101話 使者
ネルヴィアの一人称を「私」に変更・統一したいと思います!!
これまで以前の分は、時間があるとき・気が向いたら、修正していくつもりです。
「はぁ、今日は疲れた…」
自然とため息をつきながら、目を閉じてソファーに身を預けると、不意に視界に影がかかった。
「あの程度で疲弊するとは、鍛え方が足りんのではないか?
この私が認めた男だと言うのに、情け無いぞ」
目を開けると、そこにあったのは俺の顔をソファーの背もたれの後ろから覗き込むネルヴィアの顔。
下に落ちないように髪を耳にかけ、からかうように微笑む。
その姿はとても可憐でありながらも、妖艶で美しくもある。
「な、なんじゃ?
じっと、見つめたりして…」
「いや、相変わらず綺麗な目だなと思っただけだ」
「―――なっ、なぁ!?」
一拍置いて、俺の言葉の意味を飲み込めたのか。
ボンッと、擬音語つきそうな勢いで顔を真っ赤にすると、訳の分からん事を叫びながら走って行った。
「なんなんだ、アイツ…」
「あの子は、ウブですからね」
「ウブって、あんなの昔からよく言ってたと思うけど」
それどころか、可愛いなって言って撫でてやると、よく恥ずかしがりながらも嬉しそうにしてたし…
「はぁー、ソータは何もわかってないよね。
そんなんだから彼女もいないんだよ」
「うっせぇよ!
余計なお世話だってんだ。それにそう言うお前はどうなんだよ?」
「えっ、僕?
何言ってんのさ、僕は永遠の美少年だよ?女なんて作ってる訳ないじゃないか!」
「お前に聞いた俺がバカだったよ」
でもいくらウブって言っても。
ネルヴィアのあんな反応を見たら、男ならみんな惚れてしまうのではないだろうか?
勿論、俺を省いてだけど。
アイツ、ああ見えて抜けてるところあるし。
世間知らずのお嬢様だし、外で誰彼構わずあんな事してる可能性もなくはないよな…
いくら強いと言っても、精神年齢で見ればまだまだ子供だし。
おまけにこの容姿だ。
上手く言いくるめられて、どこぞの変態貴族に拉致とかもあり得るんじゃ…
ちょっと、いや、かなり心配になってきたぞ……
「心配ですか?」
「ん?そんなに顔に出てたか?」
「ええ、それはもう」
最近、俺のポーカーフェイスに自信がなくなってきたんだけど…
「そんな、大した事じゃないんだけどさ。
お菓子とかに釣られて簡単に拉致られたりしそうだなって思ったら、心配でな」
「ふふ、だそうですよ?ネルヴィアさん」
「えっ?」
咄嗟に、ネルヴィアがさっき出て行った部屋の扉を見ると……終わった。
そこには、ミラたちお子様三人衆と共にネルヴィアが青筋を浮かべた笑顔で立っていた。
「ほう、ソータはこの私がそのような物に釣られるバカだと思っておったのだな?」
コテン、と首を傾げるその仕草は可愛いいが。
その右手に渦巻いてる魔力のせいで、全く可愛らしく無い。
「なぁアヴァロス」
「何でしょうか?」
「さっき言った事、やっぱり俺の思い違いだったみたいだ」
眼前にフッと、消えたように錯覚するほどの速度で移動したネルヴィアの、凄まじい魔力がこもったビンタが迫る。
「この、馬鹿者めっ!
私はそのようなバカではないのじゃっ!!」
そんな怒声と共に振り切られたネルヴィアのビンタによって踏ん張った事も虚しく真横に吹き飛ばされる。
だが、俺の屋敷に大穴を開けるわけにはいかない!
屋敷の壁に結界を展開し、壁と俺との間にゴムボールのように弾力のある結界を展開する。
しかし、この程度では止まらない。
壁との間にさらに風魔法と水魔法を用いてクッションを形成する。
「ネルヴィアなら、拉致られても自力で脱出できる」
「そのようですね」
くっそー、アヴァロスのやつ。
ネルヴィアのことに気づいていたくせに俺に黙ってたな……
「な、何じゃと!
それではソータは私が拉致られても心配ではないと言うのかっ!?」
もう、俺にどうしろと?
「そ、それに……あんな事をするのはソータにだけじゃっ!」
子供のように頬をプクーっと膨らましてプイッとそっぽを向いてしまった…
「はぁ、俺が悪かったよ。
な、だからそう拗ねんなって、お詫びにお願いを聞いてやるからさ」
「クックック、仕方ないから許してやろう!」
あ、嵌められた……
けど仕方ない、どんなお願いをされるのかこわいけど、約束したからには…うん、まぁなんとかなるだろう。
「では今夜、眠る前にソータの血を飲ませてもらうとしよう。
も、勿論、首筋からじゃからなっ!」
「おっ、そんなことか。了解。
でも、そんな事なら別に毎日でも構わないけど?」
「なっ!?」
あれ?俺何かおかしな事言ったか?
ネルヴィアが顔を真っ赤にして硬直したてしまったんだけど…
「流石ですね、ご主人様!
今日の夜ご飯は元気が出るものを沢作りますからっ!」
ミラは面白そうにそう言うや否や、キッチンに向かって行った。
「まさか、最古の魔王を…」
「流石は主様」
「ホント、凄いよね」
「悔しいが、ネル様ならば仕方あるまい」
「あ、あの。
多分、ソータ様は意味を…」
と、何から扉の陰で悪魔っ娘とヘルにリーナが何やらコソコソやってるのはほっておくとして。
「何かあったのか?」
「はい。
玄関にお客様が参っております」
闇から溶け出すようにして姿を現した、執事服を完璧に着こなしたノワール。
「お客様、ね。
何処からかな?」
「はい、城からの使いだそうです」
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「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」
そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!