106話 たべられた
窓から覗く眩い朝日に誘われ、目がさめると……
「ん、うぅん」
きめ細かい雪のような白い肌を一糸纏わず晒し出したネルヴィアが俺の隣にいた。
カーテンの隙間から差し込む朝日を受けて少し眉を顰めているのはネルヴィアが吸血鬼だから……なんて事は一切なく。
ただ単に彼女が朝に弱いというだけだ。
そんなネルヴィアは俺の腕を抱きつく様に抱きしめていまだに夢の中だ。
そして、ネルヴィアが俺の腕を抱きしめる事によって、ネルヴィアの柔らかな胸の感触が鮮明に伝わってくる……
マズイ……これは非常にマズイ!
只でさえ寝起きで健全な男子たる俺の息子は元気だと言うのに、この状況!!
耐えろ!耐えるんだ、頑張れ、俺の理性ぇ!!
違う事を考えろ、違う事を!
そう言えば、昨日ミラが持って来たアレは結局なんだったんだ?
てか、今にして思えば俺めっちゃ恥ずかしい事言ってないか?
何が、〝この俺が、好きでもない女にこんな事すると思うか?〟だよ!
厨二病かよ!?
あぁ、ヤバイ。
今になって昨日言った事が恥ずかしくなって来た。
悶えたい、悶えたいがネルヴィアが俺の腕を抱き締めてるから悶えられない!
ってクソ!
またネルヴィアの事を意識しちまった。
まぁ昨日のネルヴィアは可愛かったけども……ってそうじゃない!
「プッ、クックック…!
ソータよ、朝から何を一人でしているのだ?」
「ネ、ネルヴィアさん、起きていらっしたのね!」
極力見ない様にしていた方向からそんな楽しげな声が聞こえて来て、ばっと振り向くと。
寝転んだ状態で膝をつきその上に頭を乗せたネルヴィアが惜しみなくその素肌を晒して俺を見ていた。
「む、何じゃ?そんなに見つめて」
「はっ!」
ネルヴィアに指摘されて慌てて視線をそらす。
いかんいかん、ついつい裸のネルヴィアを凝視してしまっていた……
でも、仕方ないじゃん!
俺だって男だよ?目の前に一糸纏わぬ好きな女がいれば誰だって見ちゃうじゃん!?
ってちょっと待てよ。
ネルヴィアのヤツいつから起きてたんだ?
「ネ、ネルヴィアさん……いつから見ていたのかな?」
恐る恐るそう聞くと、ネルヴィアはニヤリと笑みを浮かべて…
「お主が、私の胸の感触を楽しんでいるところからだが?」
ヤバイ。
一瞬で顔が熱くなったんですけど。
「くっくっく、なんじゃその可愛らしい反応は?」
ぐっ、好きな様に言いやがって……
「ネルヴィアだって余裕ぶってたけど、結局は初めてだったじゃねえか」
そう、ネルヴィアのヤツ、自分で夜を統べる女王とか言っておいて未経験だったのだ。
それでも、後半のネルヴィアは凄かったです、はい。
「当たり前だ。
私は主以外の男には抱かれたくないからな」
「お、おう」
そんな事を面と向かって言われるとかなり恥ずいんですけど。
「ほれ、どうした?
私の胸はもういいのか?」
「ちょ、おいっ」
恥ずかしさからネルヴィアから視線を背けていると、いきなり、頭を抱かれた。
顔全体を包み込む柔らかい感触に、ネルヴィアの甘い香りが仄かに漂う。
はい、深呼吸しましょう。
ひっひっふぅ、ひっひっふぅ……できる、お前ならできるはずだ!耐えるんだ俺の理性!!
「ほれ、ほれっ!」
そのまま、ネルヴィアに押し倒される。
俺思うんだ、こう言うのって普通逆だと思うんだよね。
「なんじゃ、身体は正直じゃな」
「仕方ないからっ!これは生理現象だからね!
言っとくけど、健全な男ならみんな朝はこうなるからね!?」
「む?それじゃあソータは私を抱きたくないのか?」
俺の腹に馬乗りになり、ニヤリと笑みを浮かべるその姿は、幻想的だった。
白い白磁の様な肌に、それにはえる美しい金の髪。
「別にそう言うわけじゃないけど…そう、時間だ!
もう朝だろ?
みんな起きてくるしリビングに行かないとダメじゃん?
って、あれ?」
「何を言っておるのだ、今はまだ5時過ぎだぞ?」
ほんとだー、時計の針が5時半を指してるー。
「ちょっ、誰だ!!ネルヴィアをこんな淫乱にしたのっ!?」
「お主じゃろう?
それに淫乱とは失礼なヤツじゃ、私は数百年お主を一人待ち続けてきたのだぞ?
それにソータは私のだっ、旦那様なのだから、しっかりと私を愛してくれ」
ネルヴィアは蕩けた表情で俺の体に手を這わせて、しな垂れるように抱きついてくる。
「ちょ、まっ…」
俺の訴え虚しく。
ネルヴィアに抗う事が出来ずに俺は朝からたべられた。
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「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」
そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!