の価格だ。
彼女としてもあのままだったら鉱山奴隷か、何処ぞの変態貴族の玩具になるのがオチ、そのことを考えれば今回のことは彼女にとってもラッキーだったと言える。
そして何より彼女のステータスに表示された、転生者と言う文字、なかなかに愉快な事が起こっているのは間違いない。
この世界の住人では無い記憶はそれだけで強い武器になるのだ、しかもそれが俺がいたようにこの世界より文明の高度な世界だったら尚更だ。
そして彼女の容姿から同郷である可能性は高いと言える。
「俺の名前はソータ、君の名前は?」
「買ってくれてありがとうございます!!私の名前はミラ、これからよろしくお願いしますご主人様」
そう言って彼女はペコリと頭を下げた。
「取り敢えず俺の泊まっている宿屋に戻る、話はそれからだな」
「わかりました。ご主人様」
彼女とは話したい事がいくつかある、転生とは何か、どうして犯罪奴隷になったのか?
まぁその他諸々の事、しかしそれ以上に彼女を買った事で重要な事が一点存在する。
それは、これで旅の心配が無くなった、旅の途中も素晴らしい飯が食えるという事だろう。
ちなみに地球のラノベなんかではよく奴隷に言うことを聞かせるための首輪や印を刻んだりするがこの世界にそんな面倒なものは存在しない。
この世界では称号に奴隷とあれば主人に刃向かうことは出来なくなるのだ。
全てを世界のシステムで管理された世界だからこそ、俺に干渉された事に対し、それでいいのかとも思わなくも無いのだが……
まぁ、そのおかげで助かっているのだから、セキュリティの緩さに感謝しておくとしよう。
宿屋に帰り女将さんに部屋の追加は無しと伝えて部屋に入る、ミラは後ろから黙ってついてきていた。
「それで、早速だけどミラって前世の記憶あるよね?」
ちなみに今の俺は新たな身体に生まれ変わり髪の色は白銀色だし、瞳の色も赤になっている。
ミラとは違って日本人らしさのカケラもない、ちなみに髪の色と瞳の色はゲーム時代の俺の趣味だ。
あの頃は俺もまだまだ若かったな……え?ほとんど時間たって無いだろって?
いやいや、たしかに俺の感覚では半年も経っていないが、この世界で見たら450年もの歳月が経っている、馬鹿言っちゃいけないよ。ハッハッハ
さて自問自答も虚しいな、今は話相手もある事だしミラと話してみるとしよう。
「で、どうなんだ?」
「……まぁ、同郷の人に隠す意味も無い、よね。
はい、その通りです」
あっさり認めたなコイツ……
これじゃあ、真剣に聞いた俺がバカみたいじゃ無いか。
まぁ、その事は置いておくとして……
「その上で聞くが、何で出身地が同郷だと思ったんだ?」
さっきも言った通り、俺の見た目は日本人からはかけ離れている、それにもかかわらず彼女は俺の事を同郷と言い切った。
「…王都で地球から勇者達が召喚されたって聞いたからです」
軽く問い詰めるとミラの目が泳ぐ、恐らくは何か秘密があるのだろう、こう言う時のリエルさんだここはあのお方に頼るしか無いだろう。
(ミラの言ってある事は本当か?)
《心拍数などの状況証拠から確実に嘘です。
先程軽度の解析をかけた瞬間僅かな抵抗を確認しました。
解析を再行、結果を表示しますか?》
(頼む)
次の瞬間、俺の脳内にミラの真のステータスが表示される。
姓名 :ミラ
種族 :人間
性別 :女
レベル :1
年齢 :12
職業 :犯罪奴隷
状態 :良好
固有能力:言語理解
ユニークスキル :記憶眼LV3
スキル:料理LV7・家事LV6・隠蔽LV4
HP :50/50
MP :50/50
体力 :60/60
筋力 :15
耐性 :20
敏捷 :65
回避 :65
知力 :780
称号
転生者・犯罪奴隷
ユニークスキル記憶眼
…他者の記憶を覗く事ができる。しかし、覗く事ができる記憶は力量差により変動する。
俺の正体を見破ったのはこのユニークスキルの権能だな、あと軽くかけた解析で重要事項が表示されなかったのは隠蔽スキルのせいか。
目をそらしだんまりを続けるミラにニヤリと笑みを浮かべて話しかける。
「なかなかいいユニークスキルを持ってるじゃ無いか」
「えっ?!な、何のことですか?」
「ミラが持っているユニークスキル記憶眼の事さ、他者の記憶を覗ける能力、戦闘には向かないが応用が効くいい能力だ」
「な、何でその事を…」
「何でと聞かれたら、解析をかけさせてもらったからだが」
「でも私には隠蔽スキルが…」
そしてミラは少し唖然とした表情になる。
「俺の方がミラより強いって事だ。
まぁ俺の正体がわかった理由はいいとしてだ、転生者とはどう言う事だ?」
「ご、ご主人様は何でもお見通しなのね…
転生者と言うのはその名の通り転生した者のことを指します」
「ミラは俺達と同じ地球から転生者としてこの世界に来た。
じゃあ、地球以外の世界からこの世界に転生してくる者も勿論いるんだよな?」
「それは、私は他の転生者に会った事がないからわかりませんけど、多分いると思いますよ。
それに、確かに私の故郷は地球の日本ですけど、私が死んだのは地球じゃありませんよ」
そこで一度言葉を切り、ミラはニヤリと口に弧を描いた。
「私の場合は何と2回も転生してるんです。
1度目はご主人様のいた地球から2回目の世界に、2回目はこの世界とよく似た世界から転生しました」
この意味は非常に大きい、彼女の言っている事が本当ならばこの世界には多数の世界から来ている者がいる可能性が高い。
多数の世界から転生してきたものがあると言う事はそれだけこの世界に接触している実力者が多いと言う事だ。
俺も自らに転生魔法をかけ今の身体になったが、あれ自分の魂を移し替えただけしかも同じ世界の中でだ。
それを他者にしかも別の世界にとなると最低でも今の俺よりかは遥かに強いもしかするとあの女神ジルと同等かそれ以上の存在もあるかもしれないと言う事だ。
そして、その存在が魔神などの敵となる存在の可能性も勿論あると言う事なのだから。
「ミラの前世の世界は俺のいた世界とは違う世界なのか?」
「食いつくのはそこなんですね!もういいですよ、そうですねご主人様の記憶はほんの少ししか見れなかったですけど、恐らくは違うと思います」
「転生する時はどんな感じだった?」
「真っ白の世界で神様に転生するか、聞かれて転生したって感じでした」
これでミラの転生に神が関与している事が判明した、だがその神が敵なのかは不明だちなみに名前は聞いていないらしい。
(リエル、転生者についての情報をリサーチしてくれ)
《了解致しました。
転生者とは神又はそれに準ずる存在によりこの世界に転生されられた存在を指します。
また転生の際に魂が強い力を吸収しユニークスキルなどの強力なスキル目覚める者が殆どです》
これでミラがあの年齢にもかかわらずユニークスキルを持っている理由に説明がつく。
「あぁ、そう言えばミラは何で犯罪奴隷になったんだ?」
「そう言えばって…」
ミラの話を纏めるとこうだ、
まず記憶眼の力を使って貴族に取り入り、生活の安定を確保。
対価として貴族の主人に命令されるがまま他者の記憶を除き、その情報を使って主人が邪魔になる者を辺境に追いやっていたとか。
主人に嵌められた他の貴族の怨みを買いあらぬ罪にかけられて犯罪奴隷になった。
「…ま、なんだ、そのどんまい」
そう言葉をかけるのが精一杯だった、それにしても冤罪で犯罪奴隷とはなかなかに不憫だ、確かに嵌められて権力を剥がれた貴族達の気持ちもわかるがそれを実行した貴族ではなくミラが不満のはけ口にされたわけだ。
「なぁミラこの世界にはミラみたいな境遇の奴が沢山いると思うか?」
「まぁ、それなりにはいると思いますけど」
「そうか…よし、そういった奴を見つけたら積極的に仲間にしていこうその方が俺にとっても都合がいいしな」
「それってどう言う事ですか?」
それから女神ジルと話の内容や、固有能力:食物連鎖の開発の事などを伝えると
「ご主人様って規格外ですね…」
と言われた。
まったく、心外だ俺のどこが規格外のものかあの女神を前にしたら俺なんて全然規格内だ。
まぁ何はともあれこの世界にきて初めての仲間が出来た、地球から違う世界さらにこの世界と複雑な事情を持つ奴だがやはり最も重要なのはミラの料理スキルが高いと言う事だ。
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