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無能と呼ばれた天才ゲーマーは異世界を好きに生きたい  作者: フウ
第1章 異世界転移編
18/111

SS 01話

はじめての番外編になります!

本編の方はまた土曜日に更新予定ですので悪しからず。

今後もよろしくお願いします!!

私、広瀬 雫はここ一ヶ月間でもう既に見慣れた景色を眺めながらベットの中から起き上がった。


ここは、召喚者である私達に各一室与えられた王城の部屋で私の部屋で他には誰も居ないのだから静かなのは当たり前だけど、今はいつもよりも静かに重い空気が漂っていた。


こっちに来てからの寝間着であるネグリジェを脱ぎ、いつも着ている学校の制服に着替えていつものように食堂に向かう。


食堂と言ってもこの王城にはいくつかの食堂があり私達がいつも使っているのはそこそこの地位の人しか使用する事ができないような最上級の食堂であり、都内の一流レストランにも通用するようなレベルの装飾がなされている。


料理の方もそれに引けを取らないレベルでありいつも煌びやかな雰囲気が漂うそこも今はそうはいかず暗い雰囲気に包まれていた。


十魔王の一柱の妖精王ヴァイスロギアと龍を統べる龍王アヴァロスの襲撃から一夜明け私たち召喚者たちの間には暗い空気が重くのしかかっていたのだ。


私達、召喚者はクラスの中心の一人である、北山 あかり、彼女が激しく取り乱した事もその一因なのだが。


この国の人々はそうではないアンタッチャブルである魔王の一柱とそれと同等の脅威とされる龍王に目をつけられたかも知れないときて、頼みの綱であった勇者達が目の前で手も足も出ずにまるで赤子の手を捻るかのように軽くあしらわれたのだからその不安は言うまでもないだろう。


昨日、会談を持ち掛けてきた龍王と魔王に呆気ないほど軽くあしらわれ、この世界に召喚されてから一ヶ月天狗になっていた私達の自尊心はいとも容易く音を立てて崩れ去った。


私達、四人ははこの国の第一王女であるフェリアに説明されたあの時にここがAWOの世界だと確信したあの時にわかっていたはずだった。


この世界は世界でトップクラスの選ばれた人達しか入れなかったあのAWOと同じなのだと。


しかし、本当は何にもわかってなんていなかった、確かに私達はこの世界の人々からしたらかなり強いのかも知れないけど、所詮はその程度でしかなかったのだ。


この世界の支配階級たる魔王や、龍王にはとてもじゃないけど太刀打ちできなかった。


それどころか、奴らが引き連れてきたあの魔物の大群を相手取ってどっこいどっこいましてや司波君が戦っていた鬼人とかが出て来ると間違いなく殺されてたと思う。


そして、その司波君は今はもういない、司波君が鬼人を倒した後に現れた魔王と龍王に訳もわからず放った私達の攻撃に巻き込まれ、煙が晴れた時には司波君の姿は無かったからだ、そして多分彼は…


そして恐慌状態に陥っていたとはいえ、いくら彼の事を無能と罵っていたとはいえ、同じクラスメイトを自分たちの手で殺してしまった、と言う事実は私達が挫折するには十分すぎる事だった。


いつもはクラスのみんなを笑わせてくれる亮太や他のみんなも思い込んだ表情をして顔を伏せている。


結局、みんな誰も一言も喋る事なく朝食を終え食堂を後にした。


みんなが食堂から出るのに連れて私も食堂を後に部屋には戻らずにあかりの部屋に足を向ける。


昨日、みんなの攻撃に巻き込まれた後、司波君が消失したのを見て彼女は激しく取り乱したのだ。


そしてそれから一度も部屋から出てきていない、確かにクラスメイトの死は私達のように日本で育ってきた十数歳の若者にはかなりショッキングな出来事だったのは間違いないので心優しいあかりが立ち直れるのか心配だったから。


私達ですらまだ立ち直れていない出来事、きっとあかりはベットからしばらく出てこれないだろう。


どうにか元気になって欲しいそんな望みを胸にあかりの部屋の扉を開ける。


そして私は思わずフリーズした。


「あら、雫じゃないどうかしたの?」


と、扉の前でフリーズしていた私にあかりが声をかけた事で私は再起動する。


「そんな顔してどうしたの雫?」


キョトンとした表情でそんな事を聞いてくるあかりにスムーズに言葉が出てこなかった、だって今の今まであかりは失意の中にあるとばかり思っていたのだそれが今は笑顔で私を出迎えているのだから。


「えっ でも、え?」


「どうしたのさ?」


「だ、だって昨日はあんなに」


「そ、それは、その昨日はごめんね」


と少し恥ずかしそうに頬を染めて、男どもを悩殺出来そうな仕草で謝ってきた。


「うっ、それにしても良かったよあかりが元気になって」


一瞬私も持っていかれそうになったがどうにか踏みとどまる事に成功した。


「えっと、あの時は何が何だか分からなくて取り乱しちゃったんだけど。

今にして考えたら翔ちゃんがそう簡単に死んじゃうとは思えないんだ」


「しょ、翔ちゃん??

でもあかりも見たでしょあの攻撃の後に司波君の姿が無かったって。

つまり、司波君は跡形もなく…」


「確かにいなかったけど、多分あの人は生きてると思う。

ほら、魔王ヴァイスロギアと龍王アヴァロスも無傷で立ってたでしょ?」


「それはそうだったけど」


「それにさ龍王アヴァロスが去り際に言ったでしょ、また振り戻しだ、また探さないといけないって」


「確かにそんな事も言ってたような気もするけどだからって司波君が生きてるって証拠にはならないと思うけど」


「まあ、そうだけどさ。

うぅ〜ん雫、誰にも言わない?」


「な、何よ?」


「言、わ、な、い?」


「わかったわよ、言わない、誰にも言わない!」


徐々ににじり寄ってくるあかりに思わず声を荒げてしまった。


「実はね私あの人、翔ちゃんのこと昔から知ってるんだよ」


「ふ〜ん、で?」


「で?ってそこはもっと驚くとこじゃないの!?」


「いや別にそうでもないでしょ。

同じ学校に昔馴染みが通っていても別にそこまでおかしな事はないと思うし。

あかりさっきからずっと司波君のこと翔ちゃんって呼んでるし…」


「えっ!?

嘘、私、翔ちゃんって言ってた?」


「普通に言ってた」


「うぅ、そっか。

でもここからはきっと雫驚くからね!」


「そ、そう?」


「そうだよ、だって翔ちゃんって天才なんだよ」


「まぁ、司波君いつもテストの成績いいしね」


「そうだけどそれだけじゃなくてね、翔ちゃんは昔から一度やった事は何でも完璧にこなせるんだよ。

チェスなんかでも5歳の時に世界チャンピオンに完封しちゃったし」


「なにそれ、凄すぎじゃない…」


「でもね、翔ちゃんが一番凄かったのはゲームなんだ。

AWOの世界ランク1って誰だったか憶えてる?」


「勿論よWorldでしょ!」


「でね、そのWorld実は翔ちゃんなんだ。

っね凄いでしょ、驚いた?」


「驚いた、驚いた。

司波君があのWorldって…えぇぇ〜〜ぇ!!」


「驚いたでしょ?」


「えっ!でもっ、え?本当に?ウソでしょ?」


「やっぱり驚くよね。

でも本当だよ雫」


「じゃあ魔王達が探してたって人ってもしかして…」


「うん、十中八九、翔ちゃんの事だと思うよ。

魔王ヴァイスロギアとか龍王アヴァロスだったらもしかしたらAWOの中で会った事があったかも知れないし」


「確かに、魔王とか龍王とか何年間生きてるかわからないもんね」


「うん、だからねきっと翔ちゃんは生きてるよ、多分居なくなったのは面倒な事が嫌だったんだよ。

それに転移魔法を使えば一瞬で移動できるしね」


「あんた、転移魔法ってね…

確かに司波君はAWO時代は最強だったかもしれないけどさ、今の職業ってハズレ職の遊戯人だよ。

ろくに魔法の適性も無いし…」


「あぁその事ね。

昔、翔ちゃんから聞いたんだけど、遊戯人ってクラスはいわゆる名誉職なんだってさ。

魔法の習得とかに補正は無いけど実力次第でどんな魔法でもスキルも習得する事が理論上はできるんだって。

だからストレージの問題でステータスとかには表示されなくなったんだって」


「な、何それ。

適性関係なしとかチートじゃん」


「そうでも無いと思うよ。

適性がないって事はそれだけ魔法とかスキルとかの習得に時間がかかるって事だろうし」


「それもそうなのかな?」


「まぁ、その他諸々の理由から翔ちゃんは生きていると思うんです!」


あかりの熱弁に当てられたのか、私もなんかそんな気がしてきた、またどこかで会う事はあるのだろうか?


さっきまでの暗い雰囲気はもうなく、私はそんな事を思いながら窓から見える青空を見上げる、司波君もこの空を見ているのかな、なんて事を思いつつ。


少しでも『面白かった』『続きが気になる』と思ってくれましたら、


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