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97話 深夜の晩酌

何も見えない様な真っ暗な部屋の中。

唯一つの光源である赤い光、まるで暖炉の火の様に揺らめくそれを囲む影が四つ。


「ふむ、それにしても女神とはな…」


身体をすっぽりと包み込む程のサイズを誇る、革張りのソファー。

そのソファーに身を沈めながら感慨深そうに呟く少女。


何を隠そう、光沢のある銀髪をしたこの少女こそが荘厳なる城の主。

十魔王が一柱、吸血姫ネルヴィア。


幼く見えるが、道を歩けば10人中10人が振り返る様な絶世の美少女。

コイツが、魔王だと思う奴は魔導学園にも真実を話した例外を除いて、まず1人もいないだろうな。


「ほんと、笑っちゃうよね」


そんなネルヴィアの呟きにそう答えるのは、彼女の対面に座っていた影。

一見、ただの子供にしか見えないコイツの正体は……まぁ言うまでもないだろうが、ヴァイスロギアだ。


これでいてコイツも世間では十魔王、妖精王と恐れられているのだから、世の中も末だな。

尤も、その実力は本物で十魔王の中でもトップの実力を誇っている……のだが。


コイツの本性は。

本来は大人の姿にも関わらず、わざと子供の姿で敵を叩き潰す事に悦びを覚える残念な奴だ。


「確かに、血が滾りますね」


そんな2人に合わせる様にそう答えてニィッと笑みを浮かべる俺の対面に座る影。

まぁ勿論、アヴァロスなんだけどね。


ビシッとしたスーツの様な執事服を着こなし。

常識を持ち合わせていて、3人の中では最もまともな奴だと言える。


そんなコイツも十魔王が一柱であり龍王と恐れられているにも関わらず。

何故か、この見た目に違わず家事なども完璧にこなすす、できる奴だ。


とまぁ、そんな訳で。

説明が終わったら結構いい時間になってたので、2日目の晩餐会と相成り。


それも御開きとなり、みんなが寝静まった深夜。

俺たちはこうして久し振りにパーティー水入らずで飲み交わしていると言う訳なのだが……


「おっ!アヴァロス、君が赤くなってるなんて珍しいね!!」


だが、そう!

ヴァイスロギアの言う通り、珍しい事にアヴァロスの頬がほんのりと赤くなっているのだ!!


尤も、恥ずかしがって赤くなっているわけじゃ無いのは残念だが……

堅物のアヴァロスが女を作って赤くなる…めっちゃ面白そうなんだけど!


っとまぁ、それはさておき。

さっき、普段のアヴァロスならしないであろう、ニィッて感じの笑い方からも分かる通り。


「お前、相当酔ってるな?

普段酒に酔わないお前が、赤くなるとかどんな量飲んだんだよ」


「ふっふっふ、流石ですねソータ様。

この私が酔っている事をこうも容易く見抜くとは…」


微笑を浮かべ陶酔した様子でさらに酒を仰ぐアヴァロスさん。


しかもその飲み方が豪快!

まるでグラスに注がれたワインでも飲むかの様に、酒樽ごとラッパ飲み、常人じゃあ出来ない芸当だな。


「こりゃあ、ダメだな」


「うむ、しかしコヤツがここまで酔ってしまうとは」


「よっほど嬉しかったんだろうね!!」


「そう言う、お前らだってニヤけてるぞ?」


「主もだぞ、ソータよ」


「ネルの言う通りだよソータ君!」


まぁね、言われなくても理解してるつもりだ。

何たって、俺は……俺たちは遊戯者だからな。


「女神ジルにしろ、魔神どものボスにしろ楽しみだよなぁ」


「本当にね!僕たちが本気でやっても壊れないなんていつ以来かな?」


「ええ、ええ、いつぶりでしょうか?

嬉しくて思わず、酔ってしまいましたよ」


「しかし、主は少し飲み過ぎじゃな」


ネルヴィアがアヴァロスの後ろ、そこに転がる大量の酒樽を一瞥し軽く苦笑いを浮かべる。


「何を言いますか。

貴女だってよく似たものですよ?」


「まぁ、確かにこのちっこい身体のどこに入ってるんだってくらい飲んでるよな」


その証拠に、ネルヴィアの背後にもアヴァロスと同等数の酒樽が転がってるし。


「ぬ、ソータには言われとう無いわ!」


「そうです。

一番飲んでいるのはソータ様では無いのですか?」


「はっはっは!

何を言ってるんだお前たちは?なぁヴァイスロギア?」


「いやぁー、悪いけどちょっと擁護できないかな……」


くっ、コイツらこんな所で結束しやがって!

これが、俺がいなかった間にコイツらが培ってきた連携なのかっ!?


「そんな事より、魔素を解析する事に成功したって話したか?」


「えっ!?何それ何それ、聞いてないよ!?」


「ぬ、明らかな誤魔化しに引っ掛かりおって……しかし、確かに気になる話じゃな」


「お聞かせ下さい、ソータ様」


「まぁ、君たちがそこまで言うのであれば教えてやろう。

あれは、俺が名を得た時の事…」



周囲を酒樽に囲まれながら、世界最高峰の力を誇る存在達の夜は更けていくのであった。



少しでも『面白かった』『続きが気になる』と思ってくれましたら、


 ブックマーク登録及び、下記の評価ボタンを押して頂けますと嬉しいです。


これからもよろしくお願いします!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こっちも同日更新します!!


「伝説の吸血鬼となった商人は怠惰スローライフをお望みです」


そこそこ読める作品だと思うので是非読んでみてください!!

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