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無能と呼ばれた天才ゲーマーは異世界を好きに生きたい  作者: フウ
第1章 異世界転移編
20/111

19話 奴隷

二週続けての2日連続更新になります。

これからもよろしくお願いします!!

宿屋は至って普通の外見をしており、数多くの宿屋が立ち並ぶこの宿屋区画ではあまり目立たずひっそりした雰囲気を醸し出しており、俺も千里眼の力が無かったら見逃していただろう。


宿屋の中に入ると一回は酒場になっておりまだ朝だと言うのに幾人かの客が談笑していた。


「いらっしゃいませ!!」


栗色の髪をした少女が入り口横に設置されたカウンターから俺に声を掛けてくる。


「店の手伝いか、偉いな。

それじゃあ取り敢えず部屋を一部屋借りたい」


「宿泊ですね!

お母さん、宿泊のお客さんだよ!」


少女が大きな声で元気よく声を上げる。


「こら、ミル私のことは女将さんと呼びなさいっていつも言ってるじゃない」


そう言って酒場の方から出て来たのはミルと呼ばれたカウンターで店番をしている少女とよく似た美人だった 、ミルと同じ色の腰のあたりまで伸ばした髪がよく似合っている。


「わかったよ、ごめんねお母さん」


「はぁ、全くこの子は…」


全く反省した様子なくミルはお母さんと呼ぶ、それを見て女将さんは呆れたように言葉を漏らす、俺はそれを見て苦笑いしていると言う訳のわからない状況になっていた。


「すみませんねお客さん。

それで、宿泊でしたよね?」


「ああ取り敢えず一週間ほどいけますか?」


「一週間ですね、わかりました。

お食事はどうなさいますか?

一週間、朝夕食付きで銀貨5枚、素泊まりでしたら銀貨1枚になります」


「じゃあ朝夕食付きの方でお願いします」


「わかりました。

では、お部屋の方は二階の一番奥のお部屋になります。

お食事の方一階の食堂の方でお食べください。

ただ今、朝食のお時間ですのでどうぞお召し上がりください」


「わかりました、ありがとうございます」


「じゃあミル、お客さんをお部屋にご案内してちょうだい」


「は〜い、じゃあお客さんこっちですよ!」


そう言って俺の手を取り引っ張っていくミル、それを見て女将さんはまた呆れたような顔をし、奥の食堂の方で他の客が暖かい目で見ていた。


「お兄さんとこから来たの?」


「王都からだよ」


「じゃあお兄さん魔王か龍王って見ました!?」


と凄い勢いでミルの後ろをついて行っていた俺を振り返った。


「いや、その時には既に俺は王都を出ていたからな」


「そうなんですか」


「ミルは魔王と龍王に興味があるのか?」


「えっ!なんで私の名前を?」


「君がさっき女将さんと話してるのが聞こえてね、嫌だったらようなら謝るよ」


「ううん別にいいよ。

えっと魔王と龍王に興味があるのかって話でしたよね。

もちろん興味ありますよ、魔王と龍王なんて普通じゃ見れないですし。

勇者様達と闘ったって話ですから気にもなりますよ」


「そんなものか?」


「そんなものなんです!」


「ちなみに魔王と龍王どっちに会ってみたい?」


「うぅ〜ん、やっぱり魔王ですかね」


魔王 対 龍王の人気対決、勝者は魔王ヴァイスロギア、本人の知らぬところで龍王アヴァロスは負けたわけだ、哀れ龍王アヴァロス…


「どうしたんですか?」


「いや、何でもないよ」


思わずニヤリと悪い顔をしていたらしい。


「いつか魔王に会えるといいな」


「はいっ!」


そう彼女はいい笑顔で笑った。


彼女に案内された部屋は二階の角部屋であり広すぎず、狭すぎずの微妙な広さを誇り、とても落ち着くいい部屋だった。


にしてもどうして彼女はあんな奴らに会ってみたいんだか?


魔王ヴァイスロギアと言えば意味の分からない理屈で子供の姿をしている変な奴だし、龍王アヴァロスは寡黙で厳格なふうに見えるがただのストーカー。


あんな奴らのどこが彼女の琴線にふれたのか、まぁ考えても分からないことは考え出さないようにしよう。


それから一階の食堂で朝食を食べたが、満足できる出来だった、その満足した気分を胸に今、奴隷商に向かっている途中だ。


宿屋の時みたいに千里眼でサーチをかけることは可能だが直接みた方が確実だ。


まずは商業区画にある奴隷商だ、外見は清潔に保たれており街の雰囲気を損なっていない。


「いらっしゃいませ、本日はどの様な奴隷をおさがしでしょうか?」


店に入るなり早々身なりのいい男が声をかけてくる。


「料理のできる奴隷を買いたい。予算は気にしなくていい」


すると男は一瞬、訝しむ目をしたが、すぐに笑顔に塗り替える。


「では、ご用意させて頂きますので、応接室でお待ち下さい」


応接室に入りソファーに座る、調度品はほとんど置かれていないがまぁこんなものだろう。


しばらくすると、先程の男を先頭に薄い貫頭衣を着た女性達が入ってくる、まぁ「料理ができる奴隷」を頼んだら女性が出でくるだろう。


しかも服が薄いので体のラインがモロに出て、歩くたびに色々と見えてしまっている、流石は商人客が男だということを考えている。


だが、俺が最重要視するのは料理スキルを持っているか否か、もちろん容姿が優れている方がいいのはいいが、重要なのはスキルの方だ。


出て来た女性奴隷達はは10代〜20代前半の女性達で、容姿も比較的よく整っている、改めて言おう流石は商人だ。


何度か交代させて彼女達のステータスを除いていくが、残念ながら料理スキルを持っているものはいなかった。


もちろん料理スキルを持っていなくとも料理はできる、だがスキルを持っていた方が圧倒的に美味い、現代日本から来た俺の目的は料理スキルを持った奴隷だ。


仕方ない、あまり行きたくはないが貧困街の方の店に行ってみるか、と思った時思いの寄らぬところから報告が入った。


《ソータ様この店に高レベルの料理スキルを持った生命体を感知致しました。

また面白い現象も同時に感知しております》


とリエルから報告が入ったのだ、リエルが間違える事は無いはずなのでここに俺の望む奴隷がいるはずだ。


「その扉の向こうには何がある?」


部屋の隅の方に扉があるのに気づいて男に問いかける、男は不思議そうな顔をしながらも質問に答えた。


「犯罪奴隷や病気などにかかり商品にならない傷物などをまとめて入れています。今回は料理が出来るとのご要望でしたので衛生面などを考慮して除外させていただきました」


「そうか、悪いがそちらも見せてくれないか?」


「別に構いませんが…」


あまり乗り気ではなさそうな男だが、犯罪奴隷などは安い、奴隷商としては普通の奴隷を買って欲しいのだろう。


「すまないな」


「では少々お待ち下さい」


男が持ってきた鍵で扉を開け中に入る、やはり犯罪奴隷や売り物にならない欠損をした奴隷は衛生面がよろしく無い。


この世界では欠損を直す方法はほとんどないなので欠損のある奴隷はほとんど売れる事はなくたまに趣味の悪い貴族が買っていくぐらいだ。


(リエルどいつだ?)


《あちらの個体になります》


そこにいたのは一人の少女だ黒髪、黒目を持ち黒髪が肩口まで伸びており、少女は俺のことに気づくと声をあげた。


「私を買って!!」


「うるさい!勝手に喋るんじゃない」


俺に見られている事に気付いたのだろう、そう言って懇願してくる少女を男が怒鳴り付けるのを脇目に、彼女のステータスを覗く。



名前:ミラ

性別:女

年齢:12

種族:人間(転生者)

スキル:料理LV7・家事LV6

称号:犯罪奴隷



たしかに面白い、年齢の割にスキルレベルがかなり高いのも面白い点だが、何よりも転生者と言うのが興味深い、リエルが面白い現象と言うのも理解できる。


「ひぃっ!……何よ、折角…折角転生したのに、まだ死にたくないっ!」


店員の男に怒鳴られ、軽い悲鳴をあげた彼女は、目尻に涙を浮かべ周囲には聞こえない様な小さな声でそう呟いた。


まぁ、俺にはバッチリ聞超えてるんだけどな。


そして何より、この本心から漏れたであろう言葉が、彼女のステータスにある項目が真実である事を語っている。


これがもし、何処ぞの誰かの差し向けた間者だとしたら、彼女はハリウッドスターにでもなれる逸材だな……


「彼女を買おう」


「いいのですか?

こいつは欠損は無いものの犯罪奴隷ですよ」


「ああ、構わないいくらだ?」


「金貨1枚になります」


奴隷の平均価格は金貨10枚程度だからこの値段はかなり安い。


「かなり安いな、いいのか?」


「流石に鉱山行きの犯罪奴隷を高い価格で売る事はできません」


「そうか、じゃあこれでまともな格好にしてから連れきてくれ」


俺はそう言って男に金貨2枚を手渡した。


ともかくこれでこれからはまともな料理が食えるなと内心かなりホッとした。


少しでも『面白かった』『続きが気になる』と思ってくれましたら、


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これからもよろしくお願いします!!


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