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ヒューマンドラマ

カンニングの報酬

作者: 山目 広介

 小学校の低学年の時は普通の成績だった。

 だが可もなく、不可もなくっての言い過ぎだ。音楽が壊滅してたから。

 それでもテストで満点取ることもあった。

 理科だ。

 しかし、成績はまだ中だった。音楽が下であとは全部、中だった。


 しかし小3になると多少は変わった。

 例えば体育だ。上中下、網羅した。

 小4になると算数が上がった。理科も上がっていった。


 中学に上がると理数系と呼ばれた。

 成績が5段階評価になって凸凹が激しくなったからだ。

 変わっていたのは美術が5、3、1となったぐらいだ。というか1でも進級とか大丈夫なんだな。


 そして中二なった時だ。

 テストで後ろの席のやつに答案を見せろ、と言われた。

 そいつはチビで一応議員の父親がいるとのことだった。

 選挙に落ちたときはつまりは無職なのでは、とは聞けなかったが。

 そして何故か百円で受けることになった……


 当然、理科と数学だけだ。

 間違ってる答えを写せばバレるから当然の措置だ。


 試験当日。

 問題を解いてると椅子を蹴られる。

 解く時間ぐらいはくれないと正解出せないって。

 また蹴られる。

 急かされる。

 時間配分を間違えた。

 見せるためにはその分写す時間もいる。

 しかも急かされるわ、短い時間で解かないといけないわで、プレッシャーが辛い。

 カンニングの手伝いをさせられる身になってくれ。

 やりたくて、やってるわけでもなく。

 というかこいつ、目いいよな。

 関係ないけど、見せてる間は暇になる。

 周りをチラ見するが、とても見えるとは思えない。

 前の席の答案を見て写せるなんて。

 こっちはそこまで視力が良くないので、そこの部分は羨ましい。

 いや、勉強しないから視力がいいのか?

 でも自分も勉強してないけど、ゲームで視力が悪くなってしまっている。

 こいつはカンニングのために視力を維持しているならば、ある意味すごいな。

 と、現実から逃避してるとまた椅子を蹴られる。

 見える位置を変えろってことだろう。

 めんどくさいな。

 監督者を見ながら座り方を崩す。

 若干無理のある体勢じゃなかろうか。

 まあ、バレなきゃいいんだけどさ。

 なんでこんな心配しなきゃいけないんだろう。

 早く終われ。


 そうこうしてる間に試験は終わり、答案も返された。

 写させた解答も間違ってるわけもなく、そこから足が着く可能性はなくなった。

 カンニングもバレなかったようだ。

 そしてちゃんと報酬の百円も払われた。

 うん、人生初の報酬がカンニングの手伝いで百円……


 なんだろう……

 ちょっと泣けてくる。




 百円。



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